第2話-20

　先頭でパレードの終点まで来た５人は、従業員用の更衣室で元の作業服に着替えて、迎えに来ていたワゴンに乗った。ワゴンが走り出すと、ＴＤＬからもらったコーラを飲みながら、「ミニーちゃん、ありがとう。黄さんが女だったら、俺、惚れてた」と赤沢が言った。
　「ライトで脅かしちゃったからね」
黄はライトを取り出して、下から自分の顔を照らした。

　「やっぱ惚れない。やめろよ、そのいたずら」
　黄からライトを取り上げた赤沢がメーカー名を見て笑った。「何？これ。ペナソニック？」

　「スタンガンもあるヨ。これはソミー製」
　黄は中国人を演じるお笑い芸人みたいな口調で言った。

　「中国３０００年の秘法ってそれだったの？」
　村崎は大笑いした。

　「青ちゃん、この名前気付いてた？」
　赤沢に聞かれた青山は、「マストに上りながらだったし、暗かったから見てないよ」と答えた。
　「マストって梯子とかついてたっけ？」
　「あったら使ってたよ」

　事件の間は客を誰も近付かせず、オシッコもれそうの一言で俺達を子供達から脱出させた緑川も含めて、こいつらスゲエ。俺以外なら誰がレンジャーになってもおかしくない。
村崎は優秀な清掃作業員になる決意をした。