こうじ (麹、糀) の元の「種菌」=「もやし」
連休の最後は、越前陶芸村の師匠を訪ねた。
師匠「ぼくの親父はかつて秋田で“もやし屋”をやっていてね…明治時代からだな…」
筆者「“もやし”…???」
師匠「日本の発酵食品の要となる麹の元の“種菌”のことを“もやし”と言ったんだよ!」
筆者「…?」
師匠「“もやし”は“萌える”(芽が出る)…の意味があって、菌が芽吹く姿から“もやす”、さらに“もやし”と呼ばれたんだ」
筆者「ええ~っ! そうだったんですか(゜〇゜;)」
師匠「“こんのもやし”と呼ばれていたよ。」「秋田の会社で、大阪にも関連会社があってね、今どうなってるかなぁ…」
筆者「なるほど、発酵食文化の原点ですね~驚いたなぁ、先生が“食と健康”や“自ら仕込む”ことにこだわりが強いのもそんなご縁からなのでしょうね(*゜Q゜*)」
師匠「そうそう、昔の種菌のラベルが先日出てきたんだ…」…
筆者 …「うわ!これは年代物だぁ~」
日本に数えるほどしかない種麹(糀)菌の老舗の話を目の当たりにし、往時の苦労を偲ぶほどに、現在の「酵素(こうそ)」‥いまだに 酸素(さんそ)と読む人がいるので念のため‥ブームが、まだまだ表面的な コマーシャル意識ではないかと危惧してしまう。
秋田今野(こんの)商店のホームページで以下の解説が目についた。
「麹の製造目的は麹のつくる酵素ですが、種こうじは麹づくりの種菌ですので製造目的が胞子の生産です。」
「種こうじは1週間近く培養するために栄養の豊かな精白歩合の高い米(玄米)などが使われます。」
「保存性の向上のために必ず乾燥します。」
…なんだか、“玄米酵素”の研究~製造をも連想してしまう。
無欲で万人の為と、酵素研究で大きな成果をあげた岡田悦次氏がルーツ!
筆者が師匠と呼ぶのは、越前焼(福井県)の陶匠、佐藤 茂 師(79)。かつての仕事場には、若かりし頃の宮崎駿氏がスポンサーを求めて来社時に面接し、光るものを感じていたというから聞き捨てならない。
師匠は、火山 久氏(日本のオカリナ中興の祖)と同様、オリジナルの「土笛」の吹き口に自然の風を集めて「風琴」のように鳴らすことを試みたという。
焼き物と土笛と発酵文化関わり…と不思議なご縁!
師が師なら弟子も弟子…なんておこがましく比較すべくもないけれど、繋がりの妙を想わずにおれない、
■佐藤 茂(さとう しげる)プロフィル
1936年(昭和11) 秋田県横手市生まれ。広告デザイン等を経て、1970年 スエーデンに渡り、ニッケルビクス美術学校陶芸科で グレータ・ミユッシル師に師事。1973年 スエーデン国立芸術大学で ガラスや陶芸を学ぶ。1976年 福井県越前陶芸村に五黄窯を築き、1992年 火輪動窯とする。
土塊に空洞を設け、交差した直線と丸で掘り込み、幾何学的(アイヌ民族衣装的 )な文様を施した森シリーズ、また、眼光鋭い真ん丸な目を持ちながら穏やかな表情の小鳥のような「春の笛」シリーズ等々、独自の深く豊かな精神性と原初的なエネルギーの発現を感じさせるものがある。
〈参考〉「もやし」は本来、穀類や豆類の種子を水に浸し、暗所で発芽、成長させたものの総称。特定の植物を指す呼称ではない。
「もやし」の語源は「萌やし」や「芽やし」といわれており、広義では「スプラウト」と呼ばれる新芽作物全般を指す。タケノコやカイワレ大根なども「もやし」の仲間と云える。
一般的に、単に「もやし」という場合、緑豆を発芽させた「緑豆モヤシ」を指すことがほとんどで、野菜炒め等々料理の具材として用いられている。