よく知られているように、
宮柊二は、一兵卒として
戦争に参加した。
戦争で死にきれなかった、というのが
彼の思いであったようだ。
戦後、
近藤芳美と並んで短歌界を引っ張った。
しかし、短歌価値なしとする
いわゆる「第2芸術論」
には、関与しなかった。
戦争体験者として
死にきれなかった元兵士として、
ひたすら歌を詠み、
「コスモス」を創刊した。
戦後、
8月下旬に、
自死をもくろんで、
黒部をおとずれる。
その際に読んだ歌5首を挙げて、
その心境を探りたい。
‥‥‥
たたかひを終わりたる身を遊ばせて石群れる谷川を超ゆ
河原来てひとり踏み立つ午どきの風落ちしかば砂のしづまり
砂わけて湧きいづる湯を浴まむとしつぶさに寒し山の狭の
山川の鳴瀬に対かひ遊びつつ涙にじみ来ありがてぬかも
めぐりたる岩の片かげ暗くして湧き清水ひとつ日暮れのごとし
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