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ショートストーリー「泉の女神」

2012年06月15日 00時11分47秒 | つぶやき
時は戦乱、敵軍を偵察するために山中を進んでいた私だったが、泉の側を通った際に、愛馬に備え付けていた甲冑の一部を泉に落としてしまった。

あちゃー。

いや、肩の部分ね。
あれないと格好悪いんだわ。

困り果てていると、泉の中からファンタジーっぽいやつがでてきた。
いかにも女神っぽいやつ。

「あなたの落としたのは、このボロい甲冑ですか、それとも…」

さりげなく失礼な事言ったな…。お、この展開は…。

「この最新式自動追尾レーザー付甲冑ですか…?」

は? なんやそれは?

「いいえ、ボロいほうです」
「あなたは正直ですね。では、最新式のほうをあげます」


よくわからないが…。
なんかゴツいのが付いた甲冑を装備した。

肩だけアンバランスだが、それは見たこともない軽くて硬い材質でできていた。
森を抜けたころ、この甲冑から警戒音が鳴り響いた。
「敵軍勢をキャッチしました」

喋った!妖精でも入ってるのか?

茂みから前方に広がる平野の向こうに、黒い絨毯のような敵の軍勢が…。

ヤバイ、そう思った時にまた妖精の声が…

「攻撃準備完了、攻撃しますか?」

なんかわからんが、とりあえず
「よっしゃ」と返事をする。
すると身体が勝手に動き出した!
あろうことか敵に突っ込んでいくではないか!

「あわわわ!」

「敵をロックオンしました。ホーミングレーザー発射!」

まばゆい光とともに敵の軍勢が瞬く間に蒸発していく。

なんだかわからないうちに敵を殲滅した彼は、英雄となった。

泉と、その女神の話は、彼だけの秘密だったのだが、ついつい酔った勢いで、酒場で泉について語ってしまう。

それを見ていた隣国の男性が、その情報を国に持ち帰り…。

あろうことか、隣国の王は、戦車を馬ごと泉にわざと落としたのだった。

「あなたが落としたのは…」

あっという間に超兵器同士の超次元戦争が勃発したのだった。


場面は未来に変わる。
巨大なアンティークを売る店は、連日マニアでごった返していた。
とくに中世の品が充実していると話題の店だ。

店の奥には、泉の女神…こと店主が座っていた。

そう、泉の女神のふりをして、過去の品物を収集し、未来で売りさばいていたのだ。

しかし、今日来店したのは、客ではなかった。

黒いスーツを着た男が店主にあゆみよると…。

「タイムパトロールだ!」

一瞬、店主が男の顔を見た時に驚いたと同時に怪しい笑みを浮かべた気がしたが…。

男が念願のタイムパトロールになったのは、つい最近。
強い使命感に燃えての事だ。
数カ月に及ぶ捜査から、この店の悪事を暴き出した。

人間が時間を移動できるようになったのは、数年前の事。
誰でも時間移動できるわけではないのだが、特殊な体質をもった者は時間旅行を楽しめる時代となった。
と、同時に予測どおり時間犯罪も多発したため、それらの違法トラベルをキャンセルさせる機関が結成されたのだった。

それがタイムパトロールなのだ。

タイムパトロールでありながら時間移動できない事をコンプレックスにしていた男は、上司の命令も聞かずに、このヤマに踏み込んだのだった。

店主に行動強制手錠をかける。
どういった仕組みかしらないが、時間犯罪者が行った違法トラベルをキャンセルできるのだ。
手錠をセットすると、ランプが点滅し…三分待つと…

チーン!


時は戦乱、敵軍を偵察するために山中を進んでいた私だったが、泉の側を通った際に、愛馬に備え付けていた甲冑の一部を泉に落としてしまった。

あちゃー。

しばらく落ち込んでみたが、断念して先へ進んだ。
私には大事な役目があるのだ。


そう、泉の女神と会えなかった彼の運命は…
彼は敵軍勢の前に、名誉の戦死。

それで話は終わらない。
実は未来のタイムパトロール君は、英雄となって敵軍勢を殲滅した甲冑男の子孫だったのだ。

タイムパトロール君が生まれなかったという事は、アンティーク店の店主は逮捕されなかった事になる。
ここにパラドックスが生じる。
そう、この店主の行動は必然だったんだ。

「あーあ、これだから人間に時間移動させるのいやだったんだ。」

一人の老人が、机の上にならんだ水晶玉の一つをつかみあげる。

この玉には、歴史、時間の流れがこめられているのだが、最終的にはパラドックスが起きてダメになるものばかり。

ポイっと、側の泉に水晶玉を捨てる老人。

すると、泉から女神が出てきて…

「あなたの落としたのは、このダメな歴史ですか?それとも…」


おしまい
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