今は、短歌が英訳されることも多い。
このブログでも、俵万智さんの短歌の英訳を載せたことがある。
詩人で翻訳家のピーター・マクミランさんが、
在原業平の次の歌を
英訳した。
……
からころも着つつなれにし妻しあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ
現代語訳
<着なれた衣のようになれしたしんだ妻をおいてきているので、はるかとおくに遠くに来てしまったこの旅を思うよ>
これは折句で、各語の頭をならべると「かきつばた」となる。
マクミランさんは、これを英訳するとき、「折句」を英訳でどう生かそうかと心を砕いたそうだ。
結局、次のように訳した。
In these familiar lovely robes I'm
Reminded of the beloved wife
I have left behind, stretching far-
Sadness, the hem of journeys.
これで、各行の頭を並べると、iris(カキツバタ=アイリスの花)となるので、
安心したとのこと。
この歌は、「伊勢物語」第9段にある。
詳しく説明するときりがないが、
この歌は、
枕詞
序詞
縁語
等の技法を駆使し、複雑な意味と内容を持つ。
当時の日本語の粋を集めた傑作である。
なお、この記事は、朝日新聞に載ったものに、
解説を加えた文章である。
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