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ハロースパーム検査 : 精子DNA断片化率

皆様こんにちは
今回のラボ通信は、当院で行っている『ハロースパーム検査』についてお話させていただきます。

ラボ通信#8『クルーガー検査』と同じ、精液の特殊検査です。
タイミング・人工授精でなかなか妊娠できない。
体外受精・顕微授精にステップアップする予定
精液所見が悪い
などの場合にオススメしています。

クルーガー検査は精子の形を詳しくみる検査ですが、ハロースパーム検査は『精子DNA断片化率』を調べることにより、精子の質を詳しくみることができます。

では、『精子DNA断片化率』とはどのようなものでしょう

精子の頭部(あたま)には、鎖状の形をしたDNAと呼ばれる遺伝物質が入っています。このDNAの鎖が切れている(断片化している)状態の精子を『質が悪い精子』と判断し、精子全体の何%存在するかを『精子DNA断片化率』として算出しています。

検査方法は、
スライドガラスに塗抹した精液に特殊な薬品を反応させて、乾燥させた後に染色します。光学顕微鏡下で200精子観察し、断片化している精子と断片化していない精子の数をかぞえます

断片化していない精子(=質の良い精子)は試薬に反応して、下の写真のようにDNAが毬藻(まりも)状に広がります。この広がった状態をHalo(ハロー)といいます。ちなみにスパームは精子(Sperm)のことです



断片化している精子(=質の悪い精子)は試薬に反応せず、下の写真のように精子のあたまが凝集した状態になります。



ところで、聞いたことはあるけどよく分からない・・・
染色体、DNA、遺伝子って・・・そもそも何

みなさん、ビデオテープを想像してみてください。実はあれによく似ているんです
ビデオテープ本体は『染色体』、ビデオテープの中に納まっているテープは『DNA』、テープに写されている1コマ1コマは『遺伝子』、そして画面に写される映像は『遺伝情報』に見立てることができます

つまり【DNAが断片化している】とは・・・
【テープが切れて、ビデオが見れない】状態なのです。


では、この検査をすることで、どのような事がわかるのでしょう

精子DNA断片化率が高いと、妊娠しにくく、妊娠の継続も難しい(=流産する)傾向があると考えられています。
そのため、検査値が30.0%以上の場合は『男性への治療』をお勧めしています。


長くなりましたが、以上がハロースパーム検査についてのお話でした
ご質問等がございましたら、いつでも臨床検査技師・胚培養士にお声かけください
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