<仕事観の形成と就職するまで編12>---------------------
●かろうじて県職員に合格するも…驚きの内示。更に配置調整のおまけ。
県職員採用試験の一通りを終えて迎えた合格発表の秋の日。大学受験以来数年ぶりに緊張感が高まる。当時はネットで合否が分かる時代ではなかったので、県庁一階に紙で張り出された合格者受験番号一覧を見に行く。嘘偽りのない本音ベースでの思いだが、"かろうじて"県職員に合格できたのだと思う。
4月から県庁職員としてどんな仕事をすることになるのか。何せ役所は"仕事の百貨店"である。郷土の安全安心と振興の基盤となる道路や川などの整備に関わるのか、健全な暮らしを守り保障する生活環境や福祉の仕事か、新潟県の地理などの特長を活かして付加価値を増進する農林水産業や商工業の振興政策か、県勢の増進に資する人を育てる教育行政か…様々に思いが巡り、どれも面白そうで胸が躍る。
とりわけ、農業政策は新潟県の社会経済の振興のために、移ろい変わりゆく人や物、企業、サービスなどと異なり、揺るぎない存在である郷土そのものを直接活かすという点で極めて関心が高かった。いずれにせよ、急転直下の県庁志望で、もともと県行政に関する予備知識に乏しかった私は、自分の担当分野の予習のためにも、4月1日に配属される部署の伝達を早く聞きたいと心待ちしていた。
ところが当時は、新採用者各々の配属先については、4月1日に知事から採用辞令の交付を受ける入庁式の後、その足で続けて突入する2週間の合宿形式での新採用研修の途中に伝達されるという方式だった。そんなわけで、新潟市の西の外れの田園の中に浮島のように構えた「新潟県自治研修所」に泊まり込んで、朝はラジオ体操、昼間は県行政の基礎的研修を座学中心にギッシリと、夜は同期親睦のための懇親会を、何回か重ねた頃合いの研修期間の半ばの朝、自分の配属先を聞かされたのだ。
「企業局総務課に主事として配属する」。一瞬耳を疑う。それって新潟県庁の職場なのですか、最初から出向か何かなのですか…。しばし意識か朦朧とする中で、「これから各々の配属先に視察を兼ねて挨拶に行きます」という号令が発せられた。大卒新採用40人ほどがマイクロバスに乗せられて研修所を出発。皆と行き先が一緒らしく、職場は少なくとも県庁の建物の中らしい。
30分ほどしてバスは、新築されて2年ほどで真新しく高層の姿を見上げれば日の照り返しが眩しい新潟県庁本庁舎に到着。18階建てのビルの中で私の行き先は14階らしい。同じ企業局総務課に配属されるもう一人の同期と二人で、研修所で言われたとおり、先ずは職員管理担当の係長のもとを訪れ挨拶する。
「新潟県企業局」は、県土木部が整備した治水ダムを利用して発電する電気を電力会社に卸売りする「電気事業」と、工業団地へ誘致する企業に工業用水を給水する「工業用水道事業」、シーサイドラインと呼ばれる日本海沿いの眺望抜群な国道で通行料を徴収する「有料道路事業」の3つを行う「公営企業」と呼ばれるものだという。
聞けば確かに県でもやりそうな仕事だが、利益も求める企業会計というのなら、武士の商法よろしく素人の役人がやるよりも、営利感覚に優れた民間事業者にまるごと任せるとかすべき分野なのではないか…と反射的に思うが、そのとき新採用の私には自身の配属についてどうこうしてみようもない。
それでも、具体的仕事に就く係について一縷の望みを持っていた。自治研修所での伝達時に、配属の課名と併せて係名も伝達されており、私は「予算係」に、もう一人の同期は「業務係」に、と聞かされていたのだ。予算係であれば県庁全体の関わりの中で、私が想定していて、次以降の職場としての配属が期待される行政分野の情報などに触れていけるのではと考えたのだ。
職員管理担当係長に続いて、配属される係の係長のもとへ各自が伺って各々の仕事内容を聞く段取りとなっていた。私が「予算係」へと行こうとすると、背中で係長から待ったがかかる。「見たところ君は予算係というより業務係が向いてる感じだなあ。お互いに係を入れ替えて係長の下に行って」。
またも膝が震えるほどの驚愕だ。肩を落とすような配属部署名を聞かされた上に、僅かの希望の光だった仕事内容までが一瞬にして変えられてしまうとは…。しかも「工業用水道事業」の担当だという。この続きは、先に掲載した「県庁新採用いきなり債権回収編」に続くことになるのです。ここで回顧録が一旦ループするというわけです。
さて…。眼力で私の適性を見抜いた??この係長は、後に庁内で大きな権限をもつ凄く偉い幹部になられるのだが、私は"覚え"が悪かったのか、なかなか辛く厳しく割に合わない系の任用を重ねていくことになるのです。ちゃんちゃん。
