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笑顔製造工場

2011年03月16日 23時54分17秒 | つぶやき
ショートストーリー
「笑顔製造工場」

地球と宇宙の間に、ぽっかりとあいた空間の穴があります。
地球が誕生してから、それはずっーとそこにあったのですが、誰も気付いた人はいません。

その穴を潜ると、そこは春の世界でした。

どこまでも続く草原、緑の木々をぬける爽やかな風。
ポカポカしたお日様の香りと、ひらひらと舞う蝶々。

そこには青い空から浮き出たような白い建物があり、その側で白髪の老人が白いリクライニングチェアーに座っています。
チェアーの側には、小さな木製のテーブルがあり、そこには目のさめるようなオレンジ色のアイスティーが置かれていました。

老人は、むくりと起き上がり、少しボーっとした後、ストローに口をつけアイスティーを一気に飲み干しました。
サングラスを外して、テーブルに置きました。
そして、あたりを見回しながら

「おーい、フィリッポくん!」

白い建物の中から、少しポッチャリした青年が出てきました。
少しふらふらした歩き方で老人に近づいてきます。
日焼けした身体、上半身は裸で、下には黄色い半ズボンをはいています。


「なんダスか?工場長」

「今、何時頃かのう?」

「さあー?」

フィリッポくんの口には、乾いたヨダレの後がありました。
どうやら彼も居眠りしていたようです。

「しかたない奴だな、5分ほどで起こしてくれと言ってたのに!」

いそいで白い建物に飛び込んだ工場長は、部屋の中に入ってびっくりしました。
「あわわ…」

水色の小鬢が部屋中に溢れています。

「思ったより長い間寝てしまってたようじゃな…」

この世界は、地上の時間の流れとは少し違う時間が流れてるのです。

ちょっと寝てしまえば10年、20年といった年月が一瞬でたってしまいます。

この白い建物は、何を隠そう「笑顔製造工場」
笑顔の原料は、今部屋の中を覆い尽くしている水色の小鬢。
これは人々が悲しんだ時にできる涙の塊が入っています。

本当は、悲しい事があると、その後は悲しみをうめる喜び、笑顔が発生するものなのです。

工場長とフィリッポがさぼってる間、多くの悲しみが地上に生まれたのでしょう。

「フィリッポ君、今日は残業じゃ」

「が、がんばるダス」

二人は、水色の小鬢のコルク栓を抜きはじめました。

ポン!と音がするたびに、悲しみの青い光が、喜びの明るいオレンジの光に変わり強く輝きます。

部屋の中の悲しみの小鬢は、まだまだ沢山ありますが、これからは大丈夫。
工場長とフィリッポ君が、全部笑顔の元に変えてくれるから…。

今まで沢山悲しんだ分、これからは、いっぱいの笑顔が溢れた未来が来ます。

だから、だから大丈夫だよ。


おしまい。
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