午後、二ノ切池公園の薔薇園をみる。階段状の花壇の前で青年がひとり太極拳をしている。最下段に黄色い花が僅かながら膨らんでいた(写真上)。薔薇というとぼくは、蕪村の「春風馬堤曲 18首」の一節を思い浮かべる。
○やぶ入りや浪花を出て長柄川
○春風や堤長うして家遠し
○堤ヨリ下テ摘芳草 荊与蕀塞路
荊蕀何無情 裂裙且傷股
ゲーテ作詞シューベルト作曲の「野ばら」はだれもが知る歌。なぜか、どちらの野ばらの歌も山野で遊んだ少年時代が蘇える。薔薇は棘をもつがどの花も美しい。この公園に来るたびに消毒などきめ細かな管理をされていることを知る。なにごとも日ごろの念入りな努力が大切。薔薇の根っこを見るとその努力のほどが分かる(写真下)。吉川英治さんの「菊づくり菊見るときは陰の人」を思い起こす。
冬薔薇を育てる人は陰の庭 愚老