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孵化補助をしても受精卵は大丈夫?

こんにちは今回は皆さまの疑問に培養室よりお答えいたします。
移植前に実施する孵化補助に関するお話です。当院では、移植する受精卵に孵化補助を行うかについて、患者様に事前にご希望を伺っております。
その時に
「受精卵に針を刺して傷がつくことはないの?」
「移植した後の受精卵の成長には問題ないの?」
このようなご質問をよくいただきます。

まず孵化補助とは何か?
移植する前に、受精卵を守る透明帯という殻に切り込みを入れて、受精卵が孵化しやすい状態にすることをいいます。
孵化補助を行う目的や、具体的な方法などは別記事に詳しく紹介していますこちらをどうぞ⇒ラボ通信#18:移植胚の孵化補助について



透明帯とは将来赤ちゃんになる部分ではなく、あくまでも受精卵の中身を守る殻です。通常、着床の時には、受精卵は自力でこの殻を脱ぎ捨ててから子宮の内膜に潜り込んでいきます
孵化補助を行う時には、受精卵と殻の間のわずかな隙間に針を刺していき、殻の部分にのみ、切り込みを入れていきます。受精卵(細胞質)に傷がつくことはありませんので、ご安心ください

また、移植する受精卵の発育状態によって、切り込みの大きさも調整します。採卵後2~3日目の初期の段階の受精卵では、もう少し殻の中で育っていく必要があるため、切り込みはやや小さめに入れておきます。採卵後5日目の胚盤胞の場合には、大きめに切り込みを入れておき、すぐに孵化できるようにしておきます。このように、移植した受精卵のその後の成長に問題が出ないように、注意を払いながら孵化補助を行っています

他にも受精卵の状態(殻の厚さなど)によって孵化補助の必要性は変わってきます。殻が厚い受精卵の場合、孵化補助を実施する事によって、妊娠率が改善されるとの報告もあり、お勧めさせていただいております。詳しくは移植前の説明の際に、胚培養士・臨床検査技師からお話しさせていただきます。

以上が、孵化補助に関するお話でした。ご質問があれば、胚培養士・臨床検査技師にお気軽にお尋ねください
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