植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

冬のエレガンテシマは葉が茶色

2025年02月27日 | 植物の生態

コニファーのエレガンテシマ(ヒノキ科クロベ属)は、冬になって寒くなってくると徐々に葉が茶色になってきます。

その変化を比べてみましょう。昨秋からエレガンテシマの西側から撮影し、写真を並べてみると・・

上段左上から 2024年11月13日、12月18日、12月27日

下段左から 2025年1月4日、1月7日、1月27日です。

11月半ばの時点で綺麗な緑色していたエレガンテシマは12月18日には変色しはじめ、徐々に茶褐色の度合いが深まっているのがわかります。一番近くの気象台データ(長野市)で、11月13日前の最低気温は、0.7度(11月9日)で12月18日前の最低気温は-3.8度(12月15日)でした。最低気温が氷点下を下回り始めると変色してくる印象です。

上の写真は西方向から撮影したものですが、日光が当たる南側から撮影すると・・

1月4日の写真ですが、日光が当たる方向から見るとまっ茶色でした。

そこで、葉っぱを詳しくみてみると・・

 

南面から切り出した枝ですが、部分的に緑色が残ってまだらになっていました。どうやら別の葉に隠れて日光が当たらない部分で褐変を逃れているように見えました。

さらに、別な部分の枝をちぎって葉の表裏を比較したのが下の写真・・

  

上段が葉の表側で左が南面で直射日光が当たる葉、右が北側に伸びて陰になっている葉です。

下段は、上段の葉を裏返したものです。

このように、直射日光の当たる場所では茶褐色に変色しますが、直射日光の当たらない北側の葉や葉の裏側では褐変しないことがわかりました。


比較のために、同じヒノキ科クロベ属で冬になっても褐変しない品種のエメラルドについて調べてみました。

 

1月4日、南側からの写真です。このように黄色味がかって見えるもののエレガンテシマほどには変色していません。

枝をちぎって比較すると・・

上で調べたエレガンテシマと同じように、南側、北側で葉を切り出して表裏を比較しました。

直射日光が当たる部分で変色は認められますがエレガンテシマほどではないことがわかりました。

【まとめ】

  1. エレガンテシマは冬になり、最低気温が氷点下を下回り始めると葉が茶褐色に変色し始めます。
  2. 変色するのはもっぱら日光が当たる部分に限られているように見えました。
  3. 以前、「アサガオの茎が日焼けしている?」で報告したようにエレガンテシマも日光の害を防ぐために変色していると考えられました。
  4. 同じヒノキ科クロべ属のエメラルドでは、直射日光が当たる部分で若干の変色は見られたもののエレガンテシマ程に褐変はしませんでした。
  5. 以上のように、エレガンテシマが冬に褐変するのは、気温が低くなって新陳代謝が低下している時期に受ける直射日光の害から身を守るための対策だと推測でき、品種特異的な特徴なのだとわかりました。
  6. 冬季に茶色に変色しても春になり気温が上がってくるとまた美しい緑色に戻ります。
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カランコエの花色・直射日光下と室内の違い

2025年02月21日 | 植物の生態

以前、紫外線量と花色の関係を調べたくてペチュニアで観察しました(ペチュニア 日光量と成長の関係)。しかし、花が短命なうえ、開花後の経過時間で花の色が変化することからうまくいきませんでした。そこで、今回は花の寿命の長いカランコエで調べてみることにしました。

黄花のカランコエを用意しました。手前の小さな鉢は花が八重で大きな鉢の方は一重咲きです。左側の一重と八重の二鉢を室内のレースカーテン越しの日光が当たる場所に、右側二鉢をできるだけ外で直射日光に当てて育てました。悪天で寒い日は昼間でも室内に避難させておきました。

上の写真から10日後が下の写真です。

一重の品種では直射日光に当てて育てると花色がはっきりとオレンジ色に変化しました。八重の品種ではそれほどの差は見られませんでした。

環境により花色が変化するということはわかりましたが、人工気象室で調べたわけではないので何が原因で花色が変化するのかは正確にはわかりませんでした。おそらくは日光量、特に紫外線量の影響だとは考えられますが温度の違いも影響しているかも・・。品種によって違いがあったのも興味深かったです。

【まとめ】

  1. 黄花のカランコエ(一重咲き)を外で直射日光にあてて育てると花がオレンジ色に変化しました
  2. 一重と同じ環境で比較しても八重咲は花色の変化が顕著ではありませんでした
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帯化したガーベラ

