さて、今日は映画を見てきました。しかし、困ったことに良くわからない映画でした。
ジョニー・デップとティム・バートンのコンビですぞ。当然期待して観に行くわけでしょう。で、結果は、うーん、こりゃ何だろうという感じ。吸血鬼が主人公なんだから、まあ、最初から、最後まで血まみれの場面は仕方がないとして、どうも良くわからないのがストーリーとその話の展開の意味。どうしてそこでそうなるのかわからない。
恋人の裏切りに怒った魔女が恋人の好きになった女性を崖から転落死させ、後を追って自分も崖から身を投げた恋人を魔術でバンパイア、吸血鬼に変えて身動きの出来ないようにした上で棺に閉じ込め地中深くうずめて、そのままにしておいたのが200年後に工事現場で土を掘っていると吸血鬼の入った棺が出てきて、棺の中から出てきたバンパイアは工事現場で働いていた人たちを全員血を吸い取って殺してしまう。これはずいぶんひどい凄惨な場面なわけで、あれよ、あれよと思うのだけど、ブラックコメディ仕立てになっているから、大事件なんだけれど、それほどに見えないまま話が進んで、昔のベトナム戦争に反対したフラワーチルドレン風の若者たちがまたバンパイアの手にかかって一度に全滅する場面など、えっ、この人たちも殺しちゃうの?といいたくなるような展開です。
あんまりストーリーを書いてしまうとまだ観ていない方たちに申し訳ないので、この先は詳しくは書きませんが、バンパイアが出てくるからホラーかというとこれがどうもそんな簡単なものではなくて、魔女も、現代に生きるバンパイアの子孫に当たる家族たちも、その家族たちと親しい女性の心理学者も、一筋縄ではいかなくて、なんとここは現代的に経済活動も活発に行なっていて200年の時代遅れになっているバンパイアを翻弄するわけです。そんな中に、200年前崖から身を投げて死んだバンパイアが愛した少女そっくりの家庭教師の女性や、バンパイアの子孫一家の家族の状況が話に絡んでいるのですが、今一これがちょっと話のつくりが雑な感じで、見る側を納得させるまでになっていません。
そう、一言に言えば話が雑で、観ていて納得がいかないんですよ。ましてやこちらは日本人のもはやシニアに近い中高年世代ですから、ただのスプラッターなどではない、もののあわれといった風情がないとやたらな大量殺戮に納得がいかないんですよ。最も最近の日本社会の出来事自体、ニュースをみると、意味など関係なしの殺人事件が多いから、これも時代の風景なんでしょうかねえ。
でも最後にちゃんとおとぎ話の定型どおり、わるいやつはやっつけられ、恋人たちは結ばれ、簡単に殺された人が生き返っているんですから、どうもこれはどうしてこんな風になってしまったのか、そこのあいだが何か不自然であります。作りが雑であります。というわけで、悪いけどこの作品は80点にとどかないかと思います。