hyakunenseis◇ry ∞

リリカルに、コミカルに、フツーに、日常いろ色。

あぢさゐ色の聲(後篇)

2020-11-03 19:38:00 | reminisce
?> 「 ♪ ~ ょ ~ ぃ ~ ゎ ~ ♪ 」


あたし
((  … … … ))


?> 「 ♪ ~ ぃ ~ っ ~・・・♪ 」


あたし
(( もっと、よく、))

聴きたくて聞きとりたくて、
全神経を 鼓膜に キュッ!
一 点 全 集 中 。

♪ ~ ♪ ~・・・

すれば させたら たられば、
ふつっ…..途切れた。
歌聲、

(( 消えた ))

かと思えば、
ふたたびすぐに
歌を口遊みはじめる。

・・・♪ ~ ♪ ~ ♪ ~ 
(( ... .. ハミングしてる ))

アカペラからハミングに切り替えたようで
ございまして...じっ...と
耳をそばだてる。

?> 「 ♫ ~ ♪ ~ ♫ 」

・ 
(( … … … … … ))


?> 「 ♪ ~ ♫ ~ ♪ 」


(( かわゆい声… ))

いくつくらい?
年齢...わかんないな、
稚い女の子の無垢さも漂うし。

声変わり
する前の男の子の、
エンジェルヴォイスのようでも。

それでいて、
妙齢女性の淑やかで
品のよい調べのようでもあれり。

あたし (( あぢさゐ 、みたいな聲なのね。))
? >   「 ♪ ~ ~ ♪ ~ ♪ … 」

聞きとる気持ちは、さて捨てた。
聴きいる心持ちで
神経ゆるめる。

…すると、

それからも
うす墨ひとすじ、
筆でスーッと刷くように。

旋律だけを
ハミングする
か細ぃ小さぃ聲の音が、

そぉっとそぉっと...流れては途切れ、
途切れては流れ、
して。

20分あまり経った頃ピタリと止み、
室内は打ち水をした後のような
涼しさに包まれていた。

「 …..。」

外から
響いてきた聲でなし、
内なる部屋の鏡台の奥で歌っていたわ。

((  ...布でも掛けとこ。))

泣く赤子は黙らぬとて
草木は眠りる深夜の丑三つ時に、
アカペラとハミングで童べ歌を奏でだす...

人 、人? 人 。

まちがいない、
ちがう。
ちゃうっちゃ、

人間ちゃうっちゃ。

*-*-*-*-*


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