チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『交響曲第5番』と『眠れる森の美女第15曲』のネジレとデズィレ」

2010年07月23日 02時22分20秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲c)コーダ、
[Presto、2/4拍子、2♭(ト短調)]の主題の冒頭は、
♪ファ>ミ>レ>ド>シ>ラ♪
という、第6音から順次下降してくる短調音階である。いっぽう、
「交響曲第5番」の第1楽章序奏、27小節乃至30小節は、
**♪ファ│>ミ・>レ・・>ド・>シ│>ラ・ー・・ー、
 <ファ│>ミ・>レ・・>ド・>シ│>ラ・ー・・ー・ー♪
である。これはA管のクラリネット2管が完全ユニゾンで吹くものであり、
ホ短調の曲ながら、記譜はト短調でされてるゆえ、これをそのまま
ト短調の「眠れる森の美女」の第15曲c)コーダに流用することができる。

この「序奏」は他の3つの楽章に循環される。そして、
完全長調化される第4楽章では、
**♪ラ│>ソ・>ファ・・>ミ・>レ│>ド・ー・・ー♪
の箇所が、
****♪ドーーー│>シーーー・>ラーーー・・>ソーーー、
   ソーー>♯ファ│>ミーーー・ーーーー・・ーーーー♪
とされてる。が、これも
短期「嬰ト短調」転調とスキャンすることもできる。すなわち、
ホ長調のドを嬰ト短調のファと置き換えて、
****♪ファーーー│>ミーーー・>レーーー・・>ドーーー、
   ドーー>シ│>ラーーー・ーーーー・・ーーーー♪

もうひとつ、既述の
「交響曲第5番」第2楽章の第2主題と
「眠れる森の美女」の第15曲a)パ・ダクスィヨンの主要主題との類似、
はどこでも取り沙汰されてることで自明である。

その、
「交響曲第5番」第2楽章の第2主題が
vnプリーモ+オクターヴ下のチェロによって本格提示され、
vnセコンドとヴィオーラが加えられて、
主題がテンポを上げクロマティックに上昇しつつクレッシェンドして
クライマックスに達する箇所で、チャイコフスキーは
"con desiderio(コン・デズィデーリオ=求めるように)"
と指示してる。そして、
この主題がオクターヴ上で再現されるとき、チャイコフスキーはさらに
"con desiderio e passione(コン・デズィデーリオ・エ・パッスィオーネ)"
と指示する。conは前置詞で「~という状態で」という意味、
eは接続詞で英語のand、そして、
passioneは「激しい恋心」「相手を求める恋愛感情」
という意味である。あとさきになるが、
desiderioは英語のdesireで、中森明菜女史のような
「バーニング・ラヴ」「バーニング・ハート」、あるいは、
「相手に対する強い欲求」を意味する。いっぽう、
「眠れる森の美女」の第15曲を踊るのは、
オロル姫の幻影と踊って愛を希求するプランス・デズィレ、
Prince Desireなのである。

単に節が似てる、だけなのではない。明らかに、
チャイコフスキーは双方に「同様の感情」をかき立て、
「同種の意図」を配して創作したのである。
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