いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

羽生善治氏に聞く!~将棋とコンピュータとその未来~

2013-11-23 18:50:19 | 日記
以下の記事は、5年前に書いたものです。
羽生先生の先見性を証明するものです。
5年たっても、色あせていません。


本日、電通大で開かれた講演会に行ってきました。
題は「羽生善治氏に聞く!『人間と知的システムのコラボ~将棋とコンピュータとその未来~』」です。
出演は羽生善治氏とゲーム理論の権威電通大教授伊藤毅志教授。
コンピュータはプロ棋士を越えるのか。
羽生氏が、コンピュータ理論をふまえながら、現役プロ棋士として、意見を述べ、伊藤氏が質問、コメントをしました。
コンピュータの長所は、疲れない、漏れのない膨大で単純な計算ができること。読みの数が圧倒的に多い(1秒で数億手)。人間のプロ棋士の長所は余計な手を切り捨てることができること。
コンピュータの短所は、序盤で長所を見通した構想力がない。これが、人工知能に残されたテーマです。
人間のプロ棋士は、大局観の基づいて直線的な先読みができる。
このことをふまえ、人間とコンピュータの対局において大切なのは、持ち時間等で公平なルールをつくることだとされました。
たとえば、人間同士なら朝から午前2時まで対局すると、体力勝負になる。相手がコンピュータだと、勝負にならない。
機能的には、人間とコンピュータの記憶の質は違うことが指摘されました。
チェスの世界では、もうコンピュータのほうが強いことはわかっているので、プロ棋士は様々なルール違反を取り締まられています。
対局の時、電子機器をもっているかどうか、ボディチェックをされるのです。
将棋はそこまではいっていませんが。
将棋では、性善説から、プロ棋士同士の対戦において、チェスのような規制はありません。電子機器を使えば「何かおかしい」と感ずるはずです。
ところで、コンピュータの課題は、局面の評価を下しにくいことです。竜王戦の解説のときにも、ボナンザ(電王戦優勝ソフト)の評価は揺れました。
他の問題としては、コンピュータソフトを使った将棋の研究ができるかどうか、コンピュータが新定跡を生みうるか、ということがあります。
コンピュータをいかに使うか、が「棋力」の一部になる可能性があります。
「天野宗歩」や「大山康晴」的ソフトはできるのか。それを使って強くなることができるのか、といった問題が議論されました。
コンピュータには「構想力」がないことを前提に考えねばなりませんが。

講演の後、質問がありました。
「羽生先生が、将棋が強くなるためにどのような工夫」をされているのですか?
など。
羽生氏の結論は、「テクノロジーの進歩は避けられない。それに伴って、人間対コンピュータの対戦におけるルールを作らねばならない。
長く続いているよき習慣は残すべきである。その都度柔軟に対応するしかない。」ということでした。

以上、簡単に人間対コンピュータの対戦における問題を、羽生氏がどのように考えているか、明らかにされました。

意義深いコラボレーションでした。

(2013年11月23日*記)