エスタン城 Chateau d’Estaing
ル・ピュイ巡礼路の歴史的建造物(Monuments Historiques)
(3)ミディ・ピレネー地方、アヴェイロン県
本稿では、ナスビナルNasbinalsからゴリナックGolinhacまでの67kmの行程について報告します。この行程では、エスパリオンEspalionとかエスタンEstaingなどのユネスコの世界遺産を含め、ル・ピュイの巡礼の中でも、フランスの歴史的建造物に認定されている貴重な歴史遺産が目白押しでした。
1)第6日目:2013年9月30日、ナスビナルからサン・シェリ・ドブラックへ
この日は、道中のオーブラックAubrac及び目的地のサン・シェリ・ドブラックSt Chely d’Auracの2か所に歴史的建造物がありました。
ナスビナルは高度が1,180mの村ですが、ここから広大な山地に広がる牧草地の中を通って、9km先の隣村に至る途中には、ル・ピュイの道で最高地点(約1,350m)の峠を通過します。牛たちを避けながら3時間ほど歩くと、陸の孤島の様な所に現れたのが、オーブラックと言う小さな村落です。中世の巡礼者にとってこの村は難所でしたが、巡礼者を保護するために12世紀に建造されたノートルダム・デ・ポーヴル教会がありました。
ノートルダム・デ・ポーヴル教会(オーブラック)Eglise Notre Dame des Pauvres (Aubrac) |
イギリス人の塔 Tour des Anglais(ノートルダム・デ・ポーヴル教会の付属施設) |
オーブラックを過ぎて、森に囲まれた道や小川に沿った道を3時間ほど下ると、サン・シェリ・ドブラックに到着します。私が泊まった宿舎のすぐ隣に、11-12世紀に建造された教会がありました。
サン・シェリ・ドブラック教会 Eglise de St Chely d’Abrac |
2)7日目:2013年10月1日、サン・シェリ・ドブラックからエスパリオンへ
朝、巡礼路を歩いて行くと、サン・シェリ・ドブラックの村はずれにあるボラルド川(la Boralde)の橋を渡ります。それは、ユネスコの世界文化遺産でありかつフランスの歴史的建造物でもある巡礼者の橋(pont des perlins)です。中世に造られた石造二連のアーチ橋です。
巡礼者の橋 Pont des perlines a St Chely d’Aurac |
ユネスコの世界遺産であることを示す標識 |
この日の目的地、エスパリオン Espalionは、歴史の古い町です。市街地を散策して見かけたフランスの歴史的建造物は、次の2件です。その一つは、ロット川(le Lot)に架かるヴュー橋(Pont-Vieux)で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。この橋は、当時この地を領有していたカルモン領主によって11世紀に建造されています。川面にその影を映す4連のアーチ橋は、絶景です。もう一つとして、16世紀にルネサンス様式のヴュー・パレイ(Vieux-Palais)が建造されていますが、ロット川の右岸に聳えるその姿も素晴らしい眺めです。
ヴュー橋 Pont-Vieux |
ヴュー城 Vieux-Palais |
3)8日目:2013年10月2日、エスパリオンからゴリナックへ
エスパリオンの村からロット川に沿って巡礼道を歩いていると、左手の丘の上に古城が見えました。フランスの歴史的建造物に認定されているカルモン・ドルト城です。この城は、カルモン・ドルト家がこの地域を支配していた11世紀に建造が始まり、軍事的要衝として15世紀ころまで増改築が行われたようです。ここから1時間弱歩いたとき、ベシュエジュールBessuejoulsの村に差しかかりました。この村の巡礼道沿いにはサンピエール教会があり、フランスの歴史的建造物になっています。この教会は、ロマネスク様式の原型を保って14世紀に再建されたものです。
カルモン・ドルト城 Château de Calmont-d' Olt |
ベシュエジュールのサンピエール教会 Eglise Saint-Pierre de Bessuejouls |
丁度お昼頃には、楽しみにしていたエスタンEstaingに到着しました。この村は、フランスの最も美しい村の一つL’un des plus beaux villages de Franceです。また、フランスの歴史的建造物として、エスタン城、ロット川の橋、サン・フルーレ教会などがあります。
エスタン城は、エスタン家によって15世紀に城館として築かれ、その後増築されています。中央部には四角形の主塔が聳え、周囲には小塔が配置されています。
ロット川の橋から見たエスタン城 Chateau d’Estaing vu du Pont sur le Lot |
ロット川の橋は、エスタンの市街地に入る入り口にありますが、16世紀に建造されたゴシック様式の橋です。そして、サン・フルーレ教会は、11世紀にロマネスク様式で造られた教会の跡地に、15-16世紀になってからゴシック様式で建設されています。名称が示す通り、聖フルーレを祀る教会です。
ロット川の橋 Pont sur le Lot |
サン・フルーレ教会 Eglise de St Fleuret |
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