3名が死ぬこのオペラ第1番めの死者である伯爵夫人の死の場面である。
モデラート・コン・モート、C、無調号。
バスクラが、ついで、独ファゴが、
♪ファ>ミ<♭ラー、>ソ>ファ<♭シー、>(N)ラ>ソ<ドー♪
というフランクの交(ニ短)の「レント」のような「3カードの動機」を吹く。
ゲルマンが入ってきて、夫人の前に立つ。ぎょっとする夫人。
→ポーコ・メーノ。
「いいか、声をあげるんじゃめぇぞ。危害を加えるつもりはねぇからよ」
→ベン・ソステヌート、2♭。
恐怖に怯える夫人。
→ア・テンポ。
→無調号。
コルアンと1本のファゴによるオクターヴのユニゾンが、
フランクの交(ニ短)の「レント」ふうな「<>」を繰り返す。
ちなみに、このオペラでは、チャイコフスキーは、
コルアンを首席オボ奏者に持ち替えさせるように指示してるのである。
「3枚のカードの秘密さえしゃべりゃあいいんだよ!」
弦による「運命動機律動」。
2番オボ、コルアン、2クラ、ペット、アルトロによる、
♪ファ・ファーーー|ー、<♭ソ<♭ラ<♭シ・♭シーーー|ーーー、
♭シ・シーーー|ー、<♭ド<♭レ<♭ミ・♭ミーーー|<(N)ミ♪
が吹かれる。
「この死にぞこないのくそばばあ! どうしてもシラをきるってんだな!
それなら、これでどうだ!? おチャカになりたくねぇんなら、言え!」
トカレフを突きつけるゲルマン。
(実質ホ短)の、
♪ミ<ラ<シ<ドーー>シ>ラ>ミ>ド>シ|>ラ<シ>ラ>ミ>ド>ラ♪
という「ツィゴイナー・ヴァイゼン」。
2クラ&2ファゴ、そして、2フルによる、夫人の断末魔。
トリスタン・コード、である。
→メーノ・モッソ。
夫人の遺体に近寄り、腕をつかむゲルマン。
「なにをふざけてやがる! さぁ、教えるのか? イエスか、ノーか?」
低木管とブシェのホルン、そして、弱音器具をとっぱらったコンバスによる、
トリスタン・コード→ト長トニック。それが途切れたと思ったら、
(弱音器具をはずした)チェロとコンバスのオクターヴのユニゾンによる、
「(sfff pp)♯ミ」の全音符。
♪ア・ナー(フェルマータ)・ミルトゥ|>ヴァー!♪
(彼女は死んじまった)
この「♯ミ」は、「悲愴」主章ツレ主題再現前に、
バストロ&チューが死ぬほど強く「ffff」で吹く音である。
つまり、「悲愴」主章には、「死」の意味が込められてる、ということである。
と、あえて言うまでもなく、曲自体から解りそうなものだが、
露語の「パチチーチスキィ」には「悲愴な」という意味はない、
ただ「情熱的な」「感動を与える」という意味しかない、
だから、チャイコフスキーの「6番交響曲」を「悲愴」と呼ぶのは間違ってる、
同曲には「悲愴感」はない、死とはまったく関係ない、
という「主張」がじつに「皮相的」な思考ということが明白である。
→モデラート。
この箇所の「悲愴な」音の綴り、塗り重ね、
(実質ロ短)♪ミ<ファ>ミ<♯ソ<シ<ド>シ♪
に涙しないものに、チャイコフスキーはキツイことであろう。
♪○シ<ド<レ・<ミーー>シ|<レー>ドー・ーーーー|ー、<ミ<ファ<ソ・
<ラーー>ミ|<ソー>ファ○<ドーー>シ|シーー>ラ・>ソーー>ファ|
ファ>ミ、<ド>シ・シ>ラ>ソ>ファ|ファ>ミ、<ド>シ・シ>ラ>ソ>ファ|
ファ>ミ、ミ<ファ・>ミ>レレ<ミ|>レ<ドド>シ・シ>ラ♪
「死んじまった!」
ものすごい音楽である。「悲痛」で「陰鬱」な音楽だというのに、感動させられて
しまうのである(それがまさに「パチチーチスキィ」ということである)。
そんな音楽を作るなんて、チャイコフスキーはケタハズレである。
リーザが入ってくる。
→ヴィヴァーチェ(アッラ・ブレーヴェ=2拍で)。
「なにごと?」
「カードのことを言わずじまいで死んじまった。
もう、知ることはできない。おしまいだ」
「なんですって? 私に会いにきたんじゃなくて、そのためだったのね。
ああ、神さま。こんな男に心を奪われてしまったなんて!
