【提言】不登校問題を解決するために
文科省は10年ごとに「不登校に関する調査研究協力者会議」を設置し不登校対策を検討してきました。今回(2022年)の「協力者会議」で露呈したように、不登校の子どもたちの思いとはかけ離れた不登校対策が行われています。不登校問題の本質を見ようともせず、いつまでも、不登校を子や親の責任、課題とした対策をとってきた結果、学校に行けない子どもの数は二五万人まで膨れ上がってしまいました。(2022年には30万人になりました。)それでも、なお、同じ対策を繰り返そうとしています。
これでは、不登校をなくすことも、不登校問題を解決することもできないでしょう。学校に行けない子どもたちをなくすためには、子どもたちが学校に行けない要因を取り除くことだと、誰でも考えるのではないでしょうか。子どもたちが挙げている不登校の主な要因は、①「勉強が分からない」 ②「いじめ」 ③「先生との関係」 の3点です。まずは、これらを取り除くことからはじめたらどうでしょう。そして、子どもたち一人ひとりが、いそいそと通える学校を作ることではないでしょうか。
提言1 まず、不登校に対する認識を改めよう
- 不登校は、子どもたちの「無気力・不安」から起こっているのではなく、この国の貧困な教育政策から生み出されているということ。
- 不登校は、子どもたちの成長・発達する権利、学習権の侵害です。
- 不登校の子どもたちは、支援や援助を受ける憐れまれる存在ではありません。
- 不登校の子どもたちは、困難な中でも自らの進路を切り開いている、成長・発達、学習、生活の主体者であり、主権者として尊重されるべき存在です。
提言2 子ども(当事者)の視点に立って考えよう
- 不登校問題がなぜ起こっているのかを、子どもの視点に立って明らかにしよう。
- 不登校の子どもたちの学びや発達に対する要求を尊重しよう。
- 不登校を乗り越えた子どもたちから学ぼう。
提言3 今日の学校教育、制度を改めましょう(教育課程・学習指導要領の見直し)
- 子どもたちの学びたい分かりたいという思いを大切にしよう。
- どの子にも確かな学力を保障しよう。
- 子どもたちの主体性を大切にしよう。
- 子どもの全面発達を保障しよう。
- 先生が教育に専念できる環境を保障しよう。
- 子どもと先生が触れ合える時間を保障しよう。
提言4 子どもを権利の主体とした新しい子ども観・教育論を確立しよう
- 子どもを権利の主体として尊重しよう。
- 子どもを権利の主体とした教育活動、教育実践を家庭、地域で展開しよう。
- 子どもが学校、地域、家庭で伸び伸びと生活し、活動できる環境を作ろう。
しかし、これらが今すぐ実現するとは、到底望めません。今のような状況がこれからも続くことでしょう。では、私たちは、今をどのように生きていけばいいのでしょうか。今、できることを、気が付いた人から、はじめていきましょう。 一人ひとりが主体者として、主権者として!
提言5 誰にでもすぐに実行できること
〈子どもが学校へ行くのをいやがったら、学校へ行かなくなったら〉
- 学校へ行くか休むか、子どもの気持ちを尊重しましょう。
- 学校は休んでもいいんです。
- 家庭を子どもの居心地のいい居場所にしよう。
- 子どもことは子どもに任せましょう。
- 子どもの主体性を大切にしましょう。
- 家庭は、子どもが学び、成長できるところです。
- 家事はみんなでしましょう。子どもに頼りましょう。
- 親子で、散歩をしたり、食事をつくったり、楽しい取り組みをしましょう。
- 一緒に食事をしたり、散歩をしたり、楽しい取り組みをしましょう。
- 親の会に参加しましょう。なければ、親の会を作りましょう。
- みんなで手を取り合い、学び合いましょう。
不登校の子どもたちは哲学者だと言った人がいます。ダラダラすることは人間の権利だと言った人もいます。何もしていない時って、実は、次は何をしようかなと考えている時なんですよ。学校に行かないと1日24時間を自分で考え工夫して過ごさなければなりません。何日も何日も。これって、すごいことですよ。安心して学校を休めると、子どもはいろんなことを始めますよ。学校へ行かなくても子どもは成長していきます。そんな子どもをたくさん見てきました。せっかく不登校になったんだから、不登校を楽しんでください。きっと子どものすばらしさを発見できますから。
2023年11月23日 野中博善
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