王様、家に来たばかりの頃の事覚えてる?
君は4年間もの間、誰かからひどい虐待を受けて、
心も体もボロボロになってやって来たんだ。
家から出るのが嫌で、何もかもが怖くて・・・・・
お散歩どころじゃなかったよね。
一歩も歩かない王様は、小さい体で踏ん張ったまま、
私の顔を一色懸命見ていた。
「どこにも連れて行かないで!」そう言っているのは知ってたよ。
王様をそんな風にしたヤツを見つけ出してぶっ飛ばしたかった。
私は王様に外の世界を見せたくて、
家の周りを毎日抱っこして歩くことにした。
色んな話をしたね。王様は私の顔を見て、ちゃんと聞いててくれたよね。
それは一年間続いた。歌を歌いながら歩いた日も有ったね
王様、君はけっこう重かったんだゾ。
一年経ったある朝、王様は突然自分で歩き始めた。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
涙で前が見えなかったけど、王様のお尻を見てたら真っ直ぐ歩けたよ。あはは・・・
家の前の毎朝見る景色だって、あの日から違って見えるようになった。
角を曲がれば、王様の一番好きな誰も来ない道だよ。ズンズン行こう。
後ろを歩いてる私には王様の顔は見えないけれど、影を見れば笑ってるのがちゃんと判るよ。
ただいま~!
さあ、御飯にしよう!
いっぱい歩いて、お腹が空いたものね。
それにしても、私は王様のお尻ばっかり見てるんだなあ。
王様、勇気を出してくれて有り難う。私と一緒に歩いてくれて有り難う。
明日もあさっても、ずっとずっと毎日お散歩に行こうね!
ニコニコ笑って、胸を張って、お尻をプリプリ振ってサ