第2話-14

　言い終わった痩せた骸骨は、顔をスーツから出した。パスする相手がよく見えるようにだろう。男の顔は頬がこけていて、見た目は骸骨とそんなに変わらない。
　赤沢から連絡を受けた黒木は、青山にこっそりライトを渡した。青山は低い姿勢で移動した。黄はさっき倒した骸骨の足を持って動かした。
　「村、村田さんの後ろに、骸骨が１人。走り出そうとしてます」

　村崎が振り向いて、骸骨との距離を確かめた。俺の後ろ３メートルくらいのところに、肩幅の広いラガーがいる。黒木隊長みたいに足を掴めるだろうか？
　ラガーの姿勢が前傾になり走り出した瞬間、「アイヤ！ワタシ鍵かけてくるの忘れたよ！」と黄が叫んだ。タイミングを失ったラガーは２、３歩走って宝箱の方を見た。顔だけ出した骸骨がドクロを持った右手を後ろに引いた。ラガーはもう一度走り出す。

　「ごめんなさいネ、ワタシ帰ります」細い体の黄はラガーの前に立った。青山が骸骨の真正面からライトを照らした。投球体制に入っていた骸骨は、眩惑して目標を見失った。手を離れたドクロは理想とはかけ離れた放物線を描いて、高く上がった。