Pixysのポジティブライフ

困難に立ち向かうアラフィフの日常
働いて働いて働いて働いて、たまに旅に出る

病院での一日

2009-05-20 13:21:10 | 病気や健康の話
真面目に車の運転するのひさしぶりだった。ああ、近所じゃなくて30分程のちょっと長い距離ね。病院に到着するといつもとはまったく様子が違う。殆どの玄関が締め切られ張り紙が。「新型インフルエンザの感染を防ぐため・・・・」正面玄関からしか入場できないのね、そうはいっても病院敷地は広いからグルリと回る事になる。病人は回るの大変だろうな。
正面玄関の自動ドアを入ると、長テーブルが置かれ事務員らしき女性がマスクをし受付をしている。怪しい奴はここから先にはいかせないってか?入院患者の家族だから無視して通り過ぎる。
周りを見るとマスクした人達がうじゃうじゃ。母が感染に弱い体であるから私は常に実家でも病院でもマスクを着用していたけど、病室にお見舞いにくる人達がマスクをしてきたのを今まで殆ど見たことがない。結局自分が移りたくない時だけマスクするんだな、こういう時に人間の本性が現れるってもんだ。

奥のエレベータ方面へ進む。入院病棟の方はやはりいつもより人は少ない。こっちは看護婦はもちろん、ヘルパーさん、掃除のおばさんなど100%がマスク着用。さすがに徹底してるな。エレベータにのると10人程の全員がマスクしてて変装した悪役(ショッカー軍団)のように思えてきて、密室の中、笑いをこらえられず「ひっひっひっ・・・。」と声に出して笑ってしまった。
9階に上がるとまだ1時前、患者さんのご飯の時間だ。ロビーで食事が終わるのを待つことにする。ソファーに座ると左側に無菌室の入り口が見える。まっすぐに伸びた廊下は、西日に照らされて推理小説の中でイメージする病棟にぴったりだ。
「今日はなにやら事件が起こりそうですぞ・・・」そんな事を一人つぶやきながら時間がたつのを待っていた。

病室に入ると意外と元気な母にほっとする。6度目の入院、しかももう治療の全てをしつくした状況での血小板とFFCの低下による再入院。いつもとはちょっと違う状況であり、治療方法は同じ薬を使うしかない。最初の頃に行なった抗がん剤だ。
副作用が強く、発熱、吐き気、下痢等、つらい治療になるはずだ。だけど入院した時とは体力が違うから耐えられるだろうとの医師の判断なのである。前にも話したが母の主治医は当初、新人女性医師だった。母の命を何度も助けながら今では立派な女医さんになりつつある。治療の説明を隅々まで行い本人、家族の同意を得ることを怠らない。私なら「なにもそこまで・・・」と思うような事も詳しく説明してくれる。投与する薬の効果、副作用が出た場合の処置方法など・・・。
新人ならではの・・・といえば失礼かもしれないが、「病気を治すのはご自身だ。私は手助けをする事しかできない。」と言う。聞き方によれば頼りないのかもしれない。だがどんなに忙しくても母にかける愛情のようなものを感じるから、私には解かるし信頼できる。そりゃそうだ、もう3年以上一緒に戦ってきている。
日曜も「独り者だから。」と宿直で家に帰らないし、それじゃ結婚できないんじゃ・・・と逆に心配だ。

数十分後、治療の点滴が始まった。今回はちょっとツライかもしれない。なんとかこの一週間を乗り越えて新築の家で引越しそばを食べたいと母は笑う。それまでに家をキレイに片付けておくことを約束する。
8階の新築マンションから、夏の花火を見るのを楽しみに病院を後にした。