昨日、令和の初日に書いたトウカエデの改良品種
花散里(ハナチルサト)、別名レインボーツリーの隣りの木に
ふと気がつくと白い棒状の花が咲いているのを発見。
今まで何年も気づかなかったのだが…(笑)
この樹はいったい何の木だろうと調べてみた。
するとどうやら、ウワミズザクラ(上溝桜)のようだ。
山野に生え、高さ20mにもなるサクラの仲間で
春に小さな花をたくさん総状のブラシのようにつけ
木全体が白く霞んだように見える…とある。
うんうん、まさにその通りだ。
そして、4~5月、葉が開いてから
本年枝の先に長さ6~8cmの総状花序をつける。
花は白色5弁で多数、密に咲く。
花序をつける枝には、3~5枚の葉がつき
花を持った1年枝のほとんどが落ちてしまう…とある。
おお、まさにその通りで
房状の花をつけた枝が地面に落ちている。
そして秋には葉が黄色く黄葉し、実が成り
赤く色づいた実はツキノワグマの好物だという。
また、若い実を塩漬けにしたものは
杏仁香(アンニンゴ)と呼ばれ、不老不死の妙薬とされ
三蔵法師は仏教の経典と共に
これを求めて旅に出たという説もあるらしい。
ちなみに花言葉は「持続する愛情」だそうだ。
へえ~知らなかった…そんな木だったとは。
今まで何を見ていたのだろう。
さらにウワミズザクラについて調べてみると
もっと面白いことがわかった。
この木の命名由来だが
その昔、裏に溝を彫った鹿の肩甲骨を
この木を燃やして焼いたときの
割れ目で占い(太占:ふとまに)をしたという故事から
ウワミズザクラと命名されたという。
なので上溝桜という漢字よりも
実は占(裏)溝桜 の表記の方が正しいようだ。
聞くところによると
古代日本ではまつりごとで物事を決める時に
占いは重要な行事(儀式)だったそうだ。
古事記の中の有名な話で
太陽神の天照大神が弟スサノオの乱暴狼藉に怒って
天の岩屋戸に隠れてしまったことで
この世は真っ暗になり様々な禍が起こったとされているが
そのような大事件の時に行われる占いを
太占(ふとまに)と言うらしい。
古事記のこの天の岩屋戸の段には
「天の香具山の鹿の骨とハハカの木で太占をした」とされているが
そのハハカ(波波迦)の木とはウワミズザクラの古名だそうで
牡鹿の肩甲骨をウワミズザクラの炭火で焼いて
骨の表面に現れる割れ目の模様によって占ったとされる。
この太占はのちに中国から亀の甲羅を焼いて占う
亀卜(きぼく)が伝わると廃れていったらしいが
その亀卜にもこのウワミズザクラの木が使われたそうなので
何れにせよ古代の吉凶を占うご神木として
とても重要な役割を果たしていたことになる。
さらに驚いたことに
歴代天皇の代替わりの大嘗祭の儀式には
今でも亀卜占いのご神木として
このウワミズザクラの木が使用されているらしい。
平成2年の大嘗祭では奈良県の天香山神社が
その木を奉納したということなので
今年10月の新天皇の大嘗祭にも使われるのだろう。
そんな古代日本に由来するエピソードが
このウワミズザクラの木にあったとは…
そしてこれほど貴重なご神木だったとは…驚きだ。
それもちょうどこの改元の時期に
うちの山で花を咲かせているなんて…。
そんなこととはつゆ知らず
毎年こんな花が咲いていることも気づかず
名前さえ知らずにいたなんて…。
何ともお恥ずかしい限りだ。
これではまたチコちゃんに叱られそうだ。(笑)
令和の時代になったことだし
これからはボーっとせずに生きなくちゃ!