4月から県庁職員としてどんな仕事をすることになるのか。何せ役所は"仕事の百貨店"である。郷土の安全安心と振興の基盤となる道路や川などの整備に関わるのか、健全な暮らしを守り保障する生活環境や福祉の仕事か、新潟県の地理などの特長を活かして付加価値を増進する農林水産業や商工業の振興政策か、県勢の増進に資する人を育てる教育行政か…様々に思いが巡り、どれも面白そうで胸が躍る。
とりわけ、農業政策は新潟県の社会経済の振興のために、移ろい変わりゆく人や物、企業、サービスなどと異なり、揺るぎない存在である郷土そのものを直接活かすという点で極めて関心が高かった。いずれにせよ、急転直下の県庁志望で、もともと県行政に関する予備知識に乏しかった私は、自分の担当分野の予習のためにも、4月1日に配属される部署の伝達を早く聞きたいと心待ちしていた。
ところが当時は、新採用者各々の配属先については、4月1日に知事から採用辞令の交付を受ける入庁式の後、その足で続けて突入する2週間の合宿形式での新採用研修の途中に伝達されるという方式だった。そんなわけで、新潟市の西の外れの田園の中に浮島のように構えた「新潟県自治研修所」に泊まり込んで、朝はラジオ体操、昼間は県行政の基礎的研修を座学中心にギッシリと、夜は同期親睦のための懇親会を、何回か重ねた頃合いの研修期間の半ばの朝、自分の配属先を聞かされたのだ。
「企業局総務課に主事として配属する」。一瞬耳を疑う。それって新潟県庁の職場なのですか、最初から出向か何かなのですか…。しばし意識か朦朧とする中で、「これから各々の配属先に視察を兼ねて挨拶に行きます」という号令が発せられた。大卒新採用40人ほどがマイクロバスに乗せられて研修所を出発。皆と行き先が一緒らしく、職場は少なくとも県庁の建物の中らしい。
30分ほどしてバスは、新築されて2年ほどで真新しく高層の姿を見上げれば日の照り返しが眩しい新潟県庁本庁舎に到着。18階建てのビルの中で私の行き先は14階らしい。同じ企業局総務課に配属されるもう一人の同期と二人で、研修所で言われたとおり、先ずは職員管理担当の係長のもとを訪れ挨拶する。
「新潟県企業局」は、県土木部が整備した治水ダムを利用して発電する電気を電力会社に卸売りする「電気事業」と、工業団地へ誘致する企業に工業用水を給水する「工業用水道事業」、シーサイドラインと呼ばれる日本海沿いの眺望抜群な国道で通行料を徴収する「有料道路事業」の3つを行う「公営企業」と呼ばれるものだという。
聞けば確かに県でもやりそうな仕事だが、利益も求める企業会計というのなら、武士の商法よろしく素人の役人がやるよりも、営利感覚に優れた民間事業者にまるごと任せるとかすべき分野なのではないか…と反射的に思うが、そのとき新採用の私には自身の配属についてどうこうしてみようもない。
それでも、具体的仕事に就く係について一縷の望みを持っていた。自治研修所での伝達時に、配属の課名と併せて係名も伝達されており、私は「予算係」に、もう一人の同期は「業務係」に、と聞かされていたのだ。予算係であれば県庁全体の関わりの中で、私が想定していて、次以降の職場としての配属が期待される行政分野の情報などに触れていけるのではと考えたのだ。
職員管理担当係長に続いて、配属される係の係長のもとへ各自が伺って各々の仕事内容を聞く段取りとなっていた。私が「予算係」へと行こうとすると、背中で係長から待ったがかかる。「見たところ君は予算係というより業務係が向いてる感じだなあ。お互いに係を入れ替えて係長の下に行って」。
またも膝が震えるほどの驚愕だ。肩を落とすような配属部署名を聞かされた上に、僅かの希望の光だった仕事内容までが一瞬にして変えられてしまうとは…。しかも「工業用水道事業」の担当だという。この続きは、先に掲載した「県庁新採用いきなり債権回収編」に続くことになるのです。ここで回顧録が一旦ループするというわけです。
さて…。眼力で私の適性を見抜いた??この係長は、後に庁内で大きな権限をもつ凄く偉い幹部になられるのだが、私は"覚え"が悪かったのか、なかなか辛く厳しく割に合わない系の任用を重ねていくことになるのです。ちゃんちゃん。
(「仕事観の形成と就職するまで編12」終わり。)
※長々と"就活クロニクル"にお付き合い頂きありがとうございました。
閑話休題。回顧録の本筋に戻り、3カ所目の職場「農政企画課」の物語を、今後upしていきます。
閑話休題。回顧録の本筋に戻り、3カ所目の職場「農政企画課」の物語を、今後upしていきます。
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