#海獣の子供5(完結) 五十嵐大介
「大切なことは言葉にならない」と米津玄師が歌っているように この5巻の半分以上のページにはセリフもアテ書きもない。
といって無音かといえば、さにあらず それらの場面のほとんどは海中か海の場面であり、そこには水泡の音や鯨のソングや、風や波の豊穣な音に満ちている。
その音は時に過剰なほど濃密なので 言葉はかき消され、散り散りになってしまって、形にならない。
だが 言葉はそんなにも無力かといえば実はそんなことはない。
上の「歌詞」は本編原作では似ているがやや違う表現をされている。
「一番大切な約束は言葉では交わさない」だ。
言葉にはコトダマがあり、文には予言や時間改変の力がある。
もっと言えば世界創生の呪力まで持っている。
軽々に言葉を扱って、もしも本意やモノゴトの本質と違う言葉を当て嵌めたり、約束として使ってしまったら とんでもないことになってしまうから
「一番大切な約束は言葉では交わさない」という書き方になるのだ と僕は思っている。
それは「自分の本当の名前は、だれにも教えない、本当に大切なひとにだけ、秘密に教える。」という、真名の原理(教理)と同じなんだと思う。
ではこの物語の約束とは何か?
約束の相手は 琉花と 海と空
あるいは 「ひと」 と 「うみ」「そら」
約束の内容は・・・・・
これは言葉には・・してはいけませんね
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