チュドーヴィシシェ(極悪人)! ウビーツァ(人殺し)! イーズヴィルク(人でなし)!」
伯爵令嬢とあろうものが、ものすごい悪態である。
→3♯。
「プローチ(出てって)! プローチ、ズラヂェーィ(悪党)! プローチ!」
なんと罵られようが、ゲルマンはただ、
「アナー・ミルトゥヴァー(死んじゃった)!」
である。リーザ嬢の「プローチ」と人殺し野郎の「(ミルトゥ)ヴァー」が
オケ全奏の嬰ヘ短トニと重なり、2ペット&アルトロ、ついで、4ホルンによる、
♪「ラ」|<シー>ラー>ソー|>ファー>ミー>レー|<ミーー|ーー♪
が響き渡り、その間に幕になるのである。ときに、
この「ラ」の「音価」をまともにとれないプロのオケ、帰するところ指揮者、
が世の中にはいたものである。もっとも、マリイーンスキィ劇場に備えられてる
譜面は、外のとは異なるヴァージョンに書かれてるのかもしれない(※)。ちなみに、
「チャイ5」の緩徐章でも、世界の超一流オケ、指揮者が、音価を誤ってることが多い。
曲は嬰へ短のトニトニで閉じられる。
サン=Gェルマン拍からGラフィーニャ(伯爵夫人)に伝授された「3カードの秘密」は、
夫人の生前にはGルマンには伝わらずにおわったのである。
(※)伊語では「お米」のことを「riso」というが、「お笑い」も「riso」である。
ちなみに、リゾットという食い物も「riso」から採られた言葉である。いずれにしても、
イタリア語の「riso」という名詞には「笑いがコメられてる」らしい。
モデラート・コン・モート、C、無調号。
バスクラが、ついで、独ファゴが、
♪ファ>ミ<♭ラー、>ソ>ファ<♭シー、>(N)ラ>ソ<ドー♪
というフランクの交(ニ短)の「レント」のような「3カードの動機」を吹く。
ゲルマンが入ってきて、夫人の前に立つ。ぎょっとする夫人。
→ポーコ・メーノ。
「いいか、声をあげるんじゃめぇぞ。危害を加えるつもりはねぇからよ」
→ベン・ソステヌート、2♭。
恐怖に怯える夫人。
→ア・テンポ。
→無調号。
コルアンと1本のファゴによるオクターヴのユニゾンが、
フランクの交(ニ短)の「レント」ふうな「<>」を繰り返す。
ちなみに、このオペラでは、チャイコフスキーは、
コルアンを首席オボ奏者に持ち替えさせるように指示してるのである。
「3枚のカードの秘密さえしゃべりゃあいいんだよ!」
弦による「運命動機律動」。
2番オボ、コルアン、2クラ、ペット、アルトロによる、
♪ファ・ファーーー|ー、<♭ソ<♭ラ<♭シ・♭シーーー|ーーー、
♭シ・シーーー|ー、<♭ド<♭レ<♭ミ・♭ミーーー|<(N)ミ♪
が吹かれる。
「この死にぞこないのくそばばあ! どうしてもシラをきるってんだな!
