OCTAVEBURG 外伝

ピアニスト羽石道代の書きたいことあれこれ。演奏会の予定は本編http://octaveburg.seesaa.net へ

ずるいぜチャイコフスキー

2019-07-23 | 日記

梅雨に時期は、夏はジメッとするもので。雨が降りやすい季節であることは事実なのだが。
私は雨女、とかいう類のものなのか、いやむしろ通り雨女系というか、一歩外に出るとなぜかポツポツないしはサアッといったタイプの雨に当たる確率が高い女だ。(ここ数日のすず様散歩は100%)なのに、それを見越して傘を持ったり、レインブーツを履いたら最後、降りやしない。ということは、雨女と言うより「私ばっかり」的な辱めを受けているただの「アンラッキー」な女なだけとも言える。とはいえ、人生的には結構ラッキーだという自覚はあるので、これくらいのアンラッキーは受けてしかるべきと、ありがてえありがてえと心で唱えつつ、今日もメガネが雨に濡れるわけです。

そんな中、先日素敵なバレエを見てかなり興奮したので久々に筆(?)を取ったのだが
一言、いや三言で言えば

言葉もありませんマシュー・ボーン
ずるいぜチャイコフスキー
やっぱり傑作なのね白鳥の湖。

つまり、マシュー・ボーンの「スワン・レイク」を見に行ったということです。

私があれこれ述べる必要が全くないので無駄に言わないようにいたしますが、毎回マシュー・ボーンの作品は凡人の想像の遥か先を行き、天才は常識とか既成概念とかこんなにも柔軟に越えていけるのかと、ショックなんか受ける筋合いもなく、もう胸がいっぱいになってしまってただただ無言で拍手を送るのみ。ほらやっぱりオリジナルがいいんじゃないの...と思ってしまうところもあるのに、嫌味なく全てが変わっていて、それがあたかもこの演出のために音楽も書かれたのではないかと錯覚してしまうフィット感に、もう驚くしかないのです。チャイコフスキー、起きてみた方がいいわよ!

そしてついついマイナーな世界に目が向きがちな私は、チャイコフスキーなんていうのは、また聴けるしね...とか思って後回しにしてしまう傾向にあるので、白鳥の湖を実は全幕ナマで見たのは初めてだったかもしれません。バランシン演出のあの情景の部分だけ、というのは見ましたが(それもとっても素敵。バランシンの振り付けは音楽的で楽譜を見ているみたい)、白鳥はね...いつでもね...なんて言って見てこなかった。ああ。名作の、この実力よ。ヴァイオリンソロとか。ハープのソロとか(*音楽は録音でした)もう。音楽だけでも美の世界はここにあったのか!と素直に思ってしまった。さらには h moll とH dur の効果的な演出効果に、私まんまと感動してしまって、ラストシーンで H dur になった時に泣きそうでした。(ステージではオスの白鳥たちが猛り狂ってましたけど。)

音楽でも常々ある問題としてオリジナルではない状態で行われる「アレンジもの」の扱いを改めて示された感じでした。極めれば、これですよ。細部まで整ってそれがもうすでに1つの人格(?)を持って息づいていれば、違和感がない。最終的には受け止め側の好き嫌いの問題になるのでそこまでは追いませんが、出す側の人間としては責任と能力、アイディアなど心して取り組むべきと背筋が伸びる気持ちです。(バレエダンサーの素敵さにももちろん背筋が伸びちゃうわけです。美の世界おそるべし。)

それと同時にそのアレンジ(とまでは行かずとも解釈という意味でも)に耐えられる曲というのもすごいと思っているのです。一通りではない、何か新しいインスピレーションを人に与えて、さらに発展する可能性があるという、それも面白いものだなと思います。もちろん、これはこれでなくちゃ!という世界もありますのでね。演奏者という作品と外界とが接する部分にいる立場では、常に作品に尊敬の気持ちを忘れず真剣に向き合うことが何よりも大事なことです。ええ。

