なんかカールしてる

良いことあったら、ちょっとおしえましょう。

お月さん こんばんは

2017-10-20 16:26:39 | 日記
ココロが内向きになったこの二か月間、いつもなら見ないようなテレビをぼーっと見ていることが多くって、それが幸い(?)して、昔々のナゾが解けたということがありました。

    夕ご飯の用意もできて、夫が帰るまでの手持ちぶさたの時間、BSの「日本の歌」の再放送を見ていました。懐メロがどんどん流れる歌番組ですが、わたしは初めて見たのでした。だいたい昭和30年代の歌なので、わたしにとっては、聴いたことはあるけれど、一緒に時代を過ごしたというにはあまりにも古い歌です。



    そこで、氷川きよしさんが歌った「お月さんこんばんは」という歌のワンフレーズにくぎ付けになりました。「おつきさん」ではなく「おっつきさん」。この特徴のある節回しには聞き覚えがあります。昭和30年の藤島恒夫さんの歌ということですが、わたしは小さいころ、この「おっつきさん こんばんは」というワンフレーズを父の背中で聴いたのです。

 信楽陶器祭りにて

    月のきれいな夜、父は、わたしをおぶって散歩に出かけることがよくありました。父の履いた下駄のカランコロンという音が、誰もいない夜道によく響いています。そして月を見上げると、右に左に背中のわたしを揺さぶりながら、それに合わせて「おっつきさーん こんばんはー」と歌いました。

    突拍子もないワンフレーズが、こども心にも違和感があって「なんで、お父ちゃんはおつきさんじゃなく、おっつきさんって歌うのかな」と不思議に思っていました。そして、これは、月を見たときに発する父のオリジナルの子守歌だったのだろうと思っていました。長いあいだずーっと。半世紀以上もわたしのココロの隅っこに保管してあった、ワンフレーズ。ゆらゆらと父の背中で聞いていた「おっつきさん こんばんは」は、元々は流行歌だったのですね。



    この発見は、父の若いときの姿をリアルに想像させてくれました。昭和30年ごろだから、30才の父は、藤島恒夫さんの歌を聴いていたんだな。抒情的な歌詞が好きだったのかもしれないな。星影のワルツも好きだったし。そして、昭和30年生まれの兄をおぶって月夜の散歩に出かけ、歌ったんだ。

    白いシャツを着た、たばこの臭いの混じった臭いのする父の背中は、不思議に心が安らぐ記憶。もう35年も前にいなくなった父のことは、思い出す人も少なくなり、わたしや妹の父の記憶もおぼろげになって、悲しく思っていました。だから、父との思い出の謎が解けて、それが父のことを想う機会になって嬉しかった。

 画像お借りしました

    この秋はあまりお月見散歩をしませんでした。とてもとてもキモチに余裕がなかったのです。今度の満月の頃には散歩に出かけてみようかな。次のまんまる「おっつきさん」はいつかな。



    

    


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