忘れ花と枯尾花

　晴れ。この冬一番の寒い一日。モーツアルトのフルート協奏曲を聴いて、箕面まで食料品を買いに走る。北風が冷たい。自転車をコギながらハッハッハッハックション。数回繰り返す。ハンカチで洟を拭う。車が後ろからクラクションを鳴らす。やいやいいいなや。くしゃみが止まらんのや。きのうは大阪のどっかで雪が降ったそうな。寒いはず。

　この寒い日に、同じマンションのKさんが息子さんに付き添われてスキーのステッキを手に病後のリハビリ散歩をしてはった。愛犬のブルドッグを散歩させていた美女にも出会った。「寒いですね」「ほんと」。

　　千里南公園の北の花壇に時季外れのタチアオイが純白の花をつけていた。梅雨時に咲き梅雨が明けると終わる花。　　

　　同じ花壇でやはり時季遅れのダリア。メキシコが国花にしている。原産地はメキシコ。キク科。球根で育てる。　　

　　同じく南公園内の牛首ヶ池の小島に枯れすすきが西日に輝いていた。詩心はこういう瞬間に生まれる。
　　　　　　　　　　　　　　　北風に病む身鍛える媼あり　龍尾
　　　　　　　　　　　　　　　北風をあばらに受けて豆腐買う　同
　　　　　　　　　　　　　　　地味ながら花嫁衣装の忘れ花　同
　　　　　　　　　　　　　　　出遅れも笑み満面のダリアかな　同
　　　　　　　　　　　　　　　老いつつも抗う身のほど枯尾花　同