あー世界の天才たちはすごいなー 言葉で説明されなくてもわかったもんなー 衣装も素敵だったなー舞踏会のシーンで女性客たちのブラックフォーマルの衣装が忘れられない。

天才のキラキラしたお裾分けをいただいて、私も頭も体も柔軟に生きたいものだと思っています。

*写真は本文とは関係ないけど美しの すず様

女の愛と生涯・私の妄想トレーニング

2019-06-02 | 日記

もちろんこれはシューマン作曲の連作歌曲「女の愛と生涯」のこと。先日、栃木県出身で同じ藝大の同窓生というご縁の小高史子さんのリサイタルで演奏いたしました。お世話になった皆様、聴いてくださった方々ありがとうございました。

2018年3月に憧れの「冬の旅」の後、実は「女の愛と生涯」を何度も聴く(弾いてはいない)機会があった。その大先輩の歌手の方が丁寧に取り組まれる姿は、まさにその曲の中に描かれる「女」の姿と重なり、ときめく少女から子どもを産んだ母のたおやかさ、優しさに包まれていた。それを聴きながら、正直なところ
「うーん、私はやらないかもな...やっぱり「冬の旅」の八方塞がり感の中で、唯一の光は斜め下の視線の先の枯れた花、のような男の世界に落ち着いていくのかもな...」とぼんやり思ったりしていた。

が、世の中には「ご縁」というものがあるもので、その1年後には弾かせていただく機会に恵まれたわけです。

ではまずシューマンについて。

知っている人は、いや気がついている人もほぼいないと思われるが、私は高校時代にシューマンにどっっぷり浸っていた。
第一に自称・文学少女の私としてシューマン自身が文学と結びついている感じとか、自分の中でダヴィッド同盟を作ってフロレスタンとオイゼビウスという違う人格を「飼ってる」ような、(中2的な)いや、ロマン的な感覚が嬉しかった。さらには藝高に受かった直後の宿題が「アベッグ変奏曲」だったことも思い出深い。決め手は、その後の「ノヴェレッテ」のレッスンで私の知識の浅さと甘い勉強方法は先生に叩きのめされたために、図書館に通いつめて調べまくるという趣味を改めて炸裂させることとなった。きっかけをありがとう、という感謝もあります。そしてディースカウの「詩人の恋」と「リーダークライス」のCDを1日1回は聴くという日々を経て、大学時代もシューマンにはことあるたびに随分助けてもらいました。(その後はソロはすっかり縁遠く...。)

そして現在。女と愛の生涯が目の前にやってきた。きたものは覚悟を決めるしかないので、そうだ、今がいいタイミングに違いないと自分を説得し、この機会に恋のトキメキとかも思い出してみようじゃないかと、自分の 女の部分...、...訂正、「自分が思い描く」女、娘、母の面を存分に妄想することにした。

それでいきなりこの前奏ですよ、レベル高。譜読みでもなかなか怖くて音が出せない....

さ、妄想、妄想。(*ここから先は若干昭和の少女漫画風な演出が増えます。勝手に書いているだけですのでご了承ください。)

ときめいて娘の気持ちを妄想して弾いてみると分からなくもない、このリズム。休符が、少女の呼吸の浅さのようで、ドキドキで胸がいっぱいになっちゃって泣くしかなくなっちゃうみたいな。好きな人を目の前にして言葉が出なくなっちゃうのね、お部屋で1人で泣いていたい、なんて、もう、ただの乙女じゃないの!(令和の時代にもまだ存在すると思いたい。)
とか。
あの人すっごく素敵だから私を選ばないで素敵な人と一緒になるんだわ、なって欲しいの、幸せになって!それは私じゃなくていいの(でも私であって欲しい...いけない、そんな望みを持ってはいけないわ)、だってあなたの幸せが私の(いや、そんな...嘘じゃないけど...)...
という( ) つまり心の声多めの揺れる気持ち。最初のピアノの8分音符の連打が勝負でした。

その後告白されて怒って喜びの涙を流すとか、これはもう昭和の少女漫画になりきらないと理解できない。テンション高いぜ!あ、違う、高くってよ!

