3日間の音信不通のあと
私たちの心配をよそに、まるで何事もなかったように
ひょっこりと姿を現わしたノラにゃんこ。
その翌日も夕ご飯を食べにやって来たらしい。
そして食後にノラが寛いでいるところに
どこからか黒猫がやって来て
鼻を近づけてお互いを確かめたあと
ノラが食べ残したカリカリを食べ始めたという。
それをノラは黙って見ていたそうだ。
黒猫は食べ終わるとすぐに去って行ったが
ノラはまだしばらくテラスで寝そべっていたそうな。
え~っ!どういうこと?
2匹の関係はいったいどうなっているのだろう…。
ケンカもせずに黙認しているところを見ると
もしかして黒猫はノラの友だち?
仲間に「ネコ食堂」を紹介したのだろうか。
「ただで食べさせてくれる所があるよ!」って…。(笑)
ますます謎が深まるネコの世界だ。
さてそんな出来事が私の留守中にあり
今週末もノラに会うのを楽しみに山にやって来た。
すると期待通りに出迎えてくれたノラ。
「やあ、いらっしゃ~い。」 こ、こんにちは!
「また来たんかいな…」 はい!週末はいつも来ますけど…。
「何かお土産ある?」 いえ、何も…。
「何も、無いんかいな!」 す、すみません…。
「この次は気を利かせて下さいよ!」 はい、気をつけます…。
「ここは居心地がいいです!」 それは良かった~。
「だから、ボクの邪魔しないで下さいよ!」 え~!うちの家なのに…?
そんなやり取りがピッタリくるような
落ち着きはらった態度のノラにゃんこのお出迎えだった。
ところが、食事時間になると態度が一変。
相変わらず警戒心を解かないノラ。
もういい加減心を開いてくれても良いと思うのだが…。
ゆっくりゆっくりとお皿に近づき
安全を確認してからおもむろに食べ始めるのだ。
いつものように時々こちらを見ながら…。
でも、チラ見の回数が少し減って来たような気がする。
食べ終わったお皿にはキレイにタコだけが…。(笑)
ネコはタコが好きじゃないのかな?
「はい、タコはあんまり…」 わかったよ!何と贅沢な…。
「贅沢じゃなくて…タコは苦手なんです!」 エッ!どうして?
「だからぁ~どうしても、タコは食べちゃダメなんです!」 ふ~ん…。
あまりにも頑なにそう言い張るので調べてみた。(笑)
するとその理由がわかった。
ネコにとってタコは有害な食べ物だったのだ。
ネコの生命を維持するために不可欠なビタミンB1を
タコなどに含まれるチアミナーゼが壊してしまうのだそうだ。
ビタミンB1が不足すると歩行障害や視覚障害など
神経系の障害を発症したり
食欲不振や嘔吐、下痢、筋力の低下、脚気などの症状も現れ
悪化した場合は昏睡状態に陥り
最悪の場合は死に至るケースもあるのだとか。
おお怖っ!
特に生の状態で与えることは絶対にダメらしい。
でも、チアミナーゼは熱に弱いので
じゃあ、加熱処理をすれば良いかと言うと
加熱してもタコは消化が悪く下痢や嘔吐を起こしたり
おまけにネコは食べ物をほぼ丸呑みするので
弾力のあるタコを喉や消化器などに
詰まらせてしまう可能性があるのだという。
タコの他に、マグロやカツオといった生魚や、イカやエビ
貝などの魚介類にもチアミナーゼが含まれているので
なるべくネコには与えない方が良いらしい。
へえ~、そんなこと全然知らなかった…。
「ほらね、だからボク、タコを残したんです!」 そうなんだ~。ゴメン!
「これからは気をつけて下さいよ!」 はい、気をつけます…。
「なのでボク…こうやって残飯を漁ってるんです。」
え~!それは違うでしょ!(笑)
「ノラ猫は食べて良いものを自分で判断して食べるんです!」
でも、そこにはキュウリの酢の物や
トウモコロシの皮しか入ってないはずだけど…?
「はい!それを今判断しているんです!」
ふ~ん…それで、どうだった?
「食べられる物が無いので、今日はもう諦めて帰ります…」
そうか、じゃあバイバイ!
そうしてノラにゃんこは帰って行った。