
前にお友達のお母様から聞いた話です。(私はこのお母様をとても尊敬しています。)
お母様のご実家は銭湯をされていました。
お母様が子供の頃だから、今から70年くらい前の話です。
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銭湯には1人の男性が住んでいたそうです。
え?銭湯に人が住む??と思われるでしょうが、本当の話です。
その方は戦争から帰って、少し身体をお悪くしていたとのこと。
なので仕事もままなりません。
お気の毒に思った祖父さまが、銭湯を閉めた後の脱衣所で寝泊りして良いですよ、と住むことをお許しになっていたそうです。
小さな桶に下着・シャツ・湯呑み・練り切りの歯磨き粉などが入った風呂敷包み一つ。
それが全財産。
お客さんがいる時は邪魔にならないように、帰られた後の脱衣所で寝起きをしていました。
いつも清潔に身綺麗にしていて必要最低限のものしか持たず、洗って干して畳んで仕舞う小さな風呂敷包み。
人を恨むことも、(当然ですが)ものを盗むことも、捻くれることもない。
とにかくきちんとした方、という印象だとおっしゃっていました。
さてしばらくしてその方が銭湯から出ることになりました。
どうやら良い方と出会って所帯を持ったとのことでした。
お母様は子供ながらに「こういうきちんとした方が幸せになるのは当たり前だな。幸せになるべき人だ!」と思われたそうです。
現代は多くのもので溢れているし、美味しい食べ物もたくさんあるし、いつでも好きなところに行けるし、働いても働かなくても生きていける(人もいる)。
そんな中でこんな事になってしまいました。
世界中の人がコロナで多くのものを失ったと思います。
失業者も多く、閉店倒産も相次いで、街にも出られず、ストレスの溜まる毎日。
そんな時にこの話を思い出しました。
教訓めいたことを言うつもりなどないのです。
ただ、「そうだ。。生きていなくては」と思ったのです。
そして今までの暮らしに執着せずに、けれども「身綺麗に」生きていようと思ったのです。
むしろこれからは失っていくことの方が多いのだろうなぁ。。。とも思いつつ。
久しぶりに再開したブログで、また皆様に何かが届けられますように。
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