いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

戦争直後の宮柊二の歌

2019-01-11 20:06:53 | 短歌


よく知られているように、
宮柊二は、一兵卒として
戦争に参加した。

戦争で死にきれなかった、というのが
彼の思いであったようだ。
戦後、
近藤芳美と並んで短歌界を引っ張った。

しかし、短歌価値なしとする
いわゆる「第2芸術論」
には、関与しなかった。
戦争体験者として
死にきれなかった元兵士として、
ひたすら歌を詠み、
「コスモス」を創刊した。

戦後、
8月下旬に、
自死をもくろんで、
黒部をおとずれる。
その際に読んだ歌5首を挙げて、
その心境を探りたい。

‥‥‥

たたかひを終わりたる身を遊ばせて石群れる谷川を超ゆ

河原来てひとり踏み立つ午どきの風落ちしかば砂のしづまり

砂わけて湧きいづる湯を浴まむとしつぶさに寒し山の狭の

山川の鳴瀬に対かひ遊びつつ涙にじみ来ありがてぬかも

めぐりたる岩の片かげ暗くして湧き清水ひとつ日暮れのごとし












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