parismaris's days*

チャレンジャーの休息

つい先日の、雨降る昼下がりのこと。

晴れるとつい庭へと出て、気づけばそのまま一日の大半を草にまみれて過ごしていることもしばしばな私。

『晴耕雨読』というわけでもないけれど、雨天の日くらいは落ち着いて積読消化にでも励もうと、リビングの窓辺でまったりと本を広げていました。


…すると、庭から何か、尋常ならざる気配が。

やたらと囀る小鳥の声の合間に、妙に不規則で荒い、小さな羽音が混じります。

庭から鳥の声が聞こえてくるのは日常のことで、わが家ではもはやBGMのようなものなのですが、そんな慣れた耳でも違和感を覚えるのに十分な、常ならざる音と気配でした。


「こんな雨の日に、何やろか」と思わず本から顔を上げて、レースのカーテンを少しばかり引き開けてみると、目の前のバラの枝に、手のひらサイズのまぁるい塊が、ちょこんとひとつ。




メジロのヒナです。




わが家の裏のお宅の敷地に、久しく手入れされていないヤマモモの大木があるのですけれど。

この夏、その茂みの内側がとても賑やかで、「何かが巣を作ったんかなぁ」となんとなく思っていました。

このヒナは、どうやらそこから巣立ったばかりのコで、うちの庭で飛ぶ練習をしていたようです。




小さなイモムシを咥えた親鳥がしきりに囀りながら、数メートル離れたイロハモミジの枝の上から餌をちらつかせて誘い、ヒナに飛ぶことを促します。


なのにこのコは、その親鳥を目では追いつつも、ここから動かず…




あろうことか、うとうととし始めるではありませんか!




雨はちょうど小やみになっていたとはいえ、ヒナの留まる枝は庭の小道に面しているうえに、地上から1メートルほどの高さしかない場所で。

野良のネコでも通りかかろうものなら…と気が気でない私は、指先で窓のガラスを叩きつつ、「あかんて! そこで寝たらあきません!」と必死に警告(苦笑)




すると親鳥が声高く連続で囀り、それに反応してヒナもハッとしたように目を開けました。




恒例の…おしり(笑)

ヒナの羽毛はまだ、赤ちゃんだったころの灰色のものと、新しく生えたメジロらしい抹茶色のものとが半々で、くちばしもまだ黄色。

トレードマークである目のまわりの白さもありません。

尾羽も伸びていないので、お尻もまだまだ丸くて、もこもこ♡

この翼の小ささがまた、たまらなく愛らしい*




バラの枝にとどまったまま、親から幾度か餌をもらい、40分ほどそこにいましたが、しばらくしてまた促されて飛ぶ練習を再開。

まだまだ下手で真っ直ぐに飛ぶことができず、あっちの枝にぶつかり、こっちの葉に翼をとられたりしながらも、よたよたバタバタと懸命に羽ばたいていました。


そうしてようやく、庭の真ん中にあるイロハモミジの、高さ3メートルほどの枝に到達。

そこで、この表情。
なんだかこれ、ドヤ顔をしているように見えません?(笑)


うちの庭ならばいつでも好きに使っていいから、このまま練習を続けて、元気に旅立ってくれるといいなと思っています。



あ!そうそう! 小鳥と言えば!
うちの巣箱の店子であるシジュウカラご夫妻()のその後を、ご報告していませんでしたね。


(↑ このご夫妻のことです。  2021年3月撮影)


複数羽(巣箱内から聞こえてくる声から判定)のヒナが孵り、せっせと餌を運ぶ親のもとで成長していたことは確かなのですけれど…

結局その姿は見ることがないままに、雨が三日間続いて私たちが庭に出ることがなかった日の早朝に、巣立っていました。


それから1週間ほどのあいだは、餌を咥えた親鳥が巣箱の周りや庭のあちこちを飛び回りながら囀っていたので、このメジロの幼鳥のように、シジュウカラのこどもたちも近くで飛行訓練中だったのかもしれません。

けれど残念ながら、このときも姿は確認できませんでした。


母なんてね、巣立ちを見届けられなかったことをそれはそれは残念がって、空き家になった巣箱を前に、「大家に挨拶くらいしていってよぉぉぉ」と未練タラタラで(苦笑)

とてもかわいがっていたので(とは言っても毎日ただニコニコと見守るだけで何もしてないけど・笑)、彼らの旅立ちを見送れなかったのは本当に残念なことでした。


…だからというわけでもないけれど。

このメジロのヒナを見つけたときには、そうっと、けれどダッシュで勝手口から自宅を出て庭を通らぬように隣家へと走り、母を引っ張って来て一緒に見守りました。

初めて見る幼鳥の姿とその練習風景にめちゃくちゃ喜んで、ひそめた声で大興奮していたので、よかったよかった(笑)


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