ブッダガヤ大菩提寺の周りに掲げられた五色の仏旗(ポールも五色に塗られています)
インド仏跡探訪ハイライト(1) 仏旗について Buddhist Pilgrimage Tour in India(1) Buddhist Flag
インドの各地で仏跡を訪れていたとき、寺院の頭上に旗が翻っているのを何度も見掛けました。そこで、その旗が何を意味するかについて調べてみると、仏教のシンボルを表す“仏旗”(Buddhist flag、仏教旗とか五色旗とも言う)であることが分かりました。
この仏旗は、1950年にスリランランカで開かれた第1回世界仏教徒会議で、“国際仏旗”として採択されたと言うのが経緯です。
そのデザインは次に示します。
色彩は、青、黄、赤、白、樺(オレンジ色)の5色から成っており、“全日本仏教会”のウエブサイトによると、夫々次の意味を持っています。
青:仏陀の髪毛の色で、心乱さす力強く生き抜く力「定根(じょうこん)」を表す。
黄:燦然と輝く仏陀の身体で、豊かな姿で確固とした揺るぎない性質「金剛(こんごう)」を表す。
赤:仏陀の情熱ほとばしる血液の色で、大いなる慈悲の心で人々を救済することが止まることのない働き「精進(しょうじん)」を表す。
白:•仏陀の説法される歯の色を表し、清純なお心で諸々の悪業や煩悩の苦しみを清める「清浄(しょうじょう)」を表す。
樺:仏陀の聖なる身体を包む袈裟の色で、あらゆる侮辱や迫害、誘惑などによく耐えて怒らぬ「忍辱(にんにく)」を表す。
ところで、定根の意味が理解できなかったので、調べて見ました。それは、悟りの境地を得るために優れた働きがある“精神統一”のことだそうです、
では、私がインド仏跡巡礼の旅で実際に見掛けた仏旗並びに五色幕とか五色の幟も併せてご紹介します。記事の内容は、お釈迦様が苦行をしていたブッダガヤ郊外の産地、成道の地であるブッダガヤ、初転法輪の地であるサルナート、晩年の頃に説教をしていたラジギールの霊鷲山と言う順序で記述します。
参考までに、チベット寺院に掲げられているタルチョーと呼ばれる旗もご覧にいれます。タルチョーも五色ですが、色彩には若干の差があり、五色の順番は青・白・赤・緑・黄の順になっています。それぞれが天・風・火・水・地すなわち五大を表現しているそうです。旗には、経文が書かれている場合もあります。
1.前正覚山(ドンガシュリ山)のチベット僧院
この山には、お釈迦さまがさとりを得る前に約6年間苦行をした洞穴があります。この聖なる場所は現在チベット寺院があり、チベット僧が洞窟の維持管理を行っています。この寺院には、タルチョーが翻っていました。
前正覚山のチベット僧院
2.スジャータ村(セーナー村)のスジャータ寺院
スジャータ村は、お釈迦様がドンガシュリ洞窟の苦行でげっそりとやつれた姿で山を下りてきてナイランジャー河の畔にいたとき、この村のスジャータと言う娘が乳粥をお釈迦様に捧げたところ、元気を回復したと伝えられています。その後まもなく、ナイランジャー河の対岸のブッダガヤで悟りを開くことになります。
スジャータが乳粥を捧げた場所には、現在スジャータ寺院が建てられています。寺院の境内には、仏旗が張り巡らされていました。
スジャータ寺院
3.ブッダガヤの大菩提寺(マハーボディ寺院)
この寺院は、ゴータマ・シッダッタが悟りを開いて、正覚者つまり仏陀(Buddha)となった場所で、仏教で最も大事な聖地です。この寺院のだだっ広い参道には、空一面に多数の仏旗が翻っていました。
大菩提寺の参道
寺院内の一角には、蓮華池があります。その中央にはとぐろを巻いたムチリンダ竜王の上に座して禅定行っているブッダの像があります。この像の背後には五色の仏旗が吊り下げられており、水面にも色彩豊かな旗の列が映っていました。
大菩提寺の蓮華池
4.ブッダガヤで見た仏旗類似の飾り
・モンゴルの寺院
祭壇前の柱の表面や吊り提灯が、仏旗の五色が配色されていました。
モンゴル寺院の祭壇
・ホテルスジャータ
ロビーの一角に設えられた祭壇の周りには、五色の垂れ幕が張られていました。
ホテルスジャータの祭壇
5.サルナートの鹿野苑
初転法輪の地である鹿野苑は、現在は遺跡公園となっています。入口を真っすぐ進むと大仏の立像が建っていますが、その台座には五色の布が巻かれていました。
大仏の台座に巻かれた五色の布
この近くにはタイの寺院があり、その正面には仏旗が飾られていました。
鹿野苑のタイ寺院
6.サルナート市街地の寺院
・ムールガンダクティ寺院
この寺院の参道の両側には、五色の幟が並んでいました。
ムールガンダクティ寺院の参道
・インドマハボディ協会の寺院 ・チベット僧院の境内 ・カンボディア僧院
(備考)クリックすると、写真は拡大されます。
7.ラジギールの仏跡
・竹林精舎
竹林精舎は世界最初の僧院と言われていますが、ここでお釈迦様が説教をしている坐像の台座に仏旗が飾られていました。その下部には仏教の教義を意味する法輪のデザインが描かれていました。
・霊鷲山(Vulture peak)
ここは、晩年にかけてお釈迦様が説法を行った香室跡があります。岩に囲まれたこの地にも、多数の仏旗が四方に張られていました。
2017年11月2日から8日にかけて、ブッダガヤ、サルナート、ラジギールなどの仏跡を巡礼しました。現地を巡っていたときは、特に仏旗のことは意識していませんでした。ところが、帰国後写真を整理していると、多くの仏跡や寺院が鮮やかな色彩の仏旗や垂れ幕、幟などで飾られていることに気づきました。
仏旗は日本では滅多に見られませんが、特別な行事があるときには飾っている寺院がある様です。次に示した写真は、静岡県沼津市での大泉寺で、秋のお彼岸に行われた大施食法要の際に仏旗が飾られた光景です(大泉寺のHPより転載)。
参考:日本のお寺に飾られた仏旗(沼津市の大泉寺)
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