それなら、これでどうだ!? おチャカになりたくねぇんなら、言え!」
トカレフを突きつけるゲルマン。
(実質ホ短)の、
♪ミ<ラ<シ<ドーー>シ>ラ>ミ>ド>シ|>ラ<シ>ラ>ミ>ド>ラ♪
という「ツィゴイナー・ヴァイゼン」。
2クラ&2ファゴ、そして、2フルによる、夫人の断末魔。
トリスタン・コード、である。
→メーノ・モッソ。
夫人の遺体に近寄り、腕をつかむゲルマン。
「なにをふざけてやがる! さぁ、教えるのか? イエスか、ノーか?」
低木管とブシェのホルン、そして、弱音器具をとっぱらったコンバスによる、
トリスタン・コード→ト長トニック。それが途切れたと思ったら、
(弱音器具をはずした)チェロとコンバスのオクターヴのユニゾンによる、
「(sfff pp)♯ミ」の全音符。
♪ア・ナー(フェルマータ)・ミルトゥ|>ヴァー!♪
(彼女は死んじまった)
この「♯ミ」は、「悲愴」主章ツレ主題再現前に、
バストロ&チューが死ぬほど強く「ffff」で吹く音である。
つまり、「悲愴」主章には、「死」の意味が込められてる、ということである。
と、あえて言うまでもなく、曲自体から解りそうなものだが、
露語の「パチチーチスキィ」には「悲愴な」という意味はない、
ただ「情熱的な」「感動を与える」という意味しかない、
だから、チャイコフスキーの「6番交響曲」を「悲愴」と呼ぶのは間違ってる、
同曲には「悲愴感」はない、死とはまったく関係ない、
という「主張」がじつに「皮相的」な思考ということが明白である。
→モデラート。
この箇所の「悲愴な」音の綴り、塗り重ね、
(実質ロ短)♪ミ<ファ>ミ<♯ソ<シ<ド>シ♪
に涙しないものに、チャイコフスキーはキツイことであろう。
♪○シ<ド<レ・<ミーー>シ|<レー>ドー・ーーーー|ー、<ミ<ファ<ソ・
<ラーー>ミ|<ソー>ファ○<ドーー>シ|シーー>ラ・>ソーー>ファ|
ファ>ミ、<ド>シ・シ>ラ>ソ>ファ|ファ>ミ、<ド>シ・シ>ラ>ソ>ファ|
ファ>ミ、ミ<ファ・>ミ>レレ<ミ|>レ<ドド>シ・シ>ラ♪
「死んじまった!」
ものすごい音楽である。「悲痛」で「陰鬱」な音楽だというのに、感動させられて
しまうのである(それがまさに「パチチーチスキィ」ということである)。
そんな音楽を作るなんて、チャイコフスキーはケタハズレである。
リーザが入ってくる。
→ヴィヴァーチェ(アッラ・ブレーヴェ=2拍で)。
「なにごと?」
「カードのことを言わずじまいで死んじまった。
もう、知ることはできない。おしまいだ」
「なんですって? 私に会いにきたんじゃなくて、そのためだったのね。
ああ、神さま。こんな男に心を奪われてしまったなんて!
チュドーヴィシシェ(極悪人)! ウビーツァ(人殺し)! イーズヴィルク(人でなし)!」
伯爵令嬢とあろうものが、ものすごい悪態である。
→3♯。
「プローチ(出てって)! プローチ、ズラヂェーィ(悪党)! プローチ!」
なんと罵られようが、ゲルマンはただ、
「アナー・ミルトゥヴァー(死んじゃった)!」
である。リーザ嬢の「プローチ」と人殺し野郎の「(ミルトゥ)ヴァー」が
オケ全奏の嬰ヘ短トニと重なり、2ペット&アルトロ、ついで、4ホルンによる、
♪「ラ」|<シー>ラー>ソー|>ファー>ミー>レー|<ミーー|ーー♪
が響き渡り、その間に幕になるのである。ときに、
この「ラ」の「音価」をまともにとれないプロのオケ、帰するところ指揮者、
が世の中にはいたものである。もっとも、マリイーンスキィ劇場に備えられてる
譜面は、外のとは異なるヴァージョンに書かれてるのかもしれない(※)。ちなみに、
「チャイ5」の緩徐章でも、世界の超一流オケ、指揮者が、音価を誤ってることが多い。
曲は嬰へ短のトニトニで閉じられる。
サン=Gェルマン拍からGラフィーニャ(伯爵夫人)に伝授された「3カードの秘密」は、
夫人の生前にはGルマンには伝わらずにおわったのである。
(※)伊語では「お米」のことを「riso」というが、「お笑い」も「riso」である。
ちなみに、リゾットという食い物も「riso」から採られた言葉である。いずれにしても、
イタリア語の「riso」という名詞には「笑いがコメられてる」らしい。
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