指輪から結婚式、いいですよね。例え歌詞がわからなくても結婚式の鐘をピアノが鳴らしまくっているので「私結婚しました!」が聞こえてきますよね。妹たちよ、寂しいけど私、いくわね!父さん母さん大事にしてねという、つまり「瀬戸の花嫁」(すみません)。

さてその後は経験談と妄想力が試されましたのでありとあらゆる手段を使っております。

そして、世の中の皆さん本当にごめんなさい、私、犬が好きなもので。動物のお母さんが子育てを一生懸命やる姿、大好きで胸打たれちゃうんです。というわけで、人と一緒にするなと言われても...犬が出てきちゃうのを許してください!
ディズニーの「わんわん物語」アメリカンコッカーのお嬢様犬レディ。(実家で飼っていたので(ハナちゃん)とっても愛着があります。)
ストーリーの前半。レディは飼い主の夫婦のアイドルだったのに2人にお子さんが生まれたために急に相手にされなくなってしまって意味がわかりません。その理由を確かめてやるわ!とこっそり子供部屋に入ります。優しくラ・ラ・ルーを歌いながら寝かしつけをしている揺りかごのところに行って赤ちゃんと対面。そこで一気に母性が目覚めるレデイ。細かい話をするとご主人の手がスッと伸びてきてレディはちょっと(ぶたれる?!)とビクッとしますが優しく撫ぜてもらって安心します。そして「赤ちゃんってなんて可愛いの!私が守ってあげる!」飼い主と3人(2人と1匹)が揺りかごを囲むシルエットが最高の優しく心温まるシーンです。
という、レディの「なんて赤ちゃんって可愛いの!」を妄想していたことは、内緒にしておいてもらえませんか。

そして終曲、ちょっと展開が早くて、え、もうご主人とお別れですか...と、やっぱり女性が長生きしちゃうのよね...が心をさらに複雑にさせます。
「あなたが私の世界の全てだったの」
そしてやってくる後奏。実際の私はこれに怯えに怯えていましたが、歌詞の最後のこの一言がその時々に違う印象を与えてくれます。パアア...と少女時代に完全に戻って弾きたくなる時と、思っても戻れない年月に半ば諦め思いを馳せる現在の自分のままで弾くスタイルとリハーサルのたびに違う気持ちになるのはおもしろかったです。
それとともに女性なら思うでしょ、若さと老い問題。では最後の妄想スタート。

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そっと重ねた右手に結婚指輪に触れた。ああこの金の指輪も随分傷がついてしまったわね、そして私の手。すっかりしわが刻み込まれて娘の頃の滑らかさなんて失われてしまった、それをずっとこの指輪は知ってるんだわ...あなたが私の手を取りこの指輪をはめてもらった日、幸せだったわ、それより初めて会った時、大好きだった、ずっとあなたの事ばかり考えていた、こんな日がくるなんて思わなかったし、時の流れは残酷といえばそうだけれども、そしてあなたがいない世界は考えられないけれど、それでもまた時は流れていってしまうのよ...今までと同じように。
(演出としては 「 、」でつながっていくのが結構ポイント。)
++++++

以上、渾身の妄想でした。(何度も言いますけど私の勝手な妄想ですので苦情は受け付けませんので悪しからず)
この主人公を黒柴・すず様にしたらすっごいしっくりきて気持ちが決まったことはここだけの話にしてもらえませんか。(殿も設定上何回も妄想で葬って申し訳ありませんでした。)

長くなりましたが、私の女の愛と生涯の妄想トレーニングでした。女の愛と生涯、女たちは これは結局はロベルトの理想よねえ、いやいやしっくりくるわ、とかいろいろ意見もあると思いますがそれでこそ人生。人に考えさせてくれる曲はやっぱり名曲なのです。触れられてよかったなと、感謝しています。
そして打ち上げでは魅力的な「女」たちとあれこれ実生活の話していた結果、愛と生涯にはまだまだ加えたい事項が増え、これはもう曲数増やしましょう!ってなったことも、内緒でお願いします。

*写真は妄想の主人公、お姫様抱っこされ中の すず様です。

2018年最後のつれづれ「いざ、ナルニア!」

2018-12-30 | 日記

2018年も暮れゆく中、最後にしたいことを実行してみた。

それは。私の永遠の憧れ「ナルニア」を読み直す。

帯を見るとどうやら映画化が決まった時の記念にもなっているのでしょうか、いわゆる愛蔵版をその時大人買い(私レベルですが)しました。全7巻を図鑑の様な重さで挿絵(これがまたいいのです)も全てフルカラーで1冊にした夢の様な本で大事に大事に飾ってきました。写真のすず様のちょうど横です。

