笹畝坑道を出てしばらく車で行くと、ベンガラ館という
明治時代のベンガラ工場の姿を復元した建物がある。
のどかな山あいにサーモンピンク色の壁土の建物が
数棟、ひっそりと片寄せあうように建っていた。
建物の中には、昔ながらのベンガラ製法の工程に
沿って、実際に使っていた設備が復元されていた。
設備だけでなく、建物内はすべて褐色のベンガラ色に
染まっていて、どこか別世界に迷い込んだみたいだ。
外に出てみると、閑散として人気のない敷地内に
コスモスが人待ち顔で、物寂しげに咲き乱れていた。
過ぎ去った栄光の日々を懐かしむかのように…。