ドカズヴィルに向けて歩くベルギー人の巡礼仲間 Pelerin marchant vers Decazville
巡礼で出会った人々 Les hommes que j’ai rencontre durant mon pelerinage
(3)ベルギーから来たビジネスマン Un homme d'affaires venu de Belgique
ル・ピュイ巡礼の旅で、最も親しい同行者となったのが、ベルギーのブリュッセル近郊からやって来たジャン・マリーさんです。ジャン・マリーと言う名はファミィー・ネームですが、巡礼仲間は皆、親しみを込めて彼をジャン・マリーと呼んでいました。
彼は、最近までコンサル会社を経営していました。その会社は、EC委員会の本部があるブリュッセルが近いので、ECの委託業務が多いと話していました。ヨーロッパの他には、アフリカ諸国の仕事が多く、アフリカには頻繁に出張していたとのことです。しかし、還暦も過ぎたので今では社長を後進に譲って、非常勤とのこと。つまり、フルタイムではないので、巡礼道を歩くゆとりが持てる様になったとのことです。私も、以前は国際ベンチャーの経営を経験し、現在は個人企業で国際ビジネスのコンサルタントをしている同業なので、親しみを覚えました。
ジャン・マリーさんと最初に出会ったのは、巡礼を始めてから3日目頃だったと思います。彼は、最初は余り多弁ではありませんでした。しかし、人柄はとても親切で、4日目以降は次の日の旅程と相談し、その都度その日に泊まるジットを彼に予約して貰いました。
ゴリナックのジットでの朝食
毎日歩く距離も同じだったので、フィジャックまで9日間ほぼ行動を共にし、同じジットの同じ部屋に泊まり、打ち解けて話ができる仲となりました。彼の子供さんの一人はお医者さん、もう一人はITエンジニアーであること、自宅ではジットも経営していること、予約は1週間単位で受け付けていること、付属の牧場があり馬を数頭飼っていることなど、を話してくれました。
旅とは、全く不思議なものです。日常生活では、日々の出来事はすぐに忘れてしまいます。しかし、ジャン・マリーさんとの9日間の旅に関する思い出は、断片的ながら数多く覚えています。その一つは、巡礼第6日目のナスビナルで、宿の近くのレストランに夕食に出かけた時のことです。その日は、雨が降ったり止んだりの天気でした。舗装道路が湿っていたので、私が歩いている途中で、滑って転びそうになりました。すると、とっさに私を抱きかかえて、支えてくれました。何気ないような行動ですが、優しい思いやりに心を打たれました。
他にも思い出す事柄ですが、エスパリオンのジットで、ジャン・マリーさんが大事にしていた杖を管理人室に置き忘れ、その直後に管理人が鍵をかけていなくなり、結局それを回収できなくなってしまったこと、ドカズヴィルに向けて激しい雨の中をずぶ濡れになって何時間も一緒に歩いたこと、フィジャックへ向かう途中、湖のほとりに座って美しい景色を愛でながらそれぞれが携帯しているランチを食べたことなどが、脳裏に残っています。
ドカズヴィルへの途中で雨宿りのひととき
さて、今回の巡礼における最終目的地は、二人とも偶然にフィジャックでした。
巡礼最終日、リヴァンアック・ル・オーの入り口にて
フィジャックのホテルで一泊した翌日は、一緒にシャンポリオン博物館を訪ねました。シャンポリオンは、ロゼッタ・ストーンを解読したことで有名な考古学者ですが、ここに博物館が設立されたのは、この学者の出身地がフィジャックであったからと言うことを知りました。
今後のスケジュールとしては、ジャン・マリーさんはツールーズ経由で、サン・ジャン・ピエ・ド・ポール(ル・ピュイの道の終着地)に向かうとのこと。そこで奥さんと落ち合う予定とのことでした。私の場合は、クレルモン・フェラン経由でリヨンに向かう計画でした。したがって、彼は下り方面、私は上りの方角となります。彼とは、名残を惜しみながら、昼頃にシャンポリオン博物館で別れを告げました。
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