飾って?あら、お気付きですね。ええ、読んでいませんでした。

私は卑しいほどに勿体ぶるというか、大変な「出し惜しみ」屋さんなのでいつかその時が来たらまとめて!と思って読んでいなかったのです。(正直10年越え)

やっと時が来たと感じられたので早速読み始めることにしました。

そして、私は大ファンでありながら、いつもの「大事なところは押さえていない」という惜しさを発揮していました。
ここで一応シリーズを順にご紹介。

1.ライオンと魔女(映画化された・4兄弟が主人公)
2.カスピアン王子のつのぶえ(映画化された・4兄弟が再び戻る)
3.朝びらき丸 東の海へ(映画化された・4兄弟した2人といとこが行く)
4.銀のいす(そのいとこと少女が行く)
5.馬と少年(ナルニアの中の話 4兄弟が統治していた時代)
6.魔術師のおい(少年と少女が行く いわゆるエピソード1)★
7.さいごの戦い(4兄弟の3人、銀のいすの2人が行く)

これは年代順ではなく出版順と言いましょうか。私は次々と小学生時代に図書館でせっせと借りていたのですが、なぜか1冊だけなかった。から読めていなかった。どれかと言えば
★魔術師のおい エピソード1を読んでいなかったのです。
ああ子供の無力さよ。

愛蔵版は年代順に並んでいるのでページを開けば「魔術師のおい」から始まるのですが、手にしたワクワクが激しく、逆に読めない、みたいな謎のテンションにより1ページ目だけ読んで「今ではない!」とか思って温めていたわけです。...どうです、この長持ち具合。10年以上もったいぶれる自分が怖い。。。
というわけで今回は本当に魔法の本を開くかのごとくワクワクに満ちてページを読み進めました。

ああ、なんという!ナルニアの誕生の瞬間!色々なことが全部繋がって私は本当に満足しました。スッキリ。そりゃ自分の家の衣装ダンスの奥からはナルニアに行けないわけだわ。

とにかくナルニアに初めて出会ってからは何十年も経ってしまっているし、映画化された時も感動にうち震えながら見ましたし、それをまた文章で読み直すというのはとてもいいもので。映画は美しく作られていて私は微塵も不満はありませんでした。ただ文章で一言でさらっと行くところをものすごく読み込んで情景描写、実写にしたのね、と制作の皆さんのご苦労に心から拍手と感謝を送り、それでも文章だけでも私の頭には映像化されていたわけですので、その世界観の素晴らしさよ。
そしてそれ以上にナルニアは子どもが勇気を持って立ち向かい、その目的を迷いながらも頑張って達成します。ナルニアのいいところはそこなんです。子どもはちゃんと子どもで無力なのです。でもアスランという、「神」の様な存在ではなく、親でもない、周りの正しい「誰か」が子どもの心の中に勇気や元気を湧き上がらせてくれる。そして自分から解決していくのです。素晴らしい。改めて本を読んで清々しい気持ちになりました。ありがとうナルニア!

という気持ちで2018年を終えようとしていますが、実際は「冬の旅」を行ったことで私は気持ちの整理がついた気がします。そしてロシアの作曲家たち(ストラヴィンスキー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィチ)と改めて胸襟を開いて(って私が一方的にですから変な話ですが)付き合い直したことは大きなことでした。そして、今ここでナルニア。
音楽と文学、好きなものは小学生から変わらないもんだなと改めて実感しております。
好きなものに忠実に、素晴らしい芸術に染まって生きていけるならどんなにいいだろう、と思いつつ。

それを共感してくださる方がいることもいつも感謝しております。
2019年も好きなことを素直に形にしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
羽石道代

(実は愛蔵版の英語版を最初に買って挫折したことは内緒です)

お菓子の世界へようこそ

2018-10-23 | 日記

いつもお酒におつまみに鼻息を荒くしている私ではありますが、お菓子の誘惑にもグラつかされて困っているのも事実です。
改めて何者なんでしょう、お菓子って。明らかにお食事と違う魅力を持っていて、華やかで優しい微笑みを浮かべて美しく佇んでいたり、弾ける楽しさで元気をくれたりする、なんと、魔性な。。(ああ、砂糖め。)脳も欲しがるとのことですが、単純に手に取る、目で見る、口に入れた時の忘れがたい特別な経験が長年のクセになっているに違いありません。(ああ、習慣め!記憶め!)

