noriba-ba's garden

96歳のばあちゃんのワラビ採り

 御年96歳の私の母が今年も山にやって来た。

毎年、今年が最後だと言いながら

誘われるとつい山育ちの血が騒ぐのだろう。(笑)

朝早くから身支度を整えて迎えを待っていた。


行きの車中ではとにかく喋る喋る…。

それも何度も同じことを繰り返し繰り返し。

自分の実家のこと、姉弟のこと、夫のこと、親戚のこと

子どもの頃のこと、友だちのこと…

年を取ると私もこうなるのか…と思いながら

複雑な気持ちで耳を傾ける私。

途中のスーパーで買ったお弁当を

山荘のウッドデッキで新緑の景色を眺めながら

母と久し振りに会う夫と娘と4人で一緒にいただく。 

 昼食後、娘のお目当てはワラビ採り。

「今年はもう私しゃ~ワラビ採りは無理じゃ…」と

言ってたはずの96歳のばあちゃんだったが

何と、孫娘のあとをノコノコとついて来たのにはビックリ!(笑)

さすがに今回は登らなかったが

数年前まではこの斜面を登っていたっけ…。

 ワラビのたくさん生えている穴場に着くと

持参した椅子に座ったままで

「ほれ、あそこにも…、こっちにもあるが!」と

テンション高めに私と娘に指示を出す96歳。

手の届く範囲だが自分でも数本採って満足した様子。

 大収穫のワラビ採りのあとには

山庭でみんなと一緒にのんびりと過ごす。

昼寝を勧めるが「いや、大丈夫!」と言いながら

どこまでもホイホイとついてくる。

 

夕食のメニューは母の希望により、何と焼肉!

「久し振りじゃから、美味しいわ!」と言って

次々とお肉を食べるわ食べるわ…

とても96歳とは思えない食欲に驚く。(笑)


足腰がだいぶ弱ってきたとは言え

この食べっぷりでは、まだ当分大丈夫そうだ。

そう思いながら床に就いたのだが

夜中にゴソゴソと物音がするので見ると

トイレに行きたいのに体が起こせないらしく

ひとりで四苦八苦していた。

いくら食欲があってもそこは96歳だった。

全身の筋力が低下しているようだ。


翌日は近くの温泉施設へ出かけたが

やはり動作が緩慢でかなり危なっかしいので

私は温泉を楽しむどころではなく

足を滑らせないようにと気を遣う羽目になった。

でも久し振りの温泉に喜ぶ母の姿を見ると

 しみじみ連れて来て良かったと思う。


私の親孝行は年に数回だけだが

こんな高齢の母をいつも面倒を見ている兄夫婦は

さぞや毎日大変だろう…と思いを馳せ

改めて感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。


一泊二日を山で過ごした母を実家に送って行く車中で

「こんなにゆっくりと3日も泊まれて楽しかったわあ~」と

いかにも嬉しそうに話す母に対し

(あの~、1泊だったんですけど…)と心の中で突っ込む私。(笑)

でも1泊だろうが3泊だろうがどうでもいい。

要はそれだけゆっくりとできた

そして、楽しかったということなのだと思う。


山に来るのはこれが最後かも知れない…と

毎年のように私も思い、母も口にしているが

今年の様子を見ていると

本当にもう最後かも知れない…と感じる。


同年代の人たちは誰もいなくなり

話し相手もなく唯一テレビだけが楽しみだと

寂しそうに笑う96歳の母を見ていると

長生きしたが故の切なさや悲しみが伝わってくる。

もういい加減にお迎えが来てほしいと言うが

でもこればかりはどうしようもない。

寿命が尽きるまでは生きていくしかないのだ。


96歳の母と丸2日間をともに過ごし

老いていく姿を通していろいろと考えさせられた。

今まさに母が歩んでいるこの道は

何れは自分も通る道なのだ。

その時になってどんな景色が見えるのか

どんなゴールが待っているのかわからないが

少なくとも後悔のないように

心の準備だけはしっかりとしておきたいものだ。


それにしても疲れた…。

96歳のパワーに圧倒されたのか

はたまたエネルギーを吸い取られたのだろうか…

なぜか心身ともに疲労困憊してしまった。

「親孝行したい時には親は無し」とはよく聞く言葉だが

「親孝行たまにするのは疲れるよ」が

今の私の偽らざる心境だ。(笑)


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