極貧糖尿生活始まる

極度の貧乏と、戦いながら、糖尿に打ち勝つことを決めた中年男の徒然日記

八百屋であった死神ばあさん。

2011-03-25 10:54:24 | 日記
ここのところ、スーパーにいくと、山のような売れ残りが出ている
商品が、いくつかある。

みなんさんも、知ってのとおり、震災後、放射能濃度の高い野菜が各地で
発見され、スーパーの野菜売り場は、おろか、八百屋の軒並みに並ぶ、
いくつかの野菜には、誰も、見向きもしないという現象が、起きている。


ところがっ! である。

こんなときこそ、極貧猫山の出番では、あーりませんかっ!

そうです!いつも、行く、八百屋へと、なぜか半分、スキップをしながら、私は、向かったのであった。

そこで、私は、困り果てた顔で、野菜を売る、八百屋の親父の顔を覗き込む。

”おにいさーん、このほうれん草、売れてないねえー。”

親父は、ちょっと、びっくりしたような顔で、私のほうを
みると、”うーん、おかしいんだよね、他の野菜は、売れてるんだけどねえ”

(おいおい、八百屋の親父よ、しらばっくれても無駄じゃい!
理由は、あんたも知ってのとおり、放射能が沢山入った、野菜は誰も口にしたくないに決まってるだろう。

私が、心の中で、文句をいっていると、そこへ、見知らぬ婆さんが、
現れた。

婆さんは、突然、私たちの会話に入り込んでくる。

”ちょっと、あんた!これ、みんな湘南産ってかいてあるけど、本当なのかい?” 
婆さんは、意外にも、いいところに眼をつけていた。

実際、2,3日ほど前から、八百屋だけでなく、スーパーの店先に並ぶ野菜は、どれも湘南産なのだ。
それまでは、茨城産や、栃木産、福島さんの野菜が沢山あったのに、それらの姿は、どこを探しても、みあたらない
だが、八百屋の親父は、悪ぶれるそぶりもなく、婆さんに、
もちろんですよ!”といってのける。

なんだか、怪しい、怪しすぎる

そこで、私も、すかさず、聞いてみる。
”おにいさん、これ、ほんとに大丈夫なのかい?”

八百屋の親父は、間髪いれず、答える。
”大丈夫ですよー。全部、ハウスものだからね。”

(おい、おい!親父よ、答えになってないだろう!
つまり、あんたは、ハウス物だから放射能濃度が低いとでも、
いいたいのかい!)

そこで、横にいた婆さんの値切りが始まった。
”売れてないんだから、買ってやってもいいけど、これ しなびてるわよね、安くしてちょうだいよ。”

八百屋の親父は、すんなりと婆さんの要求を受け入れ、3束、100円という値段に落ち着いた。

そこで、私も、すかさず婆さんと同じ値段で、買えないものかと、
親父に訪ねると、すんなり交渉は、成立したのであった。

久しぶりに食べられるほうれん草の袋を抱え、
ニコニコしながら、歩いていると、さっきの婆さんが、目の前から
歩いてくるでは、ないか!

婆さんは、私の顔をみると、にんまりと笑って言った。
”あたしゃ、後、何年、生きられるか、分からないからねえ。

そこで、私も、”そうだよねえー。そんなに(放射能とか)心配しなくても、後、何年でも、ないでしょ”

その次の瞬間、婆さんは、更なる、笑みをうかべ、ニヤ-ッと笑いかけたかと、思うと、最後にこう言い放ったのだ。

あんたもだよー。”
婆さんのこの世のものとは、思えない薄気味悪い微笑みに、とてつもない
恐怖を感じずには、いられなかった