<雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る> 小林一茶
新聞のコラムを見て、確かに「スズメの子」を見たことがあっただろうかと。おもしろいコラムだったので、動画を作成し、話者も小さな女の子で、初めて作ってみました。イラストをたくさん使わせていただきました。ありがとうございました。(提供:みさきのイラスト素材さん)
(本文)
◆スズメは年中そこらにいるため季語のくくりはない。ただ「スズメの子」となると、春に分類されている。
◆何年か前、この著名な一茶の句を眺めていてふと思った。そういえば、スズメの子を見たことがあっただろうかと。明治に活躍した俳人、藤井紫影にも散歩道で会ったらしいスズメの子の句がある。
<子雀の一尺飛んで親を見る>
◆綿毛のとれたばかりの羽で巣から降り、ちょこちょこと不安げに飛ぶ練習をする姿だろう。ものの本によれば、親と一緒にいるのは10日ほどらしく、どうやら今年も見る機会を逸しそうである。
◆しかし代わりにというと変だけれど、このごろ散歩道で多く見かけるのは人間の子供たちである。ある男子のグループが同じ広場に集まってくる。午前中はゴムボールで野球、午後はサッカーと思ったら、翌日は午前にサッカー、午後に野球をしていた。
◆勉強はいつしているのだろう? 心配になるものの、笑みがこぼれて楽しそうである。学校の休みが続く異常な春のもと、元気に外に出て、子供たちなりに飛ぶ練習をしているのかもしれない。
【読売新聞 編集手帳 2020年(令和2年)5月20日より】
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