逍遥日記

経済・政治・哲学などに関する思索の跡や旅・グルメなどの随筆を書きます。

現在の世界経済

2018-08-25 06:58:44 | 経済

「現在の世界経済」                               (和洋女子大学国際学科教授、山下景秋)

米国の高金利が米国以外の諸国に与える影響
資金が米国へ流出→ 通貨価値↓→ 物価↑(東南アジアなど)→ 金融引き締め
→ 米国以外の経済↓の可能性。
また、通貨価値↓→ドルやユーロや円による借入の返済負担↑
→ 先進国銀行の不良債権↑→ 貸し渋り→ 先進国経済↓の可能性。

★トルコ
トルコは貯蓄率低い→トルコの銀行、海外の銀行からの借り入れに依存、また企業も外貨建て融資(対外債務の7割は民間部門)に依存
→ アメリカの金利↑(15年12月~)、またトルコの大統領が金融引き締めを嫌う→ 中央銀行に圧力→ 資金の流出→ リラ↓リラ安
●トルコは経常赤字国(→外貨準備高が少ない)、 米国がトルコからのアルミ・鉄鋼輸入にかける関税の引き上げ(→経常赤字↑)
→ 為替介入が難しい→ リラ安
外貨準備(返済原資となりうる)<対外債務(外貨準備の4倍)→ 債務返済滞りやすい。
●外貨準備=中央銀行や政府が、輸入代金の決済や対外債務の支払いなどに備えて蓄えている外貨建ての資産。外国為替市場で自国通貨買いの介入を実施する際の原資にもなる。債券、預金、金で保有。

(国内経済への影響)
リラ安→ (→輸入価格↑→)インフレ(→消費↓)、外貨建て債務の返済負担↑(→企業の破綻↑)、海外資金の流出(→トルコへの投資にブレーキ)、市民の外貨購入(→決済手段として外貨を使うようになると、金融政策の効果がなくなる)
(欧州経済への影響)
外貨建て債務の返済負担↑→ トルコ向け債権の多い欧州銀行(最大はスペイン)の損失↑懸念→ 欧州銀行の不良債権↑→ 欧州銀行の貸し渋り→ 欧州経済↓
→ ユーロ売り→ ユーロ↓
(日本経済への影響)
リラ安、ユーロ安→ 円高→ 日本の輸出↓。またトルコショック→ 世界経済↓
→ 株価↓→ 消費↓→ 日本経済↓(←日本は金融緩和と財政支出の余地は限られている)


(アルゼンチン
 インフレ圧力、返済能力に疑問→ アルゼンチンペソ下落→ 緊急利上げに追い込まれる→ 景気↓→ 債務の返済難しくなる。 トルコとアルゼンチンは、対外債務=GDPの4~5割)

★中国
(貿易戦争と米国の利上げの影響)
米中貿易戦争(7月から本格化)→生産↓。貿易戦争の不安感→人民元↓、株価↓
人民元↓→資本流出の可能性
米国の利上げ→人民元安
中国企業が過去に発行したドル債の償還が相次ぐ、景気減速、(米国金利↑→)米中金利差↓→人民元↓→輸出↑、しかし資本流出の可能性→ さらに人民元↓
 (過大な人民元安に対して、投機の抑制、資本規制などの対策が可能)
(過剰債務の問題)
国内と外国に対しては過剰融資→ 返済困難の問題
過剰債務の削減
政府はバブルを警戒→(地方政府や国有企業の)過剰債務の削減(銀行の融資先を精査するよう指導)→ (ネット金融の破綻→個人投資家の損↑→)消費・(低採算のインフラの資金調達↓→)投資の低迷
影の銀行を締め付ける。中小・零細や地方政府系企業の一部は資金繰りに苦しむ。
一帯一路
 中国の一帯一路構想により、多くの国々が中国から借り入れ。
中央アジアなどは、資源開発やインフラ建設の資金を中国からの借り入れに依存
→しかし、借金を返せない→インフラ設備の運営権・資源開発権を中国に譲る。

★経済危機
●経済危機は、借金↑で起こる。通貨危機は、外国からの外貨の借り入れで起こる。
●経済低迷→ 低金利→ 借金↑→ バブル→ しかし返済不能
→ バブル崩壊→ 経済↓
●もし新興国が海外からドルやユーロで資金を借りる→ 貿易赤字の場合→通貨価値↓
→ 返済負担↑
●グローバル化、産業構造の転換→ (貧富の格差)→ (アメリカ)輸入制限、利上げ。
輸入制限→ 新興国の対米輸出↓(→貿易赤字↑)→ 新興国の通貨価値↓
●戦前は大恐慌の後、保護貿易が始まった。
 現在は、保護貿易が始まった後、経済危機が訪れる可能性がある。

#世界経済 #トルコ #中国



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