場ばさ、仮面舞踏会会場かんら、伯爵夫人の寝室細動すたんだぁ、である。
アンダーンテ・モッソ、12/8、3♯。
はじまりは「弦楽合奏」である。すべての弦楽器に弱音器具がはめられてる。
半分割されたヴィオラのいっぽうが、
♪ミ<ファ>ミッミッミッミッ♪を執拗に繰り返す。
2分割されたコンバスがオクターヴでピッツィ。
そこに、やはりそれぞれに分割されたvnプリーモ、vnセコンド、チェロが、
♪シ<ド<レ・<ミー>シ・<レー>ド♪
♪ミ<ファ<ソ・<ラー>ミ・<ソー>ファ♪
(上声である2丁のvnプリ・プルトのみ記)
と、参入する。それにつづく、
♪<ドー>シ|シー>ラ・>ソー>ファ・ファー>ミ、
<ドー>シ|シー>ラ・>ソー>ファ・ファー>ミ、
ミー<ファ|>ミー>レ・<シー>ラ・>レー>ド、
ドー<レ|>ドー>シ・<ソー>ファ・>シー>ラ、
ラー<シ|>ラー>ソ・ソー<ラ・>ソー>ファ、
ファー<ソ|>ファー>ミ♪
は、上声を「2丁のvn」にしてるがゆえに引き出されてる
ウォーターナイフのような鋭利な心理描写がみごとである。
「弦セレ」の「挽歌章」の「悲しきセレナーデ」、
♪ミー<ファ<ソ<ラ>ミ|>ソーーーー♪
および、「エヴ・オネ」中の「レンスキーのアリア」、
♪ドー>シ>ラ・>ソ>ファ>ミ>♯レ|<ファー>ミー♪
そして、「悲愴」の「終章」の、角笛が「キウソ猫を噛む」ようなブシェの上の、
♪ラー>ソ>ファ>ミ>レ|<ファ>ミ♪
などに相通じる「言葉のかけようもない」じつに痛々しい音楽である。
こんな音楽、他のどんな大作曲家にも書けないのである。
→C、無調号。
→モルト・ピウ・モッソ。
中低弦に「運命の動機律動」。
→テンポ・プリーモ、12/8。
→アッレーグロ・モデラート、C。
伯爵夫人のご帰宅。ここで、忍び込んだゲルマンのモノローグが終わり、
「伯爵夫人の取り巻き女居候らと小間使いらの合唱」となる。
そして、リーザと召使いのマーシャのダイアローグ。
「運命動機律動」がせわしい中、リーザがゲルマンのことを口にするとともに、
木管が「愛の主題」を吹きはじめる。
「カレと逢ったその日から、恋の奴隷になりました……
悪いときはどうぞぶってね。カレ好みの、あの人好みの女になりたい」
奥村リーザはマーシャに打ち明ける。
再び、取り巻きと小間使いの合唱。そして、お着替えが済んだ伯爵夫人。
「やかぁしぃざんずこと。私はツカレましたで、ほんまに。
せやけど、よう眠れそうにもあらへんわ……」
→ウン・ポケッティーノ・メーノ、3/4、無調号。
「ああ、なんてイヤな時代になってもうたんや。責任者、出てこいやぁ~~!」
伯爵夫人のボヤキが始まる。
→アンダーンテ・ソステヌート、C。そして、
→アンダンティーノ、2/4、2♯。
♪ミー<ファン>ミ|>♯レー<ミー|>ドー<レー|<ミー♪
(ジュ・クラン・ドゥ・リュイ・パルレ・ラ・ニュイ)
「私は・怖い・カレに・話すのが・あの夜のことを」
……私はあの人の言うことならなんでも受け入れてしまうの。
あの人は私に言ったわ、「あなたを愛してます」って。
そんなことを言われたら、私はかんじちゃう、我を忘れて、
胸がトキメいちゃってしかたないの。
どうしてだかわからないけど……
そのあと、どうなったかは言わずもがな、明白である。ところで、この歌は、
「作曲家」ジャン・ジャック・ルソーのお気に入りだったという
アンドレ・エルネスト・モデスト・グレトリの「獅子心王リチャード」という
