静岡県で発生した、観光バスの横転事故。
乗客が亡くなったことから、過失運転致傷から過失運転致死に切り替えて捜査を続けています。
乗用車であればエンジンブレーキを使うことで、今回の原因とされているフェード現象を防ぐことが出来ます。
大型バスや大型トラックは、エンジンブレーキに加えて、補助ブレーキがあります。
補助ブレーキとは、排気ガスを利用してエンジンの排気弁を閉じて、エンジンに抵抗を与えることでエンジン回転が抑えられ、速度が落ちます。
エンジンブレーキは、ギヤを落とすことでエンジンへの負荷を与えるので、エンジンブレーキと補助ブレーキはよく似た働きをします。
フットブレーキはブレーキペダルを踏むことで、ブレーキオイルが押し出されて、ホイールにあるブレーキシューを押し出して摩擦で速度を抑えます。
摩擦なので、同時に摩擦熱が発生します。
摩擦熱でブレーキオイルが熱せられ、沸騰してしまい、気泡ができてしまいブレーキペダルを分でも、気泡がクッションになり、ブレーキシューを押し出す力が無くなり、ブレーキが効かなくなります。
ブレーキオイル(フルード)は水分と結合しやすく、古くなってきたブレーキオイルは水分を多く含み、茶色に変色します。
このことで瞬間的に沸騰してしまうわけです。
初心者や高齢者に多い、下り道でブレーキを踏みっぱなしで引き起こされる現象でもあります。
残念ながら、死亡事故になりましたが、ニュースにならないだけであって、フェード現象は多く発生している事故です。
亡くなった乗客が可哀想だから、危険運転致死傷だと話すコメンテーターもいますが、過失運転致死傷と危険運転致死傷は全く違うものです。
簡単に言えば、殺意が有るか無いかです。
感情だけでは、重い罪の起訴はできないので、危険運転致死の適用は難しいと思います。
今回の事故は、長い下り道で運転手は添乗員に対して「ブレーキが効かない」と話していたということ。
危険運転致死傷であれば、煽り運転や飲酒運転、無免許運転、歩道走行など、危険であることが客観的にわかる場合です。
過失運転致死傷は、通常運転で不注意により事故を起こした場合です。
法定速度で走行していて、横断者に気付かずに轢いてしまった、スリップして轢いてしまった、出会い頭衝突、運転操作を誤ったなど、ごく一般的に発生する事故です。
静岡県のバス横転事故も、飲酒運転、無免許運転、前車への煽り運転、猛スピードで追越ではなく、ブレーキが効かなくなったと話をしていることから、過失運転致死傷が適用されると思います。
無免許運転、飲酒運転などがなかったかは、今後の調査でわかってくると思います。
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