と随所に戒めの心の声も出ちゃいましたが、今はダイエットの記事を書きたいわけではありませんので大いにお菓子を讃美していこうと思います。

それもこれも10/26の演奏会で湯山昭の名作、いや、銘菓「お菓子の世界」を抜粋で演奏するのでお菓子について語ってみたくなったのです。今回の演奏会の発端が「ハロウィンイベントしようよ」という年甲斐もない友人の狂った発言だったので(とはいえ話を詰めていった結果「要素的にハロウィン」程度に落ち着きました。ご安心ください。)、音楽には悪魔だの呪いだのもたくさんありますが、いやいや、ここはお菓子だ!と思いつき、今回も選曲は完璧です。

この作品は多くの方が子供時代にピアノのお稽古で、それこそご褒美のように与えられて甘い楽しい思いをしてきた作品ではないでしょうか。私自身は子供時代には弾く機会はなかったのですが、小学校の1年生頃だったでしょうか、ピアノのクラスのクリスマス会で先生が弾いてくれた「プリン」が実に印象深く私の記憶に刻まれているのです。わー本当にプリンだ、揺れてるみたいねと仲間と話したことも覚えています。その後生徒さんとのレッスンの中で再開し、楽しい、可愛い、面白い、弾くのも楽しい!さすがベストセラーの銘菓、毎回美味しく味わっていました。

では美味しいお菓子に対する私の熱い想いと曲のことを勝手に語ります。今回はお店の名前も遠慮なく書いて行きますよ。

第2曲 バウムクーヘン:シンプルケーキの中の王様だと思っています。薄く重なっている手間と技が、ふわっとしているのにちょっとサクッという歯ごたえもあって、幾層にも楽しみがやって来ます。周りのうすーい砂糖が華を添えてます。もちろん始まりはユーハイム。そして ねんりんや の しっかり芽 の新しい食感にはまったな...さらにお友達情報で知った クラブ ハリエ。ああ卵の香りよ。カフェでいただく焼きたてバウムには言葉もありません。本場ケルンでも食べた記憶が蘇る。
音楽もフレーズの層の重なり、だそうです。コーダがテンポが上がってめくるめく喜び、みたいになるのがめちゃくちゃ共感できる。笑

第3曲 柿の種:これは確実に浪花屋です。美味しいですよね。新潟帰りにポリポリしながら友達が「柿の種はピーナツ派ですか、柿の種(おせんべい)派ですか」と聞いてきて一瞬怯んだ。チョコがけはしなくて大丈夫です。曲もカリッと!粋でピリッとしてます。

第7曲 ドロップス:実は飴って疎遠なんですが...ドロップスという言葉の響きは輝いて聞こえる。宝石のように色とりどりでキラキラと、カラフルな夢のような音楽。

第8曲 チョコバー:チョコレート、嫌いな人っていないでしょ!という恩師の言葉が忘れられず。笑 チョコバーとはチョコにあれこれザクザク混ざっている食べ応えのあるアレのことのようです。初めてのゴディバのトリュフの満足度に驚かされましたが、このチョコバーというのも負けてませんよね。ザクザク美味しい ...ここはやっぱり、ロイズ と書くのが正解でしょう。札幌の空港でこのポスターをずっと見ていて、買わないで帰ることが本当に難しい。そしていただいた時の心の中のガッツポーズに我ながらびっくりする時がある。

第10曲 クッキー:実は最近素晴らしいクッキーを知ってしまいクッキーに最敬礼しているところです。それは東京の老舗の村上開新堂。
http://www.kaishindo.co.jp/products/cookies.html
明治時代からの老舗だそうで、お恥ずかしながら私、知りませんでした。小さな箱の中に20種類を越える様々なクッキーがぎっしりと!本当にぎっしりと美しく詰め込まれているのです。これは、誰もが思わず声をあげてしまうのでは。固く焼かれた軽やかなクッキーでそれぞれの味わいは品良くエレガント。これぞ「洋菓子」。当時の明治の日本人の夢が詰め込まれているのではないでしょうか。これはまた出会いたい、そして皆さんにも出会ってほしいクッキーです!

