今回のラボ通信は『顕微授精時の紡錘体観察』についてお話させて頂きます。
当院では去年の6月より紡錘体可視化システム(IX-ROBOpolar;ロボポーラー)を導入しております。これは、卵子の紡錘体(染色体の分裂に関わる;通常の顕微鏡では観察できない)を避けて、より安全に顕微授精を行うことができるシステムです
通常紡錘体は下の写真のように、第1極体と呼ばれる“でべそ”の近くにあります。
12時にある白いものが紡錘体、そのすぐ上には第1極体
そのため従来の顕微授精法では下の写真のように、紡錘体が第1極体の真下にあると想定して、第1極体を12時(または6時)の方向に固定し、3時の方向から針を刺して精子を注入しています。
12時にある丸いものが第1極体
しかし、約30%の卵子では、下の写真のように紡錘体が第1極体から30度以上離れている場合があります。
2時方向にある丸いものが第1極体、11時方向にある白いものが紡錘体
上の写真の卵子の場合、紡錘体を観察せずに3時の方向から針を刺してしまうと、紡錘体を損傷する恐れがあります 紡錘体に傷が付くと、受精しなかったり、受精しても育たなかったりといったことが考えられます。
下の写真のように紡錘体を12時方向に合わせて、3時から針を刺せば、紡錘体を確実に避けて、安全な顕微授精を行うことが可能です。
9時方向にある丸いものが第1極体、12時方向にある白いものが紡錘体
以上が、紡錘体観察についてのお話でした
ご質問がありましたら、いつでも胚培養士にお声かけください
最新の画像もっと見る
最近の「検査室、IVFラボ」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事