2024年12月13日 | 植物の生態

店頭に並んでいたガーベラが帯化していました。帯化とは植物の奇形の一種です。見た目が下の写真のようで売れ残り気味だったのかもしれません。もっと色鮮やかで花の大きなガーベラも売ってはいたのですが、変わったもの好きなわたしとしては ついこちらを選んでしまったという・・

正常な花が3個くっついたようになって「L字型」に見えます。帯化したものはピンクの花弁ですが、次に上がってきた花は白でした。色変わりする品種でもあるのでしょうか?その点も興味深いところです。

茎と萼の様子。写真右の正常なものに比べて茎も太め。花がL字型だから、がくもそれに応じて三角錐を逆さにしたような形になっていました。この性質は2番目に上がってきた花が正常だったことから遺伝的に決まっているわけではないということ。帯化は成長点の分裂に異常が出ることで発生するとされていて、その原因はさまざまあるようです。微生物が原因のこともあれば害虫による食害が帯化を引き起こすこともあるそうです。ネット上の情報では、ガーベラの帯化はしばしば見られるといいます。ガーベラ特有の原因って何なのでしょうか?品種によっても起こりやすさに違いがあるみたいですが、よく分かりませんでした。


園芸植物だけでなく野草でも帯化は起きるのでその紹介・・

これはメドハギといいます。マメ科ハギ属の多年草です。この写真でど〜んと横に伸びているのが帯化したメドハギです。それ以外のほっそりとした茎を持ったものが正常のものです。この写真は10月中旬の撮影で花はほとんど終わっていました。

帯状の茎にポツポツついているのはまだ若い豆果です。同じマメ科でエニシダ属のエニシダでは帯化したものをいけばなに使うそうですよ。いけばな界隈では帯化のことを石化(せっか)といっているようです。


帯化の原因が、他の生物による刺激だけということであれば形質が維持されることはないはずです。しかし、多肉植物のゴーラム花月(カゲツ)の帯化した品種として確立されているようなので、帯化の原因は植物側にもあり得るということでしょうね。それが何なのかは知りませんけれども・・。多肉植物やサボテン界では帯化のことを綴化(てっか) と言っているようです。

花月は「金のなる木」という名でも知られており正式な和名はフチベニベンケイだそうです。葉っぱの縁が赤く色づくからその和名になったのですね。ゴーラムでもその性質が受け継がれており、写真のように縁が赤くなります。花月の大株では花が咲くこともあるからゴーラムも大きく育てれば咲くのかな。咲かせてみたいな。

ゴーラムの独特な特徴は、というと葉の形。スプーンの先のような・・あるいは、ホーンのような とも言えるかな。あのパフパフっていう楽器の・・。地球上の植物にしてはあまりにも奇妙な形なので「宇宙の木」と呼ばれることもあります。この写真の鉢に宇宙人のフィギュアを置いたらおもしろいマン盆栽(注)になりそう。

注:マン盆栽は小さなフィギュアを添えた盆栽の一種でマンボミュージシャンのパラダイス山元氏が発案。マン(人・フィギュア)と盆栽を併せてマンボで言葉遊び。


【まとめ】

  1. 帯化とは、植物の奇形の一つで、茎や花が複数くっついて成長したような外見で帯状になること
  2. 帯化は植物の成長点の分裂に異常が生じることで起こるとされている
  3. 原因としては、微生物の感染や害虫の食害が挙げられる。その他、植物側にも帯化を起こす原因が形質として保持されることがある
  4. 一般には帯化と言われているが、サボテンや多肉植物方面では綴化、いけばな方面では石化と言われることが多く帯化に価値が見出されている場合もある
  5. 帯化は見た感じが正常とはかけ離れているので気色悪いのは否めない

【結論】

気色悪いと感じる人がいる一方、帯化に価値を見出す人もいる。だから他と違っていても気にすることはない。価値を分かってくれる人が必ずいるのだから。みんなちがって、みんないい。


【今後の予定】

  1. 今回ガーベラの購入株が色変わり品種なのかを見定める
  2. ゴーラムに花を咲かせる(そうとう先のことになりそう)
  3. 宇宙人のフィギュアを手に入れてゴーラムの横に立たせてみたい
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ゼラニウム他・花弁の紫外線吸収と反射

