前回を少し引きずるお話なのですが、
土井家の若先生が番組中、こんなことを仰っておられました。
「お料理と申しますのは、練習するといったものではございません。
繰り返し作ることで慣れて参りまして、手が動くようになって参りますね。」
大変に奥の深いお言葉です。
特に『手が動く』ということは、料理に限らずとても大切かと思います。
手が動くというのは、単に手先が器用であるとか手早いということでは有りません。
『手を動かす』ためには、まず『心を動かす』というのが前提にございまして、
料理をしていて少しでも手が空けば、サッと洗い物を済ませたり、
野菜くずが目についたら、鍋に掛けてスープストックを取っておく。
宴が盛り上がり、テーブルの食べ物が心もとなくなって来たならば、
頃合いを見計らって、一品二品と見繕う。
この様なことは、気働きが出来て初めて行動になるのです。
若先生が仰られた「手が動く」ということは、こういうことではないかと思う次第です。
これは、陶芸を人様にお教えしていても同じです。
最初は皆様同じようにぎこちなくとも、手が動く、すなわち気働きの出来る方は、
いずれ必ず素晴らしい作り手となります。
本日は、ランチの集まりがございまして、イタリアンをお腹いっぱい頂きました。
会食続きの今日この頃、せめて自宅で食事の出来る時には、
内蔵を休め、デトックス効果が高くてカロリーの低いお食事を。
こんなこともキッチン担当の私にとっては気働きの一部かと心得ます。
で、本日は焼きキノコのサラダ。
ミネラルと食物繊維が豊富で、カロリーは無いに等しいキノコ。
このキノコの旨味を、焼くことで引き出すサラダです。
天板にオーブンシートを敷き、沢山のキノコを並べ軽く塩こしょうします。
本日のキノコは、しめじ、エノキ、エリンギです。キノコなら何でも結構です。
これを高温のオーブンで10分ほど焼きます。
その間にドレッシングを用意致します。
薄切りにしたニンニクを多めのオリーブオイルでカリッと揚げ焼きにします。
ニンニクは焦がすと苦みが出ますが、
焦がさずに中までカリッとさせるコツは低温で少しずつ加熱することです。
刻んだアンチョビ、レモンジュース、バルサミコ。
これらをニンニクが程よく揚がった頃合いを見計らって加えます。
これがドレッシングとなります。アンチョビが塩加減をしてくれますので、
これ以上塩気を加える必要は有りません。
キノコが焼けました。
キノコというのは焼きますと、甘みと土の香りが高まります。
炒めたものとは味も食感も全く違います。
お好みの葉野菜と熱々の焼きキノコを大きなボウルに入れて、
上からこれまた熱々のドレッシングを廻しかけて、優しく大きく混ぜます。
私は、暖かいものと生野菜を合わせるサラダを度々ご紹介しておりますが、
私はこの手のサラダが本当に好きなのでございます。
具材の熱が生野菜に程よく味を入れてくれ、ご馳走感溢れるサラダになります。
この種のサラダは前もって作っておくことには適しません。
キッチンに立って、よく手を動かし、楽しく作って楽しく頂きます。
では