3幕ものの喜劇の1幕6場でロレットが歌うアリエットの「引用」である。
「1784年の作品」からの「引用」なので、
プーシキンの原作の1820年代からグレトリと同時代に遡及して設定した
「オペラ・スペードの女王」の時代考証に難癖がつけられる所以である。
まぁまぁ、いいじゃない。1812年には、
「主よ、我らがツァーリとツワリに苦しむ妊婦を護りたまえ」もなかったんだし。
それはともかく、ベト神もこの喜劇から変奏曲をものにしてるのである。さて、
原曲は「アンニュイながらも軽薄なシャンソン」という風情である。
チャイコフスキーはその原曲の「ヘ短」を、5度圏概念における対極である
「ロ短」に移した。じつに「怖い」音楽にリメイクされてるのである。
→ピウ・モッソ。
「あんたら、何、そんなとこ突っ立っとんのや!? シッシッ!」
取り巻きらは尻尾を巻いていとまするのである。
→アンダンティーノ、3/4。
クラが、♪ドン>シ>ラ>ソッ>ファッ>ミッ♪を2度吹く。すると、
2分割ずつにされたvnプリ、vnセコ、ヴィオラ、チェロが、
「ラ(<)ド(<)ミ」→「♯ソ(<)シ(<)レ(<)ファ」
<<<<<<<<< >>>>>>>>>>>>>>>
という主和音→減7の「吸って、吐いて」を「刻み」で繰り返す。そして、今度は
→アンダーンテ(さっきはアンダンティーノ)、2/4。
伴奏も「ppp」指定(さっきは「pp」指定)。
伯爵夫人は「古きよきパリ時代」の「シャンソン」を口ずさむ。
が、もはや夢見心地な夫人の歌はとぎれがち。
3/4拍子の♪ドン>シ>ラ>ソッ>ファッ>ミッ♪が、「隙間」を埋める。
そして、夫人は歌いながら眠りに落ちる。
曲は終止せず、そのまま次曲に流れてくのである。
アンダーンテ・モッソ、12/8、3♯。
はじまりは「弦楽合奏」である。すべての弦楽器に弱音器具がはめられてる。
半分割されたヴィオラのいっぽうが、
♪ミ<ファ>ミッミッミッミッ♪を執拗に繰り返す。
2分割されたコンバスがオクターヴでピッツィ。
そこに、やはりそれぞれに分割されたvnプリーモ、vnセコンド、チェロが、
♪シ<ド<レ・<ミー>シ・<レー>ド♪
♪ミ<ファ<ソ・<ラー>ミ・<ソー>ファ♪
(上声である2丁のvnプリ・プルトのみ記)
と、参入する。それにつづく、
♪<ドー>シ|シー>ラ・>ソー>ファ・ファー>ミ、
<ドー>シ|シー>ラ・>ソー>ファ・ファー>ミ、
ミー<ファ|>ミー>レ・<シー>ラ・>レー>ド、
ドー<レ|>ドー>シ・<ソー>ファ・>シー>ラ、
ラー<シ|>ラー>ソ・ソー<ラ・>ソー>ファ、
ファー<ソ|>ファー>ミ♪
は、上声を「2丁のvn」にしてるがゆえに引き出されてる
ウォーターナイフのような鋭利な心理描写がみごとである。
「弦セレ」の「挽歌章」の「悲しきセレナーデ」、
♪ミー<ファ<ソ<ラ>ミ|>ソーーーー♪
および、「エヴ・オネ」中の「レンスキーのアリア」、
♪ドー>シ>ラ・>ソ>ファ>ミ>♯レ|<ファー>ミー♪
そして、「悲愴」の「終章」の、角笛が「キウソ猫を噛む」ようなブシェの上の、
♪ラー>ソ>ファ>ミ>レ|<ファ>ミ♪
などに相通じる「言葉のかけようもない」じつに痛々しい音楽である。
こんな音楽、他のどんな大作曲家にも書けないのである。
→C、無調号。
→モルト・ピウ・モッソ。
中低弦に「運命の動機律動」。
→テンポ・プリーモ、12/8。
→アッレーグロ・モデラート、C。
伯爵夫人のご帰宅。ここで、忍び込んだゲルマンのモノローグが終わり、