第12曲 ソフトクリーム:この曲とは別の「僕は王子ではないけれど アイスクリームを召し上がる、アイスクリーム...」という楽しい歌がありますよね、その曲を思い出しちゃうようなウキウキを感じます。
アイス食べたい...と思うたびにTV番組でアイスの特集をしていた時に人気の芸人さんが
「アイスは白いからカロリーゼロ!」「アイスは冷たいからカロリーゼロ!」
の言葉が私を支えてくれます。...いやいや。違うから。

第14曲 鬼あられ:甘いのもいいけどしょっぱいのもね という無限ループを後押ししてくる あられ。ちょっと調べてみましたが、米菓の中で「あられ」というのはもち米を原料とした小ぶりのもので、うるち米からできる「おせんべい」とは作る工程もかなり違うんですね...知らないことっていっぱいあるな...。曲はもちろん和風です。

第15曲:マロングラッセ:一度でも栗を扱ったことがあれば、いや、なくても知っているでしょう、あの大変さ。(といって私はちゃんと処理したことはありません。)それをあんなにも柔らかく美味しく、甘みを染み込ませてくれて...と栗のお菓子には本当にひれ伏します。シシリエンヌのような揺れるリズムで少しノスタルジックな音楽です。モンブランケーキにのっていたらなお心浮き立つ。

第16曲 金平糖:ツノの生えたお星様のような金平糖。色とりどりでかわいいですね。作り方も繊細。音楽も繊細。

第17曲 プリン:先ほども書きましたが、この曲はプリンプリンしてます。笑 プリンに感銘した小学生の私は成長し、自分で作ろうと試みたことがありましたが、なにせカラメルソースが怖いし難しいし(苦いし)何かいい方法はないだろうかと思っていたところに、私が大学生当時押しも押されぬ人気料理研究家の栗原はるみさんのレシピで「カルーアプリン」というものがありました。これだ、と。三温糖を底に敷いてカルーアミルクを入れたプリン液を入れて蒸し焼きっぱなしでいいという神レシピでした。

この曲集のお菓子もまだまだありますし、その他のお菓子で好きなもの、例えば、カヌレ(いつも探してます)、ガトーバスク(これはメゾンダーニ!)、美味しい高カカオチョコレートも興味深い。和菓子は栗きんとん(すや 今年も無理か...!)、パイナップルケーキ(台湾で覚えてしまった)、あと、ヌガーグラッセ...リースリングと合わせたら至福の味わい。
ああ。キリがない。
そしてこれをどうやってセーブしながら食べていけるのか。お酒も飲みたいし、糖分をこんなにとっては罪が罰に..ああ難しい!

心から言えるのは
お菓子の国よ、永遠なれ。

*写真は数年前ロンドン、憧れのフォートナム&メイソンのアフタヌーンティー。全てが美味しい!量も味も満足すぎる!これぞ完璧なお菓子の世界でした。(一生に一度はと思っていたけどまた行きたい気持ちがムクムクと。。)
+++++++++++
2018年10月26日(金)20:00- 原宿・カーサモーツァルト
Ensemble Sabbath 歌う女、奏でる女、弾く女〜艶やかなる宴〜
出演:長谷川忍(メゾソプラノ)、佐々木絵理子(ヴァイオリン)、羽石道代(ピアノ)
お問い合わせ:sabbath1026@gmail.com

夏のドキドキ★親子でお化け屋敷体験

2018-08-19 | 日記

本日 佐野のとある素敵なサロンで釜洞祐子先生の声楽の勉強会があり、おなじみキュートな実力派ソプラノの篠崎加奈子さんの伴奏で参加してまいりした。そこには楽しい気づきと学びがありました。
佐野は栃木県内とはいえ私はなかなかご縁が薄くて滅多に足を運ぶことのない場所ですが、そういえば最近目にした「佐野」といえば。
それは。
宇都宮・オリオン通りで行われている夏限定「お化け屋敷」。ここのお人形はみなさん佐野の生人形だとか。ナマだと...?怖すぎるでしょ、と思ったら「生き」人形だそうで。伝統工芸品です。
母がチケットがあるとかで盛んに行こうと誘ってくるが、暑さもあって全く乗り気ではなかったが、たまたまベートーヴェンのソナタについて生徒と話しているときに「この和声とか転調とか、すごいよねー...ここ行くの?!って驚き。えっ気が付いてないの、全然お化け屋敷でびっくりしない人みたいじゃん 笑」という会話をした時に、

