日本四人将棋連盟

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コンビ指しは得なのか?

2016年12月04日 | コラム
コンビ指しは成立するのか?について個人的な見解を述べる。
まず前提として当連盟の公式ルールを適用し、対局前からコンビ相手が決まっている場合のみをコンビ指しとして扱う。
さっそくだが「成立」には二段階の過程があると私は考える。
(1)それが実現可能であること。
(2)当事者が得をすること。
例えばタイムマシーンは成立するか?という問いかけに対し、(1)に目を向けると技術面での問題点が挙げられ、
(2)について検討すると時空操作による弊害などが危惧されるだろう。

では本題に入ろう。
まず(1)の観点でコンビ指しを考察する。
現行の対局サイトは専らSDINであり、対局中に裏チャットを使用すれば容易にコンビ指しを行える。
いやチャットを使用せずとも事前にコンビ相手と打ち合わせしておくだけでも十分コンビ指しは機能するだろう。
当事者以外には証拠を突き止める術がない。
連盟公式ルールでは過激手という概念が存在するが、過激手と判定されない程度にコンビ相手と協力プレイすれば問題ない。 よって(1)の条件は満たしている。

次に(2)について考察する。
コンビを組んでもいつかは裏切らなければ1位を取れないので、
それならば始めから一人で指した方が良いという意見がある。
しかし私個人の考えとしてはこれはコンビ指しを否定したいが為のこじつけに思える。
確かにいつかは裏切らなければ1位を取れないのは事実だが、だからと言って始めから1人で指すべきというのは暴論だ。
物事を考える時はデメリットとメリットを照らし合わせて総合的に得するかどうかで判断すべきだ。
この意見ではデメリットだけを挙げてメリットを無視している。
コンビ指しの唯一のデメリットが「いつかは裏切るor裏切られること」であれば、逆にメリットは何なのか調べてみよう。

<1>
四人将棋で1位を取るのは非常に難しく、コンビ指しによって序中盤で利を得るのは効果的。
四人がウヨウヨとうごめき合う盤上を生き抜くのは至難の技である。
例え終盤に裏切りが発生しようとも、序中盤でコンビ相手の存在はとても頼もしいものになるだろう。

<2>
四局戦では安定して高い順位を取る事が重要。コンビ指しなら高いアベレージスコアを叩き出せる。
一局戦では裏切られたらそれでお終いだが、四局戦ならば例え途中でコンビ相手に裏切られたとしても、
それまでコンビ相手と築いたリードを利用して好順位につけるだろう。
好順位を連発していけば自ずと優勝が近づく。

<3>
孤軍奮闘タイプの強者を倒すのが容易になる。
四人将棋は運要素もあるとはいえ、自分より遥かに実力が上の相手を倒すのは難しい。
しかしコンビを組めば他の強豪を徹底的に叩き潰し、優勝候補を自分とコンビ相手のみに狭めることができる。
ところでもしコンビ相手に序中盤で裏切られたらどうするのか?と疑問に思う方がいるかもしれない。しかし序中盤に裏切るメリットは薄い。
先程も述べたように四人将棋で生き抜くのは大変なので、
早い段階で裏切るより終盤まではコンビ相手に付き合って共に優位を広げた方が結果的に勝ちやすい。

このようにデメリットを勘定してもお釣りが貰えるほど様々なメリットがコンビ指しには存在するので、(2)の条件も満たしている。
(1)(2)を両方とも満たしているためコンビ指しは「成立する」というのが私の結論だ。

※あくまで私個人の考えであり、連盟の見解とは異なる。
※コンビ指しは違反行為なので連盟の公式戦では絶対に使用してはならない。

一般社団法人日本四人将棋連盟
藤川智之プロ初段