「伯爵夫人の取り巻き女居候らと小間使いらの合唱」となる。
そして、リーザと召使いのマーシャのダイアローグ。
「運命動機律動」がせわしい中、リーザがゲルマンのことを口にするとともに、
木管が「愛の主題」を吹きはじめる。
「カレと逢ったその日から、恋の奴隷になりました……
悪いときはどうぞぶってね。カレ好みの、あの人好みの女になりたい」
奥村リーザはマーシャに打ち明ける。
再び、取り巻きと小間使いの合唱。そして、お着替えが済んだ伯爵夫人。
「やかぁしぃざんずこと。私はツカレましたで、ほんまに。
せやけど、よう眠れそうにもあらへんわ……」
→ウン・ポケッティーノ・メーノ、3/4、無調号。
「ああ、なんてイヤな時代になってもうたんや。責任者、出てこいやぁ~~!」
伯爵夫人のボヤキが始まる。
→アンダーンテ・ソステヌート、C。そして、
→アンダンティーノ、2/4、2♯。
♪ミー<ファン>ミ|>♯レー<ミー|>ドー<レー|<ミー♪
(ジュ・クラン・ドゥ・リュイ・パルレ・ラ・ニュイ)
「私は・怖い・カレに・話すのが・あの夜のことを」
……私はあの人の言うことならなんでも受け入れてしまうの。
あの人は私に言ったわ、「あなたを愛してます」って。
そんなことを言われたら、私はかんじちゃう、我を忘れて、
胸がトキメいちゃってしかたないの。
どうしてだかわからないけど……
そのあと、どうなったかは言わずもがな、明白である。ところで、この歌は、
「作曲家」ジャン・ジャック・ルソーのお気に入りだったという
アンドレ・エルネスト・モデスト・グレトリの「獅子心王リチャード」という
3幕ものの喜劇の1幕6場でロレットが歌うアリエットの「引用」である。
「1784年の作品」からの「引用」なので、
プーシキンの原作の1820年代からグレトリと同時代に遡及して設定した
「オペラ・スペードの女王」の時代考証に難癖がつけられる所以である。
まぁまぁ、いいじゃない。1812年には、
「主よ、我らがツァーリとツワリに苦しむ妊婦を護りたまえ」もなかったんだし。
それはともかく、ベト神もこの喜劇から変奏曲をものにしてるのである。さて、
原曲は「アンニュイながらも軽薄なシャンソン」という風情である。
チャイコフスキーはその原曲の「ヘ短」を、5度圏概念における対極である
「ロ短」に移した。じつに「怖い」音楽にリメイクされてるのである。
→ピウ・モッソ。
「あんたら、何、そんなとこ突っ立っとんのや!? シッシッ!」
取り巻きらは尻尾を巻いていとまするのである。
→アンダンティーノ、3/4。
クラが、♪ドン>シ>ラ>ソッ>ファッ>ミッ♪を2度吹く。すると、
2分割ずつにされたvnプリ、vnセコ、ヴィオラ、チェロが、
「ラ(<)ド(<)ミ」→「♯ソ(<)シ(<)レ(<)ファ」
<<<<<<<<< >>>>>>>>>>>>>>>
という主和音→減7の「吸って、吐いて」を「刻み」で繰り返す。そして、今度は
→アンダーンテ(さっきはアンダンティーノ)、2/4。
伴奏も「ppp」指定(さっきは「pp」指定)。
伯爵夫人は「古きよきパリ時代」の「シャンソン」を口ずさむ。
が、もはや夢見心地な夫人の歌はとぎれがち。
3/4拍子の♪ドン>シ>ラ>ソッ>ファッ>ミッ♪が、「隙間」を埋める。
そして、夫人は歌いながら眠りに落ちる。
曲は終止せず、そのまま次曲に流れてくのである。
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