チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』第2曲『踊りの情景』リラの精の御出座」

2009年07月05日 23時21分07秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
先月末、AV女優の愛沢ひな女史が覚醒剤使用の疑いで
四谷署に逮捕されたそうである。けっこうな美人なので
大変にビックリしたのだが、報道では
本名までご丁寧にフリガナ付きで伝えられてた。
エセ姓名研究者でもある私にはその名が讃岐国の
観音寺市あたりに多い名であることを知ってたので、なるほど、
讃岐うどんの白い粉……などとくだらない連想をしてしまった。さて、
白い粉、といえば、チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の
プロローグ、オロール姫の洗礼式で6精が美徳を授けるのだが、
その中の"fleur de farine(フルール・ドゥ・ファリーヌ)"は、
きめ細やかな上質の小麦粉、の精である。
白くてさらさらである「清純な心」をオロールに授けるのである。が、
詳細は次曲「パ・ドゥ・スィス」の第2ヴァリアスィョンのときに触れるが、
その動機は「モツレク」の主要動機からできてるのである。
それはさておき、

第2曲「踊りの情景」3部構成の第2部である。6プルトのvnの
***♪ミー<ソー、│<ドー>シー、>ラー│>ソー、>Nファー>♭ファー│
  >ミー、>レー>ドー│<ラーーー>ソー♪
に対して、ホルンのソロが、
***♪♭ミーーーー│ーーーーーー│ーー、>レー>ソー│<ドーーーー●♪
と受けこたえる。現実離れした「天井」の美しさが漂う。2度めは、
***♪ミー<ソー、│<ドー>シー、>ラー│>ソー、>Nファー>♭ファー│
  >ミー、>レー>ドー│<ラーーー>♯ソー♪
と、終いの音を半音上げる。対して、ホルンは、
***♪ファーーーー│ーーーーーー│ーー、>ミー>シー│<ドーーーー●♪
と返す。3度めは、
***♪ラー<ドー、│<ミー<ラー<ドー│>シーーーーー│
  ーーーー>ラー│>ソー♪
とvnは奏で、ホルンはその間に4管でカノる。
それを受けて、今度はオーボエのソロが、
***♪ラー>ソー│>ファー>ミー>レー│>♯ドー<ミー>♯ドー│
  <レーーー<ソー│>レー♪
と吹く。じつに気品に満ちた香りである。次いで、
フルート1管+コーラングレがオクターヴのユニゾンで
それを繰り返す。このあたりの雰囲気は、
ドビュッスィが「牧神の午後への前奏曲」で描く世界に
影響を与えたことだろう。それはともかく、
6プルトのvnの主題が戻り、ホルンのソロが当初の応答をする。
今度はそれがそのまま繰り返される。つまり、
主題は原型・変型を問わず、5度提示されるのである。
[→ウン・ポーコ・ピウ・アニマート、3♯(イ長調)]
残る1精たるリラの精の登場である。
前曲の行進曲に次いでのイ長調であるが、
このバレエ全体においてイ長調は、
それほど多く使われてる調というわけでもない。が、
16歳の成人になったオロール姫が登場する第1幕や、
やはりオロール姫が踊る第3幕のパ・ドゥ・ドゥーの
同姫のヴァリアスィョンも、この調が採られてる。
ヘ長調の「ド」が「ミ」と置き換えられてイ長調。
***♪(ドードー│)ドーー<レー<ミ│ー<ファー<♯ファー<ソ│<ラーーー>ソー♪
この間、ファゴット2管+チェロが、それに反行して、
***♪ソー>ファー>ミー│>レー>ドー>シー│>ラ<シ<ド、<レ<<ミ<ソ♪
を奏する。チャイコフスキー・ワールドである。加えて、
8分音符で1拍ごとにオクターヴを上下するバスは、
「悲愴交響曲」の第2楽章などを先取りしてる。ともあれ、
この「リラ登場の動機」は繰り返されるが、
***♪ドードー│ドーー<レー<ミ│ー<ファー<♯ファー<ソ│<ラーーーーー│ーー、
  >シー<♯ドー│<ソー<♭シー>ラー│ーー、
  >シー<♯ドー│<ソー<♭シー>ラー│ーー、
  >ソー>ファー│ーー、>ミー>レー│ーー、
  >ドー>シー│>ラー<シー>ラー│>♭ラーーー>♭ラ●♪
と展開される。この2行乃至4行は実質ロ短調に短期転調されてて、
   ♯ファー<♯ソー│<レー<ファー>ミー│ーー、
  >♯ファー<♯ソー│<レー<ファー>ミー│ーー、
  >レー>ドー│ーー、>シー>ラー│ーー、
となってるのである。「リラ登場の動機」は
木管群が受け継ぎ、このナンバー第3部への繋ぎ部を導く。

ときに、劇場で「眠れる森の美女」全幕を観たのは、
もう10年以上も前、昭和女子大人見記念講堂での
「キエフ・バレエ」の来日公演である。そのとき、
プリマを踊ってたアリーナ・コジョカル女史は、いまや
英国ロイアル・バレエの至宝となってる。今年の11月に、
東京バレエ団がゲストに呼んで「くるみ割り人形」を踊らせるらしい。
ひさびさに観てみようかと思ってる。

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