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五嶋みどり デビュー40周年記念演奏会 ~ベートーヴェンのトリオ~

2022年11月17日 | pocknのコンサート感想録2022
11月11日(金)五嶋みどり デビュー40周年記念コンサートシリーズ(4/5)
~Vn:五嶋みどり/Vc:アントワーヌ・レデルラン/Pf:ジョナサン・ビス~
トリオの夕べ ~ベートーヴェンとアイザック・スターンに捧ぐ~
サントリーホール

【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第1番変ホ長調 Op.1-1
2.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第3番ハ短調 Op.1-3
3.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調 Op.97「大公」


2020年の秋に中止となった五嶋みどり(MIDORI)の一連のコンサートがようやく実現した。11/8のデュオリサイタルもチケットを買っておいたのだが、ホールまで来て月食見たさに開演直前にチケットを手放したので今回のシリーズで聴くのはこれだけ。記録を調べたら、前回MIDORIを聴いたのはブログを始める前の2005年。もう少し最近だと思っていたが年月は早く過ぎるものだ。

17年ぶりとなったMIDORIのコンサートはベートーヴェンのトリオが3つ。第1番がビスの上品で配慮の行き届いたピアノのアルペッジョの駆け上がりと、MIDORIとレデルランとの親密でデリケートな対話で始まった。3人は声を潜め、息も潜めて互いに見つめ合い、呼吸を感じ合い、優しく囁き合って音に命を与え、極上の演奏を醸し出して行った。3人の顔の表情は2階後方の席からは見えないが、微笑みを浮かべている様子が目に浮かぶような幸福感が伝わる。ソフトタッチで弾み、膨らみ、要所は激しいアクセントの代わりに素早い「溜め」で強調する。3人は一つの生き物のように一体となった滑らかな呼吸で音の所作を決めて行った。

こうしたアンサンブルを重視する演奏スタイルは3曲に共通していて、3人がそれぞれ個性を剥き出してしのぎを削りバトルを繰り広げるのではなく、調和を優先した柔和で滑らかな演奏。これは一つの理想郷に達した演奏と云えるが、スリリングな刺激も欲しい気もした。MIDORIのヴァイオリンを久々にじっくり聴きたかったが、MIDORIも「個」を抑えてアンサンブルの一員としての役割を大切にしているように感じられた。3人のなかで一番目立ったのはビスのピアノで、今夜の優美な演奏の立役者と云える。

8日のMIDORIのデュオを聴かなかったことは後悔していないが、次はMIDORIの個性が発揮されるデュオを聴きたい。

今夜のサントリーホールは、止めていた終演後の時差退場が復活。どうして?お客の半数以上は従わずに席を立っていた。僕はアナウンスに従って退席したあとスタッフに理由を尋ねたところ、終演後にみどりさんの本の配布があり、1か所に人が集中して事故などが起きないようにするための特別な措置と聞き、韓国の痛ましい事故を思い出して納得。クロークも再開されてサントリーホールも正常運営にシフトしつつあることを歓迎したい。

出口で五嶋みどり著の「道程」を頂いて帰った。MIDORIの幼い頃からの想い出を綴ったエッセイと、異なる分野の第一線で活躍する人達との対談が収録された素敵な本で、楽しみに読み始めた。


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