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堀米ゆず子 & ヴァレリー・アファナシエフ

2022年12月09日 | pocknのコンサート感想録2022
12月6日(火)堀米ゆず子 (Vn)/ヴァレリー・アファナシエフ(Pf)
サントリーホール

【曲目】
1.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調 BWV 1005
2.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV 1006
♪ ♪ ♪
3.シューベルト/ヴァイオリンとピアノのためのソナタイ長調 Op. 162 D. 574
4.ブラームス/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番Op. 78 「雨の歌」

【アンコール】
♪ ブラームス/ハイフェッツ編/瞑想曲(5つの歌曲 Op.105~第1曲「メロディーのように」)

2020年にサントリーホールで行われた堀米ゆず子のバッハの無伴奏作品だけのリサイタルは、今でも深い感銘が心に刻まれている。その時演奏されなかった3番のパルティータとソナタを演奏してバッハの無伴奏を完結させたうえで、鬼才、ヴァレリー・アファナシエフを迎えてのデュオで新たな境地を開くという趣旨の今夜のリサイタル。

前半はバッハの2つの無伴奏作品。ゆったりと深い呼吸で始まった3番の第1曲アダージョから、堀米の奏でるバッハの世界に浸った。行間から滲み出るような人間味は優しさと温もりに満ちている。揺るぎない自信に支えられた落ち着いた語りからは深い知性が感じられ、それぞれの楽曲のドラマが熱を帯びた生きた姿で迫って来た。ここには堀米の人間力を感じずにはいられない。ただ、2年前の完璧とも思えたバッハの演奏を思うと、今夜のバッハは安定感というところでは少々不安を感じることもあった。

後半はアファナシエフとの共演。普段着のような黒い服を着て無造作にお辞儀をしたアファナシエフは、ピアノでもそんな自由で飾らない自然体の演奏を聴かせた。その時の感覚に任せ、さりげなく音楽のエッセンスを抽出する。共演者としての役割なんてどこ吹く風といった感じで、堀米と視線を合わせることなど気にとめる様子もない。けれど、そんなありふれた合わせの作法なんてやらずとも、デュオにとってごく自然なタイミングでピアノを鳴らす。

堀米もそんなアファナシエフの独特なアプローチに全く怯むことなく、当たり前のようにあうんの呼吸で応えて行く。両者は顔を見合わせることもなくタイミングを感じ合い、テイストを融合して一つの世界を描いて行った。2人は旧知の間柄だそうだが「デュオを組むのは初めて」というのが信じられないほど、お互いの美味しいところを共有して、自然に一つの世界を描いて行った。シューベルトでもブラームスでも、2人は激しいバトルの火花を散らすのではなく、お互いのちょっとした呼吸を感じ取り合いながら、壊れやすいほどデリケートな世界を作り上げて行った。そしてそこには常に音楽を楽しむ姿があった。

堀米ゆず子 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル 2020.11.11 サントリーホール
堀米ゆず子 ヴァイオリン・リサイタル 2015.1.10 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
[N響 2010年1月B定期] ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲(Vn:堀米ゆず子) 2010.1.20 サントリーホール
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