いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

2年前に書いた「将棋人口2000万人」は、もう歴史的文書になりましたが……

2018-01-30 14:16:19 | 日記
以下に、2年前に書いた文章を引用します。
その間、将棋界にも著しい変貌があり、
古くなってしまった部分もありますが、
すでに、インターネット上に流出してしまっていますので、
誤解が生じる可能性があります。
そこで、そのことを明らかにしなければならない、という責任を感じました。
藤井四段のデビュー、羽生永世七冠の誕生、と、めざましい出来事があり、
予感が当たった、という自負もありますが、
所詮は、2年前、頭の中で考えたことです。
現実の状況をよくわきまえて、
考え直さねば、と思っています。
そうした意味で、冒頭に述べたように、
2年前に書いた文章を再録します。
事情を踏まえたうえで、歴史的文書を再検証していただければ、
と思います。
みなさま、よろしくお願いいたします。


私が本格的に将棋を始めたのは、30歳の頃である。
それから、30年以上続けている。
当時は、激務の中、必死の思いで勉強した。
上司は、何か含むところがあったのだろう、
「将棋はやめろ」と、いつも言っていた。
しかし、ほかのことはともかく、将棋だけは決してやめなかった。
この選択は、間違ってはいなかった、と、今も思う。
メリットが、限りなくあるのだ。
気分転換になる、友人ができる、世の中の事情がわかるようになる、
など、挙げればきりがない。
同年齢の人だけでなく、年上の方、年下の人、子どもとも友達になれる。
年上の方からは、情報を得る、知恵をいただく、など。
このころは、現役の大学生などとも話すことがあり、
現代の世相、世の中の情報が伝わってくる。
大学生と話すと、私のクラスメートの講義をとっている、というケースもある。
子どもと指すのは、楽しい。童心にかえる。
勉強方法は、定跡を覚える、プロの実戦棋譜を並べる、詰将棋や必死問題を解く、
など、いろいろ工夫している。
週1回は、実戦を指し、勘を鍛える。
子ども、学生、社会人、主婦、引退後の人、と仲間は多様である。
道場の1級から始め、今は3段で指している。
月に1回は、4人のスタッフで、老人ホームでのボランティアをする。
数名の方が参加して、楽しんでくださっている。
先だって、総務省の調査で、日本の将棋人口は670万人、と発表された。
子どもを含めれば、その時点で、将棋人口1000万人だったろう。
今は、学習指導要領(児童・生徒がいつ、何を学ぶか決めた基準)で
「伝統を重んじる」という内容が盛り込まれ、小、中、高校で将棋を教える学校が増えた。
加えて、大学教育にも取り入れられ、東大ではプロ棋士を兼ねる客員教授が
教鞭をとっておられる。もちろん、単位が取れる。首都大学東京でも法学部に
将棋の講座が開設された。
他にも、将棋を教育に取り入れた大学も多い。
また、インターネットで将棋を指せるサイトも増えた。
それらを考慮すると、日本の将棋人口は、1200万人くらいになった、といってよいと思う。
それだけでなく、プロ棋士の海外での普及活動も盛んだ。
普及のために外国を訪れるプロ棋士も多い。
女流棋士の中では、北尾まどか2段、中井広恵6段などが有名である。
また、外国でも、自宅でインターネット将棋ができるようになった。
だから、将棋人口は2000万人と言っていい状態になった。
実際、最近、外国の人が(プロの)女流棋士になった。
日本将棋連盟の、ステチェンスカ・カロリーナ3級(ポーランド出身)である。
将棋には、集中力が付く、考える訓練になる、実戦を通じた交友ができる、
など、メリットは多い。
将棋の考え方は、哲学、法学と似ている面がある。
実際、元竜王の糸谷8段も、哲学の専門家である。
今や、将棋は、日本文化の1ジャンルといってよい。
老若男女を問わず、質の高い文化に触れられる日本人は、幸せだ。
2000万人の将棋。将来の楽しみな文化領域だ。
(以上、2016年1月12日にアップした文章)

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