あらあら、それは私では。こういうドキドキを面倒くさがってはいけない。
ここはひとつ、ドキドキしに行くか!お化け屋敷。

ということで(ちょっと異様ですが)母と連れ立って年甲斐もなくドキドキしに行ったわけです。

とあるビルの2階ですが、階段には電気がついていないので薄暗くてすでにちょっと怖い雰囲気。入り口では神妙な顔つきのお姉さんが静かに受付をしてくれます。先に親子連れ(私たちも確かに親子連れだが)がいらしたので、ちょっと待って入ることに。会場はずっとお経が流れているし、不気味なライティングで生首が祀られてたりするのでかなり「ぽい」感じです。

さて、入ります。
ここからは分かってもらいにくいとは思いますが、皆さんの想像力を頼りに順を追って箇条書きで失礼します。家族内輪ネタみたいな感じで恐縮です。注:母は大変勢いがある人間です。

①母が(頼んでないけど)「行くよ!」と先に立つ。入ると真っ暗で「見えない、待って待って」というのに勝手にズンズン行ってしまうので私は追いかけるので必死。

②上からプシュッと空気をかけられたりして結構びっくり。その度に私は「うわーあっぶねー あー怖い怖い」を繰り返す。(いや、本当にびっくりもしてるけど、何でしょう、こういうときに何というか黙っているより「怖い」と唱えておくのがいい気がしたし、せっかくびっくりしに来ているのでその気分を高めるためにも言い続けてみた)

③母がはブニブニしてタガタする装置がついた廊下で「あっここは危ない、年寄りは足元が危ないのが一番怖い、あんたも気をつけな!次も太鼓橋みたいになってるよ!」とネタバレ...いや、注意を促される。

④母は流石の長寿の知恵で先を読みまくる。次の角で何が起こるかを激しく予想。「あっここに何かいる、横から出てくるんじゃないの?」と言ってそれがセンサーで動いたりライティングされる前に目をつぶってダッシュで通過(さっき足元危ないって言ってたのにダッシュなのか) 。おかげで私はタイミングが合わなくてちょっと微妙。(いや、それでもなかなか怖いんですよ)どんどん先に行ってしまうから相変わらず追いかけるのに必死。

⑤母が「わ!...ゴニョゴニョ...」と言って何か前かがみになっている。「えっ、どうしたの?」ゴニョゴニョをよく聞いてみたら「すっごい驚いちゃったけどワタクシメでございました...」とボソボソ言っていて、改めてその部屋を見たら大きい鏡が置いてあり、そこに写った自分の姿にどのお化けよりも驚いてしまったらしい。そのついでにレースのズボンにバッグの一部が引っ掛かってしまったらしく必死で取ろうとしていた。

なんで?!

私、爆笑。

実は来る前に家で言っていたのだが「お化けよりもオバさんの方がびっくりするよね」が本当になってしまって「やっぱり言った通りじゃん、オバさんの方が怖いよ、あっはっは」とさらに笑いが止まらなくなる。

⑥体制を整え直して進むもネタバレ...注意が繰り返される。「上から来そうだから気をつけな!」。私は⑤の思い出し笑いが止まらず(イヤイヤ、この辺りは結構怖かった。機械仕掛けの人形の動き、っていうのも人間のスムーズな動きより結構怖い)。

⑦最後「このドア、どうするんだい!」「いいから押して開けてー」
というところで無事生還。

そこでも私たちも出た瞬間大爆笑で、さっきは神妙な顔つきだった受付の2人のお姉さんたちも大爆笑してた。全部同じフロアだから私たちの会話が全部聞こえていたらしい、そりゃ笑うよな。(お姉さんたちのお疲れも癒えたかと)他のお客様がいなくてよかったよかった。

久しぶりに涙が出るほど笑ってしまった。あれっ、お化け屋敷で怖いドキドキするはずだったのに。
今でも思い出し笑いが結構やばい。楽しい夏の家族の思い出となりました。

写真はその後買った私の好きなコスティエールドニーム。その日はよく笑いよく飲みました(よく飲んだのはいつものこと)。