2024年11月23日 | 植物の生態

花はなぜ美しいのでしょうか。それは花粉を運ぶポリネーターの視覚があったからこそです。植物は子孫を残すため、ポリネーターに美しく飾ってアピールするように進化してきました。その代表であるハナバチなど昆虫は、ヒトが認識できない紫外線も見ることができるといいます。そして植物側もその波長域を利用してアピールしていることが知られるようになりました。今回は紫外透過・可視吸収フィルターU-360)を利用してゼラニウム、菜の花「オータムポエム」、ガイラルディアの花を観察したので報告したいと思います。


まずはゼラニウム(フウロソウ科テンジクアオイ属)です。普通に可視光で撮った写真が・・

テンジクアオイ属は花弁が5枚あり、そのうち上方にある2枚において模様や脈の深さなどが他の花弁と異なっています。写真の品種でも上方の2枚は付け根で色調が薄くなり、脈の溝がやや深くなっていました。別種によっては上の2枚に濃い色をした蜜標があるものもあります。

写真の花を紫外線透過可視光吸収フィルターを通してみると・・

 

この写真での撮影条件は(ISO1600 F2.2 1/8sec)でした。このように晴天時でも紫外線写真では大きく露出をかける必要があります。さらに紫外線では可視光の屈折率と異なるため可視光の時とは異なるピント調節が必要です。紫外線写真の場合、可視光で合わせた後にピントを近距離側にシフトします。カメラの性能や撮影条件によっては液晶の映像が暗くてピント調節は当てずっぽうになることもあります。

上の写真の場合補正しないと赤被りがひどく見にくいので画像処理ソフトで適当に修正したのが次の写真・・

花弁は基本的に紫外線を反射する性質がありますが、上方の2枚の花弁では付け根付近に紫外線を吸収している部位がありました。写真では赤褐色に写っている部分です。

撮影時に光線の方向や露出を変えてみると・・

 

同じ花でもかなり違って見えることがあります。紫外線領域での撮影では光線の方向や露出の程度など条件を色々変える必要がありそうです。

過去、別品種のゼラニウムで同様に観察した写真も載せておきます・・

可視光では5枚の花弁に違いなどは無いように見えましたが、紫外線領域では上2枚の花弁にはっきりとした模様がありました。

次にオータムポエム(アブラナ科アブラナ属)の花の観察・・

オータムポエムは、とう立ちした茎がアスパラガスのような風味があるのでアスパラ菜という名で流通しています。8月に播種すれば春を待たずに秋から咲き始めます。花の様子は他のアブラナ科の植物と同じです。今年は夏から秋の気温が高かった影響なのかは分かりませんが、これまでになく葉が大きくなりました。

花の観察・・

これを紫外線透過可視光吸収フィルターを通して見てみると・・

色補正はしてあります。4枚の花弁の基部に紫外線吸収帯がありました。可視光ではその吸収模様は判別できないことから、まさに人知れずハチに知らせているということのようです。

次に、キク科テンニンギク属のガイラルディアの花を観察します・・

この品種はグランフレイム・イエローです。可視光では、舌状花の花弁基部がオレンジ色に濃い色になっており、蜜標の役割をしているようにも見えます。紫外線領域ではどういう模様でしょうか・・

舌状花の花弁基部について、可視光で観察されたのと同様な模様は見られませんでした。花の中心である筒状花部分が濃く写っており紫外線反射が少ないことを示します。


【まとめ】

  1. ゼラニウムとオータムポエムでは、花弁の一部に紫外線吸収帯がありました。細胞中にある紫外線吸収物質が関与していそうです。
  2. ガイラルディアについては、紫外線吸収物質の有無については断言できません。筒状花部分で紫外線レベルが低いのは、吸収物質によるものか、乱反射させる複雑な構造によるものかがはっきりしないためです。
  3. 共通の特徴として、花弁で紫外線を反射させることで花の存在をアピールし、その中で虫に訪れてほしい部位では紫外線の反射を抑えています。紫外線吸収帯は蜜標と言ってよさそうです。
  4. ゆえに紫外線透過可視光吸収フィルターを用いれば、紫外線領域の蜜標も観察することができます。

