今回のラボ通信は、精子がどのようにつくられるかをお話しさせて頂きます。
一般的にイメージされる精子は、元気に泳いでいるおたまじゃくしの形をしています
実は、精子の素となる精原細胞(せいげんさいぼう)は丸い形をしています。
丸い細胞からおたまじゃくしの形になるまでには、長~い時間がかかるのをご存じでしたか
実は・・・
精子が精巣でつくられて射出されるまで、約3か月もかかるのです
まず、丸い精原細胞は精巣にある精細管(せいさいかん)でテストステロンなど各種ホルモンの作用を受け、約72~74日かけてあのおたまじゃくしの形になります。
ここではまだ精子は泳げません
おたまじゃくしの形になった精子は約14日かけて、精巣上体(せいそうじょうたい)(副精巣)へと移動します。
この精巣上体で精子は成熟して、運動する能力を得ます
精巣上体で精子は蓄えられ、射出時に精管へ移動して排出されます。
精子形成は絶え間なく起きており、約34℃で最も効率よく行われるとされ、精子の完全な成熟までには上記のとおり約3カ月を要します。長いですね
このように、精子形成にはとても長い時間がかかります。
この3か月の間に、例えばご主人が・・・
インフルエンザにかかった
仕事が忙しく、物凄いストレスがかかった
長い期間服用している薬がある
などの影響で、精子濃度や運動率、精子の質が悪くなるかもしれません。
また、精索静脈瘤のある方は精巣内の温度が高くなり、精液所見に影響が出る可能性があります。
では、精液所見を良くするにはどうしたらいいのでしょう
逆に3か月、健康的な生活を送りましょう
3か月、暴飲暴食を控える
3か月、サプリメント(ビタミン類)を飲んでみる
3か月、禁煙してみる
精液所見改善の目的で服用されているお薬も、3か月後に効果を判定しています。
まずは3か月、頑張ってみてはいかがでしょうか
また、禁欲期間も大事な要素です。
検査を行っていると、たまに「30日」「2-3か月」「たぶん1年」などの期間を目にします
上記にもありますが、射出されない精子は精巣上体に溜まっているのです。
「たぶん1年」・・・1年分の精子が溜まっている訳ではないのでご安心ください。射出されなかった場合は体内に吸収されるなどでなくなっているはずです。
ですが、精子の質は悪くなっています
新鮮な精子を蓄えるという意味でも、なるべく定期的に射出した方が精子の質は改善されます。特に人工授精・体外受精(顕微授精)の時は、「禁欲期間を2~7日」に合わせてください。
「30日」「2-3か月」「たぶん1年」なら、「0日」や「1日」の方がマシだと思います
以上が、精子形成に関するお話でした。何かわからないことがあれば、いつでも胚培養士・臨床検査技師にお尋ねください
また、当院では男性泌尿器科医師による男性不妊症外来を設けており、不妊症専門医との連携のもとに、男性不妊症の治療を行っております。診療予定など詳しくは、HPでご確認ください
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