単発SS
暗闇に支配された街。
月が雲に隠れてしまい黒一色の中に、女性の走る音と荒い息遣いが響く。
入り組んだ都会の路地を抜けると、人々から忘れ去られた空き地に出た。
風が吹き雲の切れ間から月明かりがもれた。
照らし出すのは、少女の姿。
ショートカット、ジャンパーとデニムのミニスカート。
彼女は空き地に置かれた建築資材の上から、もう一人の少女を見下ろす。
驚いて後ずさるロングヘアーに桃色 . . . 本文を読む
キモい表現を多く含みます。
苦手な方はご注意ください。
「厨二な私」
ついに、その朝がやってきた。
夢の中での永き戦いに勝利し目覚めた私。
失礼、まずは名前を名乗らなくてはならないわね。
前世では戦巫女として絶対神ミンシューに仕えた…オンドリャー・ハナ・ゲ・ヌケンガナー、この世では睦月トシ子という仮の名前を名乗っている。
ああ、夢魔の毒針攻撃は強力だな…。
戦いになれた私でも夢次元と現世の . . . 本文を読む
窓から見える夕焼けがぼんやりと滲んだ。
海辺の小さな町に少女リイカは住んでいた。
岸壁の上の灯台下にある白い土壁の小さな家。
そこが彼女の家だった。
暗闇鳩の時計が月凪時を告げると、彼女はカップに入っていた冷めた甘雪糖を飲みほした。
扉を開けて灯台の外壁にそった階段を上がる。
てっぺんにある魔法あかりに火をともすのが毎日の日課だ。
精霊式原動機のハンドルを力いっぱい回すと、三段レンズ付き . . . 本文を読む
ここは、血で血を洗うミニ四駆レース場。
5台のマシンが激しいレースを続けていた。
トップを走っていたのが、我らが主人公「珍太」!
彼は3カ月の雪山ミニ四駆地獄訓練を経て、このレースにのぞんでいた。
彼の愛車の名は「ビッグシング」NASSAが極秘で開発した新技術を搭載し、単三乾電池一本でゴビ砂漠を横断するパワーを持つ。
2位を走っていたのは、ライバル「メガネー」
ビリは、外国からやっきた「リチャー . . . 本文を読む
目の前で兄を処刑された少女。いや、自分の手で兄を死に追いやったのだが、平然とした顔で次の日の審議に顔を出した。
時々、空間を見つめてブツブツと何か唱えていたが、意識ははっきりしており、大広間に集まっている人達に目を向けて審判をくだした。
全ての罪人と、自分の両親の死罪を。
それから来る日も来る日も処刑は続き、連日町に火が放たれた。
ついにある日、大臣の一人が少女に問いつめた。
こんなことをして . . . 本文を読む
その国は幼い少女によって統治されていた。
彼女の言葉は神の言葉であり、それに背くことは誰にも不可能だった。
彼女は、金髪の巻き毛をいじりながら大広間の長イスに腰掛けていた。
まだ遊びたいさかりの歳なのに、彼女にはそれを許されぬ仕事があった。
国の政策の決定から、罪人への判決まで、すべてに指示をださねばいけない。
「あっち、こっち…死刑、死刑、無罪…死刑…」
いいかげん退屈な毎日にはうんざりだ… . . . 本文を読む
降りしきる雨を窓から眺めて、裕二はため息をついた。
そのため息に合わせて優子もため息をつく。
くる日もくる日も変わらぬ毎日が続いていた。
二人とも部屋の外に出なくなってどれくらいの時が流れたんだろう?
二人は、触れ合うわけでもなく、一日中食卓を囲んでいた。
窓の外、庭には退屈な日常を映していたテレビの残骸や、壊れたトースターなどが雨に打たれていた。
降り続く雨に庭の土が削られ、茶色がかった白い物が . . . 本文を読む
早紀は最終電車に乗っていた。
仕事に疲れ、人間関係に疲れ…。
その日はけっこうお酒が入っていた。
電車の中は蒸し暑く、澱んだ空気を時々扇風機がかきまぜるだけだった。
彼女の他には誰もその車両には居なかった。隣の車両の蛍光灯が切れかかっているのか、たまに点滅を繰り返す。
彼女は、いわゆるスランプ状態であった。
他人より安い給料で多く働く…
気の弱い彼女は、多くの仕事を押し付けられていた。
もし自 . . . 本文を読む