【今後の予定】

  1. 以前行った実験と観察で、花弁の紫外線吸収は、表皮細胞に貯えられた紫外線吸収物質によって行われており、その物質は植物によって異なるがフラボン類に属するだろうことまで分かっています。
  2. 追試的な観察でアップデートはしておきたいと思います。
  3. キッチンラボでは物質的な研究を進めるのは困難でしょうね。
  4. いろいろな花で紫外線領域での蜜標を観察しておきたいと思います。
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ビオラの水挿し エンサイの続報

2024年10月29日 | 植物の生態

あるホームセンターでビオラを数株買ってきました。花の色がわり品種と徒長ぎみの苗。色がわり品種についてはまた後日ご紹介しますね。

花の苗選びのコツとしては徒長したものは避けましょうと言われていますが、今回はあえて徒長気味の苗を購入しました。水挿しが上手にできるか試してみるためです。ホームセンターの従業員さんが花柄詰みをし始めたので詰まれないうちに手に取りました。よく見ると違う植物も生えていたりして管理的に!?・・花の色形を見ればどこのホームセンターかわかってしまうかもですが、全体的に園芸関係の品が良いのでよく利用させてもらっています。

実験計画としては、水とメネデール入りで比較することにします。それに先日報告した「メランポジュームの水挿しは成功するのか?」で水を換えなくても切り花が傷みにくくなる漂白剤入りでも試験します。今後の結果次第ではアゲラタムと同様、購入苗の数を減らせるかなぁと目論見中。

タネを蒔いて育ててもいるのですが、パンジービオラは少し難しいんですよね。年内に花を咲かせたいときはまだ暑さの残る時期に蒔く必要あるけれど、温度が高いと上手に発芽してくれない。数打ちゃ当たる作戦をとりたいけれど野菜のタネと違ってほんのちょっとしか入っていなくてもそこそこのお値段だし。だから水挿しがうまくいくといいなぁと思っているのです。今後の結果が楽しみ。

水挿しは土にさす挿し芽と違って発根の様子が見られるところが良いです。さらに挿し芽だと蒸散量を最小限に抑えるため葉の数を減らす必要がありますが水挿しはそうしなくていいので発根できた場合に株への復活が早いというのもメリットです。デメリットとしては、発根した茎を土に植えるのが面倒臭いことくらいでしょうか。大量に株を作りたい人はきっと挿し芽の方がいいんでしょうね。

挿し芽、挿し木といえば久留米ツツジを増やしたいと思っているのですよ。何回かチャレンジしているのに上手にできなくて。発根してもその後枯れてしまうことも多々です。木の植物はどうなのでしょう、水挿しで発根させることはできるのでしょうか。観葉植物以外ではあまり見聞きしたことないけれど。。興味あるところです。


【追加情報】

11月18日になっても根が生える兆しがありません。22日間経っても発根しないので水挿しで増やすのは実用的ではないという結論。種まきを工夫して暑い時期でも発芽率を上げることに努力した方が良さそうです。3つとも挿し穂は生き生きはしていますが、ここで観察中止としたいと思います。挿し芽を成功させている方でも発根まで2ヶ月くらいかかるかも、と書かれていたので、いずれにしても購入苗から水差しや挿し芽で年内に定植させるのはコスパ・タイパ悪く現実的ではない感じです。


次に「エンサイの水挿し(節と発根の関係)」の続報です。

「脇芽が入らないように節の位置で切り取ったもの」では、カルス状の成長点の兆しは確認して土に植えてみようとしていた間に少し成長しまして・・

この写真のように葉の赤ちゃんみたいなのに・・見方を変えればちょっといやらしい形に成長してきました。パチパチパチ。水挿し始めてから1ヶ月くらいかかりましたねぇ。何の役にも立たないのですけれど・・エンサイの潜在能力として節の組織が少しでも含まれれば成長点を欠いていても時間はかかるが再生できると言えると思います。まぁ、植物の能力はすごい!という結論でした。さらに芽を大きくしたいので液肥とリキダスを薄めに入れておきました。

どうしてこの実験をしようと思ったかというと、以前へデラを切り戻した時に、その新緑があまりにも綺麗だったので葉っぱを水にさしておいたのですよ。そしたら葉柄の先から立派な根がビヨ〜んと出てきたのです。しばらく育てても全然変化が見られず邪魔になって捨ててしまいました。そのことがず〜と記憶の底にあったんですね。本当はその後がどうなるか知りたかったんです。あれももっと時間をかけて見ていれば芽が成長してきたのかもしれないなぁ。

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