チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(a)パ・ダクスィヨン(その3)」

2010年07月17日 23時55分35秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
女獣医師の故増井光子女史は、無給でもいいから、と
上野動物公園にかけあって採用してもらったという。
挑戦したパンダの人工授精ではやっと着床して誕生。
「それ見たか」と成功を顕示したものの生後2日で
親が圧死させるという残念な結果終わった。が、ついには
成功させて成長させた。それからはトントン拍子に出世して、
多摩動物公園や同公園の園長にもなった。同女史は、
「動物介在療法」の熱心な推奨者だった。そして、
とくに乗馬は障害者の回復の手助けになる、と主張してた。
自身が乗馬が趣味だったからである。そして、先日、
73歳の高齢でも英国の馬術大会に出場し、そこで
落馬して死亡したという。本望だったことだろう。

稼ぎのない私は世間が3連休でも、どこにも行けずに
家でゴロゴロしてる。そういえば、腹の調子もよくない。で、
しかたなく、テレ東の「土曜競馬中継」をみて
ネットで参3連単を購入して全部はずしたたあとは、
チャイコフスキーの3連符を見て過ごした。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲のa)Pas d'Actionは、
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
→[Pochissimo piu animato]→[Tempo Primo]→[Piu mosso]
【後】[Allegro、3/8拍子、1♭]
という構成になってる。その
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
は、また
[主要主題→副次主題→主要主題(再現)]
というサンドウィッチ構成になってる。その
(副次主題部)
主要主題部の途中でポキッスィモ・ピウ・アニマートで速められたテンポが、
→「テンポ・プリーモ(最初のテンポで)]
とされて、副次主題部に入る。独奏チェロが変イ長調で、
***♪ドーー・ドード│ドーーー・>シー>ラー│
  >ソー<ラー・>ソー>ファー│ファーー・ーー>ミ│
  <ラーー・ラーラ│ラーー・ーーラ(このラ=fをヘ長調のドに置き換えて)│
  >ミー<ラー・>レー<ソー│>ドー♪
という副次主題を提示する。すると、vnプリーモ(第1ヴァイオリン)が
ダブルストップで3連符の伴奏を弾き始める。そして、独奏チェロが、
1拍めを16分音符のアルペッジョで始めて副次主題の断片を反復する。
****♪●、ド<ソ<ド<ミ<ソ・<ドーーーー>シ│
   シーーーーー・>ラーーーーー│
   ー、>>ラ<ミ<ラ<ド<ミ・<ラーーーー>ソ│
   (>レ<ラ<)ソーーーーー・>ファーーーーー│
   ー、>>レ<ラ<レ<ファ<ラ・<レーーーー>ド│
   ドーーーーー・>シーーーーー│
   ー、>>シ<♯ファ<シ<♯レ<♯ファ・<シーーーー>ラ│
   (>ミ<シ<)ラーーーーー・>ソーーーーー│
   ーー♪
独奏チェロの16分音符を引き継ぐように、
フルート1管が上昇音階的なオッブリガートを吹く。
じつに繊細な、しみじみとした、胸が締めつけられるような、
チャイコフスキーに固有な音楽である。次いで、木管群が、
それまでのヘ長調(ニ短調)のシをイ短調のミに置き換えて、
****♪●●、ミーッミーッ・ミーッ>♯レーッ>Nレー│
   >ドー、<ミーッミーッ・ミーッ>♯レーッ>Nレー│
   >ドー♪
という中継ぎ句を吹奏する。この第1拍めには
ハープがそれぞれの和音のアルペッジョを爪弾き、また、
木管群の中で第1オーボエだけが
他の木管群の正規律動の間を縫うように、
ミ(e)の通奏を16分音符分先んじてずらして吹くように
チャイコフスキーは細工してるのである。そのまま、
副次主題断片がイ短調からロ短調になると、その
中継ぎ句のオーボエの役は第1ホルンが交代する。そして、
独奏チェロがアルトリ(他のチェロたち)に吸収されて
副次主題断片がさらに嬰ハ短調になると、
中継ぎ句をフルート2管+オーボエ2管+ファゴット2管+ホルン4管が吹奏する。
チャイコフスキーらしい転調でそれをヘ長調に戻し、
→主要主題(再現)部
となる。両翼vnとヴィオーラがスタッカート附きの16分音符で伴奏する中、
コルノ・イングレーゼとチェロ(トゥッティ)の完全ユニゾンが
主要主題を再現する。その確保は、
両翼vn(G線使用指示)+ヴィオーラ+チェロの完全ユニゾンで奏される。
mfからクレッシェンドしてff、さらにはfffにまで強められる。この間、
トランペット(途中から2管)+ドロンボーン3管+チューバが3連符で伴奏し、
オーボエ2管+コルノ・イングレーゼ+クラリネット2管が主題の変型をカノる。
ここでクライマックスが築かれたわけである。が、
両翼vnのG線使用指定が解けると
(といっても、当分はG線でしか弾けない音程が続くが)、
→[ピウ・モッソ]
[h-d-f-as]の減7の一撃がffで加えられる。
d、f、asを使った主要主題の変型が、
クラリネット2管+ファゴット2管とその他の木管群の掛け合いで吹かれる。
そしてまた、[h-d-f-as]の減7の一撃が今度はfffで打たれ、
→【後】[Allegro、3/4拍子、1♭]部へと移る。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「3というキリスト教の奇妙な... | トップ | 「チャイコフスキー『眠れる... »

コメントを投稿

やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫」カテゴリの最新記事