[全東洋街道][メメントモリ]藤原新也
#大人の夏休み課題図書、その③
コイツは文庫本もでているが,是非オリジナルの大判タイプを探して欲しい。
作者が上海からインドを経由してイスタンブールへの現代の巡礼の旅の記録です。
当時はセゾン的な広告とコピーライト全盛の時代。旅行や海外の情報もるるぶ的なものしかなくて、そこに突然、ガンジス川の川辺で野犬に喰われる水葬の死体の写真をひっさげて現れたときのインパクトは凄かったです。
綺麗な風景など殆どなくて、くすんで薄汚れた写真、しかしながらそこに写る強烈な死体や葬送の光景、強い光を放つ老人や娼婦の表情。日本と全く違う生活の有り様。
そして意外にもリリカルで詩的ですらある文章。放浪の途中にありナマの現実をレポートしながら藤原の目は、その地に沸き立つ土地の過去の神話を幻視し、渾然と物語るのです。
なんの免疫も無い当時の僕はこの写真家だか小説家かだかもわからない藤原という謎の人物にすっかり魅了されてしまったのでした。 ふらふらと自分も印度に行って野垂れ死にになっていた危険もあったのですが、何とか無事にこうして投稿できています。良かった良かった( ^Д^)( ^ω^)( ^▽^)
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