チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#30/フィナーレ(6移行部)マズルカ」

2010年12月03日 00時03分21秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
絵本やアニメの類にほとんど興味がないので、
やなせたかしの「アンパンマン」についてもまったく知らない。が、
やなせたかしが三越宣伝部に勤めたことがあって、
現在も使われてる三越の包装紙の
"Mitsukoshi"という「筆記体」のロゴをデザインしたのが
同人だということからピンときたことがある。
銀座三越の目の前が木村屋總本店の銀座本店がある。
木村屋總本店は「あんパン」を考案した店である。ちなみに、私は
しるこでもまんじゅうでもあんパンでも漉し餡が好きである。
みつ漉し餡である。en pin(アン・パン=松屋へ)ではない。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第30曲「フィナル」の
「マズルカ本体部」は、
[A→B→A→C→A→D→A→B→A→移行部]
という古式ゆかしきロンド形式で構成されてる。
その移行部。
[Allegro brillante(Tempo di mazurka)、3/4拍子、2♯]
この移行部の直前のA部の終いは、fffで、
****♪ソー<ラー<シー│
   シー<ドー<レー・<レー<ミー<ファー・<♯ファ<ソ<ラ<シ│
   <ドーーー・●●●●・>♯ファ<ソ<ラ<♯ラ│<シーーー・●●●●・>ソ<ラ<シ<ド│
   <レーーー・●●●●・>♯ソ<ラ<♭シ<Nシ│<ドーーー・●●●●・>シ<ド<レ<ミ│
   <ファー●>ミ・>レーーー・>ドーーー│>シーーー・>ラーーー・>ソーーー│
   <ミー●>レ・>ドーーー・>シーーー│>ラーーー・>ソーーー・>ファーーー│
   >レーー、>ド・>♯ファーーー、<ドーー、>シ│>(N)ファーーー、<シーー、>ラ・>♯ソーーー、│
   <ミーー、>レ・>♯ソーーー、<レーー、>ド│>ドーーー、<ドーー、>シ・>ラーーー│
   <ラーー、>ソ・>ファーーー、<ラーー、>ソ│>ファーーー、<ラーー、>ソ・>ファーーー、│
   (実質、変ホ長調に短期転じる)
   <ソーー、>ミ・>レーーー、<ソーー、>ミ│>レーーー、<ソーー、>ミ・>レーーー、│
   (ニ長調に戻り、移行部へ)<ドー●●・●●●●♪
となってる。
上記[ターー、タ・ターーー]律動のゼクヴェンツ時に小太鼓がクレッシェンドされて、
移行部になだれこむ。
****♪ド<レ<ミ<ファ│
   <ソー●●・>ド<レ<ミ<ファ・<ラ<シ<♯ド<レ│
   <ミー●●・>ミ<ファ<ソ<♯ソ・<シ<♯ド<レ<ミ│
   <ファー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<ラ<シ<ド│
   <レー●●・>レ<ミ<ファ<ソ・<ド<レ<ミ<ファ│
   <ソー●●・>ド<レ<ミ<ファ・<ラ<シ<♯ド<レ│
   <ミー●●・>ミ<ファ<ソ<♯ソ・<シ<♯ド<レ<ミ│
   <ファー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<ラ<シ<ド│
   <レー●●・>シ<♯ド<レ<ミ・<ソ<♯ソ<ラ<シ│
   (実質、変ホ長調に転じて)
   <シーーー・ーーーー、>ラーーー│ーーーー、>ソーーー・ーーーー│
   <ラーーー・ーーーー、<シーーー│ーーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー・ーーーー、>ラーーー│ーーーー、>ソーーー・ーーーー│
   <ラーーー・ーーーー、<シーーー│ーーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│<シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│
   <シーーー、<ドーーー、>♯ラーーー、│<シーーー、<ドーーー、>シーーー、│
   (ニ長調に戻って)
   <ミーーー、>>ドー<レー・<ミー<ソー│<ラー、>ソー・<ラー<シー・<ドー<レー│
   <ミー、<ソー・<ラー<シー・<ドー<ミー│<ソー●●・●●●●(フェルマータ)♪
このゲネラル・パオゼを挟んで、[Presto部]になる。

さて、
この「移行部」で注目すべきは、
2♯のニ長調の曲の、いわばクライマックスになる場面で、
3♭の変ホ長調が顔をのぞかせるということである。
バレエ「眠れる森の美女」において「変ホ長調」は、
第1幕でオーロラ(オロール)姫に求婚する王子たちのパダクションや、
第2幕でデズィレがオーロラ(オロール)の幻影に魅せられて
茨の城に行く決意をする「情景」や
オーロラ(オロール)にくちづけして目覚めさせたときの音楽にも
使われてたことを思い起こす。つまり、「変ホ長調」は
オーロラ(オロール)の「結婚」調、ということである。
第2幕で幕が開くときに「狩りの角笛」が鳴るときも
変ホ長調であり、そのとき登場する王子が
オーロラ(オロール)の結婚相手であることを暗示してたのである。
第3幕で「変ホ長調」は、金の精が踊るヴァルスのヴァリアスィヨンで用いられる。
オーロラ(オロール)とデズィレの結婚が、つまりは
「ブルボン家」すなわち「フランス王家」を意味してるということである。
変ホ長調を表す♭3つは、キリスト教の「3」であり、金色の
"fleur-de-lis(フルル・ド・リス=ユリの紋章=ブルボン家の紋章)"なのである。
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